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結局のところ、俺はこの道を進むと決めたのだ。
2学期の目標は召喚モンスターの追加を始めとしたEランクダンジョン攻略の準備を進めることにした。
学校? 学業はサボれない。赤点を取ったら冒険者廃業ですし(震え声
クラスメイトとは結局距離を置いている。今はただ己を磨くのみ。青春の本番はクラス替え後の二年生からだから(震え声2回目
文化祭の時も裏方でひっそりとしていました。一つの目標に向かって準備する一体感とか他校の女子との出会いは無かったけど本番はクラス替え後の二年生からだから(震え声3回目
そんなクラスメイトでもたまに俺に声を掛けるのがいる。親が金持ちの井藤 真(いとう まこと)君である。
許婚と恋人が一人ずついて、クラスカーストとか超越した立場の彼は何故か一学期からたまに俺に話しかけてくる。
・如何に自分が恵まれているか
・如何に自分が優れているか
・親の財閥の巨大さ
・許婚自慢
・恋人自慢
・小遣い自慢 等々
話しかけてくるというか自慢してくる。
被害者は俺だけでなく他のクラスメイトも迷惑を被り、非常にウザく、ウザキーでウザキストなヤツだが何故か憎しみまでは抱けない不思議なヤツでもある。
立場的に自分が上であるという認識はあるようなのだが、こちらを見下すような言動があるわけでもなく、褒め称えるような真似を強要してくるでもなく。
利益はないがイラッとする以外に実害も無いので一学期は二週間に一度、空返事で相手をしていたのだが最近は三日に一回は俺に話しかけてくるようになった。だれか井藤係はいないのか。俺ごときに寄生しようとしたクラスカースター共は何をしている。絶好の対象が俺の前に居るだろうが!
今日に至っては昼休みに俺の目の前で、普段は他のクラスにいる許婚と恋人の三人で弁当とは言いがたい重箱広げてイチャつきやがりくださいましてくれやがりました。実害が無いと言ったな。騙して悪いが……
「うおおおおおおおおああああああああああ!!!!!」
絶叫と共にメイスを振り下ろす。何が! はい真君、あ~ん♪だ!潰すぞ!
最近、世界ダンジョン連盟日本支部の公式オークションで落札した金属加工のメイスが哀れなコボルト君の後頭部に叩きつけられる。
バルクさんと小鬼二匹に抑え付けられて、溢れ出る嫉妬心の生贄にされたコボルト君は本当に哀れだと思う。済まない。君の死は無駄にならない。具体的に言うと、おれはしょうきにもどった! といえるくらいに俺の心が凄く落ち着いた。
これ一回だけだからと周囲の安全確保の上で無理をさせた召喚モンスターの皆にも悪い事をした。
皆のおかげで来週も乗り切れると思う。再来週は分からない。
冒険者稼業だが十一月にポーションを追加で一本使う羽目になった以外には順調に攻略が進んだといえるだろう。
最近は安定してFランクのクリアも出来てきている。サマナースタイルの人が趣味の範囲で冒険者をやるならここまでが限界だろう。
借金の返済も無理をしなければ卒業までに出来る見込みもある。
十一月も末頃になると、ある程度資金を貯める事が出来ていた。
八月末時点の資金が二十万だったのが、
9月末集計 Fランク6回クリア
今月取得魔石量:3,200g(100g未満切捨)
魔石の重量 1g = 魔力量 1mp(マジックポイント)
取得魔力量:3,200mp - 個人使用魔力量:100mp = 残存魔力量:3,100mp
残存魔力量:3,100mp - 召喚時消費魔力量:1,620mp = 最終魔力量:1,480mp
9月の魔力レート:1mp = 101円
1,480 × 101 = 149,480
消耗品その他雑費 30,000円
9月の利益 119,480円
10月末集計 Fランク8回クリア
今月取得魔石量:4,300g(100g未満切捨)
魔石の重量 1g = 魔力量 1mp(マジックポイント)
取得魔力量:4,300mp - 個人使用魔力量:150mp = 残存魔力量:4,150mp
残存魔力量:4,150mp - 召喚時消費魔力量:2,160mp = 最終魔力量:1,990mp
10月の魔力レート:1mp = 104円
1,990 × 104 = 206,960
武器購入 金属製メイス 150,000円
消耗品その他雑費 15,000円
10月の利益 41,960円
11月末集計 Fランク8回クリア
今月取得魔石量:4,100g(100g未満切捨)
魔石の重量 1g = 魔力量 1mp(マジックポイント)
取得魔力量:4,100mp - 個人使用魔力量:130mp = 残存魔力量:3,970mp
残存魔力量:3,970mp - 召喚時消費魔力量:2,160mp = 最終魔力量:1,810mp
11月の魔力レート:1mp = 103円
1,810 × 103 = 186,430
消耗品購入 ポーション * 1 100,000円
消耗品その他雑費 25,000円
11月の利益 61,430円
9~11月 合計利益 222,870円
11月末 残資金 約四十二万円 (借金残高:百九十万円)
意外と残っているな……
自宅で召喚モンスター呼ぶ時のMPの代金は両親が負担してくれているのが一番の理由だろう。
自分達も会いたいからと言う事でお金を出してくれているのだが、甘えるのは初心者の内だけにしておかないと。
後は召喚モンスターに無理をさせず、被害を軽傷に留める事でポーションを使わすに済んでいる事が大きいのかな?
応急処置をして置くと次の召喚までに治っているし。
その分、俺が重症を負っているので本末転倒にも程があるが。
専業でやると週四,五回攻略に行く感じになるのだろうか。
そうなると稼ぎがほぼ倍以上で、でも生活費とか入用になるし、脱出アイテム(一個二十万円)使ったら貧乏生活一直線か。
うん、専業やるならEランク安定攻略が前提かなー
Eランクに挑むか、挑まないか。
これは少し悩んだ。
もし挑もうとするなら、ウルフ・小鬼のランクアップは必要だし、ヒーラーが出来るモンスターも必須になる。
バルクさんも前に出す必要があるから、追加で護衛役も入れたい。
スキルもオーブを買ってでも取っておくべき物があるし、少なく見積もっても
・ランクアップ費用 二十万
・追加モンスター購入費用 四十万
・スキルオーブ購入費用 三十万
で、合計九十万円掛かる。今のままだと資金調達に半年以上掛かる計算だ。
まぁ、無理をしてどうにかなる状況ではないし、じっくり腰をすえて取り掛かりますか。
そんな感じの十二月の始まりに池流がある話を持ってきた。
「「○×県主催 初級冒険者支援イベント」」「だと?」「でござるか?」
「聞いた事無いイベントだが、どっから出たんだコレ?」
「おう。こないだ新聞のチラシに入ってたんだが、調べてみたら年明けに県が冒険者支援で地域振興をやろうって事で準備していたみたいだぜ。応募は七月からしてたみたいだけど参加者が居ないのか今追加募集してるらしいわ」
「この時期で定数割れってヤバイでござるな」
「県在住のFランク以上ダンジョンクリア冒険者まで限定って。Eランク泣かねコレ?」
「Eランク以上はまた別枠のイベントやるみたいだわ」
「優勝者は賞金五百万、準優勝でも三百万で三位が百万、四位が五十万。さらに四位までの入賞者にはCランク相当のモンスターカードが副賞として付いてくる……」
「あ、でも賞金は使い道が限定されているでござるな。お金を直接渡すのではなく県内の冒険者関連の施設でのみ使える商品券になってるでござる。 ……協賛にウチの地域のテレビ局と新聞の名前があるでござるな。守殿、ひょっとしたらコレは撮影されるやも知れませんぞ」
「え、地元の番組でお茶の間に俺の顔が出ちゃうの? どうしよう、俺テレビに出るための服とか持ってないんだけど」
「映るとしたらお前の対戦相手がメインだろ。常識的に考えて。見切れて映ったら上出来じゃね? それより上位入賞できなくても5位以下から十六位までは賞金十万円だぜ。定数六十四人だからトーナメント形式なら二回勝てば十万。中々良いと思わないか?」
「優勝者は最低一年間は県に活動報告する必要があるみたいでゴザル。報告内容はパンフには載っていないでござるな」
「池流はその発言覚えて置けよ。ローカルから羽ばたき全国のお茶の間に出るようになったら芸名はお前の名前を使ってやるからな。それはそうとCランク凄く欲しい。てか初心者枠に与えて良い物なのかこのランクのカード。……ああ、支援した冒険者があっさり死なないように首輪付けるのか。そりゃそうだよな」
「全国のお茶の間にお前の顔とか放送事故っと、今スマホ見たけどEランク以上の中級者枠はスゲーわ。賞金が文字通り桁が違う。こっちは追加募集していないみたいだわ」
「そりゃそうだろ。Cランクまで参加させようとするなら、ひょっとするとそれでも安いんじゃね?」
「ん? そういえばCランクとはいえサマナー以外にモンスターカードを欲しいと思う冒険者は居るのでござるか?」
「そりゃいるさ。パーティー組んでる人でも一体だけならとか、売って現金化するとか。Cランクなら五百万から十億位の幅だったと思うぞ」
「何その極端な幅! そして最高額! このイベント本当にヤバくねーですか、奥様!」
「目ぇ覚ませ池流。賞金額見る限り、どうせ下限ギリギリのヤツだろ。下手するとCランク相当って事でDランク上位のカードでもおかしくないぞ。それでも欲しい事に変わりは無いけど」
「そっかー でも五百万ぐらいって普通にデカイよなー」
「それだけあれば冬の祭典の全てのサークルの本を一冊ずつ買ってもお釣りがきそうですなー」
「まぁ、大金なのは確かだよな」
「……で、どうよ守君。行っちゃう?参加しちゃう?」
「んー 今すぐ即答は無理。ちと調べるわ」
「おお、それでは拙者達も微力ながらお手伝いしますぞ!」
「何について調べて欲しいんだ?」
調べた結果、参加した場合の支出は交通費と昼飯代くらい。経費は消耗した分を一定額まで運営委員会持ち。
競技形式が少し変わっていて、予選・本選の二つに分かれているのだが、予選はGランク・Fランクどちらかのダンジョンを当日クリアしてその様子を同行する審査員がチェックして後日、審査結果により本選出場者が上位4名のみ選出され、トーナメント形式の試合により最終的な順位を付けるとか。
本選の怪我対策は万全の様で、腕試しとか他の探索者の調査とかにちょうど良さそうだ。
両親に説明の上、急いで参加の手続きを取った。
それにしても冒険者関連のイベントか。そんなのあったんだ。知らなかった。
後で調べると国の冒険者支援はほとんど無い物の、最近は地方自治体が冒険者支援をやっている事があるようだ。
ウチの県には今まで無かったからといって不勉強だったなぁ。