非常に短いですが、書きたいことは全て書き切りました。許してください。
蒸し暑さを纏った静かな夜。
向かいのアパートからひとつ、またひとつと明かりが消えていく。
過ぎていくエンジン音を数えていると、耳元から声がした。
「………日本…?」
「すみません、起こしちゃいましたか?」
いや、とアメリカさんがこちらを向く。
もぞりとシーツの上を片腕が這ってきた。
「寝れねぇの?」
起き抜けの低い、少し掠れた声。
「いえ。……ちょっとだけ、肌寒いです。」
アメリカさんはふっと口元を緩めた。
こういう所が好きだと思う。
無理に踏み込まず、それでもきちんと手を引いて、優しく触れてくれる。
薄く差し込む光を浴びて、彼の肩がゆっくり起き上がった。
そのまま慎重に覆い被さって、長い指が布団をまさぐる。
ちょこん、と触れた指先が手に絡みついた。
汗ばんだ手のひらがこすれ合う。
何も言わずにキスを落とされた。
「……いいよな?」
短く、穏やかな言葉。
抗う理由なんてない。
「………ほしい、です。」
言の葉が落ち切る前に、舌の根を濡らされる。
蠢くビロードに絡み付くと、愛おしげに頬を撫でられた。
交わす言葉を放棄して、鼓動と息遣いに聞き惚れる。
彼の熱が体の奥へと沈んでいくたび、輪郭がぼやけていく。
「……アメ、さ……もっと……。」
しるしの散りばめられた腕を伸ばす。
彗星のような瞳にみつめられ、強く抱き寄せられた。
「にほん、好きだ。」
ぎゅっ、と抱き合った腕の中で、深い深い絶頂を迎える。
ぱちぱちと花火のように爆ぜる意識の中で、舌の上に愛を乗せる。
「ぼく、もっ゛………」
この夜に、彼の胸に、溶けてしまえたらいい。
自分が誰だったのか、何だったのかすら忘れて、深く混ざり合えたなら。
名前も形も、もういらない。
少し冷たい夜気の中。
僕たちは、静かに、確かに。ひとつになっていった。
(終)
コメント
2件
これは実にえっちですね。えっちという名の小説です。こんなえっちな小説が生まれた瞬間に感謝しましょう。オイシーヤミーカンシャカンシャマタイッパイタベ(以下略) とにかくありがとうちゅ😘😘😘😘😘