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※この作品はフィクションです。実際の人物・団体出来事・場所などには一切関係ありません
※以下の内容が含まれます
・ひよジュン
※あまりストーリーを読めていないので、解釈違いが起きる事が予想されます
それでも大丈夫な方はgo!
夜の居酒屋の前。
「では、あとはお願いしますね」
穏やかに微笑む巽に、日和は軽く頷く。
「うん、任せて。ありがとうね」
その横で——
「…ん……?」
ぼんやりとした声。
ジュンが、ゆら、と体を傾ける。
「ジュンくん、大丈夫?」
「うーん……大丈夫っすよぉ……」
一歩踏み出した瞬間、ぐらっと揺れて——
「……っ、と」
日和がすぐに腕を取って支える。
「ほら、無理しないでって言ったよね?」
「……おひいさん……」
名前を呼んで、ふにゃっと笑う。
そのまま自然に寄りかかってくる。
「迎え、来てくれたんすねぇ……」
「当たり前だね!こんな状態のジュンくんを放っておける訳がないね!」
「……優しいっすねぇ……」
とろんとした目で見上げてくる。
濡れたみたいに光る瞳。
(……ほんとに、無防備だね)
タクシーが来ると、ジュンは崩れ落ちるようにして座った。
「ちゃんと座ってね」
「……うーん……」
言われた通りにしようとして、結局また肩にこてん、と寄りかかる。
「……おひいさん、あったかいっす……」
「当たり前だね!」
軽く返しながら、そのままにしておく。
数秒もしないうちに、呼吸がゆっくりになる。
「……ジュンくん?」
返事はない。
眠ってしまったらしい。
(……寝ちゃったんだね)
無防備に預けられた重み。
少しだけ位置を整えると、また安心したみたいに寄ってくる。
「ほんとに、警戒心が無いね」
小さく呟いて、視線を落とす。
ゆるんだ表情。
静かな寝息。
(……こんな顔、他の人に見せてるとは思えないね)
指先が、無意識に頬へ伸びる。
触れる直前で止める。
「……今は、やめておこうね」
その代わり、少しだけ距離を保ったまま、じっと見つめる。
(起きてたら、きっと——)
そこまで考えて、苦笑する。
家に着いても、ジュンは半分夢の中。
「ほら、お家に着いたね」
「……ん……」
うっすら返事をするだけで、しっかりとは起きない。
立たせると、ぐらっと崩れる。
「危ない!」
すぐに支える。
そのまま、ほとんど体重を預けてくる。
「……すんません……」
「ほんとにね」
呆れながらも、そのまま家へ向かう。
腕にしがみつくような形で、なんとか歩く。
「ジュンくん、それほとんど抱きついてるね」
「ふふ…楽っすよぉ…」
ふにゃっと笑う。
そのまま、また見上げてくる。
潤んだ目。近すぎる距離。
(……ほんとに、無防備すぎるね)
ドアが閉まった瞬間。
外の音が途切れて、空気が変わる。
支えていた体が崩れて——そのまま玄関で受け止める。
「……ん〜?」
焦点の合わない目で見上げてくるジュン。
「……ジュンくん」
声は、もう隠れていない。
耳元に顔を寄せて、指先で耳のふちをなぞる。
「んっ……」
びくっと震える。
「……きみはほんとに、素直だね」
顎に指をかけて、上を向かせる。
逃げない。
そのまま——唇を重ねる。
「……ん、っ……」
最初から、深い。
ゆっくりなのに、逃げ場を与えない距離。
触れて、離さず、また重ねる。
「……っ、ん……」
ジュンは抵抗しない。
ただ、されるがままに、かすかに応える。
夢の中みたいな反応。
それが、余計に止まらなくなる。
「ほら……」
低く囁く。
「ちゃんと応えて、ジュンくん」
「……ん……」
とろんとしたまま、少しだけ返す。
それを逃さず、さらに深く。
呼吸が混ざるくらいの距離で、何度も重ねる。
「……っ、ぁ……」
声が、やわらかく崩れる。
力が抜けて、完全に預けてくる。
そのまま支えながら、繰り返す。
ゆっくり、何度も。
「…おひ……さ……ッ」
途切れ途切れの呼び声。
それすら、途中でほどけていく。
(……ほんとに)
止める理由なんて、どこにもない。
ただ、この反応を手放したくなくて。
もう一度、深く重ねる。
——そのとき。
ふっと、ジュンの力が完全に抜ける。
さっきまであったわずかな反応も、途切れる。
「……ジュンくん?」
少し離れて覗き込む。
返事はない。
規則的な寝息だけ。
「……寝ちゃったか」
苦笑がこぼれる。
そのまま少しだけ見下ろしてから、ゆっくり体を起こす。
「こんなタイミングで寝ちゃうなんて、悪い日和! 」
でも、どこか満足そうで。
抱え上げて、部屋へ。
ベッドに寝かせると、すぐに深い眠り。
「……今日は、とっても可愛かったね」
軽く髪を整える。
「明日になったら、ジュンくんは覚えてないかもね」
少しだけ顔を近づけて、短く触れるだけ。
「続きは、起きてるときにね」
小さく囁く。
「おやすみ、ジュンくん」