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この騒ぎを聞いて、わざわざ近隣の大学からやってきた教授と大学院生は、写真からあたりを探すこと2時間、空がオレンジに染まってきた頃、ようやくその死体を見つけたのである。ただそれは現在進行形で3羽のカラスに啄まれていた。
「あぁ!!!」
大学院生は大きな声をだした。
それにカラスたちはギョッと顔を向ける、そして近づいてくる教授の軽自動車を見て
一斉に飛び立ったのだった。
その小人の死骸を咥えたまま
「ああああ!ちょ、持って…ああああああああ!!」
「柊くん落ち着いて!あぁ…」
電柱の上に登ったカラスは、上からこちらを見下ろしている。
1匹は片腕、1匹は片足、そしてもう1匹は残った腕と足がついた胴体を咥えている、
全部持っていかれた!!!
そして、片腕を咥えているカラスが、その腕をハミハミと啄んでから、少し上を向いてからバクッと飲み込んだ
「あぁあたべちゃった?!」
「柊くん声!」
思わずまた大学院生が大きな声を出す、その声に驚いたカラスたちは、一斉に飛び上がった。
だが、腕と足がついた胴体を咥えていたカラスが、飛び立つ際にソレを落とした!
「あ!」
「おお!って」
落ちた胴体は、そのまま排水路に落ちていく。
田植えの時期だったもので、いかんせん水量が多く流れが速い、水に紛れどんどんと流れていく胴体。
「あああああ!」
「わあああああ!」
流石のこれには教授も声を上げた、2人して流れていく胴体を走って追いかける、
水の流れが速いもので、中年腹の教授は追いつけなくなって来て、「あ、これ無理だ」とすぐ諦めて止まりゼェゼェと息を切らしながら膝に手をついた。
一方大学院生柊、声がデカいだけじゃ無い!少し追い越したところで並走していた。
が、この後どうするか…
水に飛び込んで取るにしても、この中で掴めるか?
そして何というか水が汚い!水は茶色でよくわからない水草が水底にある。そして何よりも、ピンク色のジャンボタニシの卵が着きまくった排水路は、とてもじゃ無いけどあまり触れたく、入りたく無い物だった。
「うわぁ…きったね」
そんなこんなで彼が少し躊躇しているうちに、排水路の最終点、道路の下の土管まで来てしまった。
この先にここと繋がっていそうな水路は無い、多分地下の下水にでも繋がっているのだろう。
土管は人間の大人が入れる大きさじゃ無いし、マンホールから下水道に降りても、下水道じゃここよりも流れも速いだろうし、ここで取らなければ本当に手に入れられなくなってしまう。
そう思い、大学院生柊は、覚悟を決めて排水路に飛び込んだ。
バッシャーン!!と言う水音と共に、水飛沫が高く飛ぶ
「柊くん!!!」
教授がキレる息を抑えながら駆けつける…
「大丈夫か?!」
「…ぶへぁっ」
水面から柊が顔を出す、頭の上にはよく分からない水草が付いている。
「うぐぇ…鼻に水が…」
「大丈夫かい?ハンカチしか無いが顔を拭いてくれ、…ところで拾えたか?」
「はい!さっきなんか掴みましたので、これ!」
そう言い、彼は握りしめた拳を開ける。
「…あー」
確かに小人の死骸掴んだと思ったのだが、手の中には濡れた小さな衣服しかない。
「服だけぇ〜…」
「あぁ…いや、それでも手に入れられたなら上出来だ!良く頑張ったよ柊くん」
少しがっかりした教授だったが、それでも、これで十分だと思い直す。
彼の手に握られた深い茶色の小さな衣服…乾いた小人の血がべったり付いた衣服だ。
「この血をなんとか調べれば、何かわかるかもしれん」
「一回乾いてるし、水に濡れてるのでかなり調べるの大変そうですけどね」
「もう一回あそこの道路も確認しておかねば…」
「そうですね…ところで俺、ビチャビチャなんですけどこれ、どうしたら…車…」
そんなこんなで、世間には県立の大学が、小人の血痕からDNAを調査しているという話題が入った。
遺体をカラスに持ってかれたと言う事で、少しバッシングはあった物の、皆興味深々で好意的。
小人否定派は縫い目がない事の確認が出来なかったと言う事から盛り上がり。
オカルト誌を始め、沢山のメディアが調査結果の続報を待った。
そしてそんな中、DNAの調査が完了する前に、続報が入ることとなる。