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第四章 泣いてもいいんだ
地下室は静まり返っていた。
おんりーは俯いたまま動かない。
ドズルたちも何も言えなかった。
初めて見たからだ。
怪盗ローズではない、おんりーの弱さを。
今まで誰にも見せなかった傷を。
「……帰ってくれ。」
しばらくしておんりーが言った。
声は小さかった。
「おんりー。」
ドズルが呼ぶ。
「帰れ。」
「嫌だ。」
「なんで。」
おんりーが顔を上げる。
その目は少し赤かった。
「なんでそんなに俺に関わろうとする。」
誰も答えない。
「危険なんだぞ。」
沈黙。
「俺といると巻き込まれる。」
、、、、、
「なんでだよ!」
おんりーの声が地下室に響いた。
「なんで放っておいてくれないんだ!」
その瞬間だった。
ドズルも叫んだ。
「放っておけるわけないだろ!!」
おんりーが固まる。
ドズルは拳を握っていた。
「ずっと一人で苦しんでたじゃん!!」
「……。」
「全部一人で抱えてたじゃん!!」
「……。」
「そんなの見たら放っておけるわけないだろ!」
静寂。
ドズルの目には涙が浮かんでいた。
「友達だからだよ。」
おんりーが目を見開く。
友達。
その言葉が胸に刺さる。
「俺たち。」
ドズルは続けた。
「昔会ったんだろ?」
「……。」
「バラ園で。」
おんりーの肩が震えた。
覚えていた。
忘れるわけがない。
あの日。
宝探しで出会った四人。
みんなで笑った。
みんなで走った。
たった一日だった。
でも。
おんりーにとっては特別だった。
家族以外で初めてできた``特別``だったから。
「覚えてたのか……。」
「最近思い出した。」
ドズルが笑う。
「おんりー、昔からそうだった。」
「?」
「誰かが転ぶと真っ先に助けてた。」
おらふくんも頷く。
「迷子の子にもずっと付き添ってましたよね。」
「お菓子も分けてくれた。」
MENが言う。
「俺の風船取ってくれたぞ。」
ぼんさんも笑う。
少しずつ。
少しずつ。
おんりーの心が揺れ始めていた。
しかし。
次の瞬間。
おんりーは顔を伏せた。
「違う。」
「え?」
「もう違うんだ。」
震える声。
「昔とは。」
そして。
机の引き出しから一枚の写真を取り出した。
幼いおんりー。
父。
母。
そして。
バラ園。
「俺の父さんは新聞記者だった。」
静かに語り始める。
「街の不正を調べてた。」
ドズルたちは黙って聞く。
「みんなのためだった。」
「正しいことをしたかった。」
「でも。」
おんりーの手が震える。
「誰も助けなかった。」
「……。」
「父さんは嘘をついたって言われた。」
「母さんも責められた。」
「街の人たちに。」
声が掠れる。
「昨日まで笑ってた人たちが。」
「急に敵になった。」
ドズルたちの表情が曇る。
「そんな……。」
「俺は見てた。」
おんりーは俯いた。
「家に石を投げられた。」
「悪口を書かれた。」
「助けてくれる人はいなかった。」
「誰も。」
地下室が静まり返る。
「だから。」
「信じなくなった。」
「誰も。」
その言葉が苦しかった。
あまりにも悲しくて。
あまりにも寂しくて。
おらふくんが唇を噛む。
MENが目を伏せる。
ぼんさんも拳を握る。
そして。
ドズルの頬を涙が流れた。
ポロッ。
一滴。
また一滴。
「ドズル?」
「ごめん……。」
涙声だった。
「おんりー。」
「……。」
「苦しかったよな。」
その言葉を聞いた瞬間だった。
おんりーの心が大きく揺れる。
誰も言わなかった。
今まで。
誰も。
「苦しかったね。」
なんて。
言ってくれなかった。
「……。」
「辛かったよな。」
「……。」
「怖かったよな。」
「……。」
「寂しかったよな。」
その瞬間。
おんりーの視界が滲んだ。
見えなくなる。
涙だった。
気付けば。
止まらなくなっていた。
「……っ。」
肩が震える。
「おんりー。」
おらふくんも泣いていた。
「もう一人で背負わなくていいです。」
MENも涙を拭う。
「今度は僕たちがいます。」
ぼんさんは笑った。
でも目は真っ赤だった。
「頼れよ。」
静かな声。
「仲間なんだから。」
その言葉で。
おんりーの中の何かが壊れた。
ずっと。
ずっと我慢していた。
泣かないように。
弱音を吐かないように。
強くあろうとしていた。
でも。
限界だった。
「……たすけて。」
誰も動かなかった。
聞き間違いじゃないかと思った。
「え?」
ドズルが聞き返す。
おんりーは涙を流しながら。
震える声で言った。
「助けてくれ……。」
ドズルたちも泣いた。
その一言を。
ずっと待っていたから。
「もちろんだよ。」
ドズルが言う。
「絶対助ける。」
「一緒にやろう。」
「今度は一人じゃない。」
おんりーは泣きながら頷いた。
その時だった。
ドォン!!!
地下室全体が揺れた。
全員が顔を上げる。
外から怒号が聞こえる。
「怪盗ローズを捕まえろ!!」
おんりーの表情が変わる。
最悪だった。
敵に居場所がバレた。
そして。
街中へ向けて放送が流れる。
「怪盗ローズの正体が判明した。」
全員が凍りつく。
ついに。
秘密が暴かれようとしていた。
次で最終章。
おんりーの正体を守るために4人が立ち向かい、
怪盗ローズの物語が完結する。
バラの意味とは🌹
コメント
2件
あぁ!やっぱおもろい!
うわあああ読んじゃったよ…😭💦 おんりーの過去が重すぎて、胸がぎゅってなった…。 「たすけて」の一言に全部詰まってて、そこで涙腺崩壊した😢 ドズルが「苦しかったよな」って言ったとき、やっと認めてもらえたんだなって思った。 でも最後の展開…次で最終章って現実突きつけられて、もう怖いよう🙈 続き絶対読む!泣いてもいいんだってタイトル、まじで刺さるわ…🌹