コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
紫赤短編集♡
👑視点でお送り致します。
お弁当のふたを開けた瞬間に広がる、甘い卵焼きの匂い。 その向かいで、なっちゃんがぽつりと呟いた。
🍍「最近唇乾燥するんだよね。」
箸を止めたマニキが、当然のように頷く。
📢「あーわかる。」
🍍「なんか、塗っても塗っても乾燥しちゃうんだよな。…いるま、オススメのリップクリームある?」
その問いに、マニキはふざけることもなく真面目な顔で答えた。
📢「 俺の使えばいいじゃん」
一瞬、空気が止まった気がした。
なっちゃんは箸を持ったまま、眉をひそめて小さく言う。
🍍「やだよ…」
その言葉には照れとも拒否ともつかない、微妙な温度があって、マニキ は「なんでだよ」と口を尖らせるけれど、どこか嬉しそうだ。
ふたりの間に流れる、言葉にしなくても伝わるような距離感。 そのイチャイチャを真正面から見るのは少し気恥ずかしい。
俺は、黙って卵焼きを口に運ぶ。
甘じょっぱさがやけに濃く感じた。
なっちゃんが箸を止めて、ぽつりと呟く。
🍍「舐めたら保湿できそうだけど…」
その瞬間、俺は思わず顔を上げた。
👑「なっちゃん、それ逆効果。」
🍍「え、なんで?」
👑「唾液が蒸発するとき、唇の水分も一緒に奪っちゃうんだって」
🍍「はへー…」
口が半開きのまま、気の抜けた声を漏らすなっちゃんの横で、マニキが顔を赤くしていた。
📢「 ………… ⸝⸝ 」
🍍「いるま?」
📢「いや、その、この話…やめよう」
視線を逸らしながら言うマニキ。
その反応に、俺は思わず息を呑む。
👑(……まさか)
頭の中に浮かんだある可能性。
👑「 マニキ、もしかしてなっちゃんとキs
📢「なつ!次の授業体育だから! 急いで食って、更衣室行こ!」
マニキが箸を置く音も荒く、椅子を引く勢いで声を張った。妙に必死なトーン。 明らかに、話題をぶった切るための強引すぎる方向転換 。
🍍「え? あ、うん…」
なつは状況がのみ込めないまま、手元のおかずを慌ててつまむ。
ベーコンを口に突っ込むその動作さえ、どこか戸惑いが滲んでいた。
マニキは早く終われと言わんばかりに、弁当をかき込みながら耳は真っ赤なまま。
👑(図星…なんだろうな)
俺は黙ってその様子を見ていた。
さっきまで甘ったるく漂っていた空気が、今は気まずさに変わっている。
それでも…どこか微笑ましい。
箸を置いた俺の視界には、ベーコンを頬張ったまま目を丸くするなつと、 その隣で焦りだけを隠せずにいるいるまがいた。
👑(青春やな…)