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スユキ
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もな
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#いじめ
名瀬口にぼし
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。 .:・.。. .。.:・
「コイツが・・・セドリック・・・」
竜馬は信じられない思いで、今目の前で牡牛ほどの男が怒り狂って車を破壊しているのを茫然として見つめていた
男は見たことがないぐらいの巨漢だった、やや発達しすぎた肩が盛り上がり、ハムと見まごう拳、が男の腕に猿のようにぶら下がっている
そしてシルバーブロンドの短髪に、耳を真っ赤にして何やら、とても怒っている
セドリックという男は実際の所、彼を見ればみんなが避けて通るほどの恐ろしい風貌をした男だった、怒りに燃えている彼の顔からは、凶暴さがにじみ出ている、ひしゃげた鼻に、瞳はグリーンだが、そこには一片の温かみも見えなかった
セドリックは警察も恐れなければ、社会も恐れていないだろう、今目の間にあるシルバーのセダンを怒りにまかせて、ボコボコにしている
竜馬はセドリックを止めようと一歩足を出したが、やめた・・・こんな怒り狂っている男を、竜馬がどうやって止められるだろう、セドリックは自分の怒りに手が付けられず、唸りながら力任せに拳を銀色のセダンのフロントガラスに降り下ろした、ガラスがつぶれてたわみ、車の表面全体にヒビが入った
―ぐしゃっ―
フロントガラスの反対側にも一撃
―ガシャン!!―
右のヘッドライトが割れた
「うおおおおおおお!」
―ガシャッ!!パリンパリンッ―
左のヘッドライトも同じ運命に、そしてまだそれにも飽き足らず、セドリックは運転席の窓をグーパンチで殴った
―パリーンッ―
次にセドリックは、何やら訳の分からない言葉を発し、屋根に拳を振り下ろし、かなりみごとな凹みをつけた
そこには凄まじいまでの容赦の無さが伺えた、煉瓦の壁を壊す、解体用の鉄球を見るようだった、この騒動でセドリックは新たな観客を引き寄せているようだった、牛が仁王立ちしているほどの大男が、頑丈なセダンをスクラップにしている場面など、そう簡単に見れるものじゃない
「アイツどうしたんだい?」
竜馬の後ろでバイカー風の男が尋ねて来た、竜馬はあっけに取られて首を振った、このままでは警察が来てもおかしくないし、いったいコイツは何でこんなに怒っているのだろうと竜馬は不思議に思った
「ぐおおおおおお!」
―バンッ!グシャ!ガシャン―
セドリックは唸りながら破壊行為を延々と続けている
「やめろっ!!セドリック!!」
その時、ジャスティンが大声でセドリックに怒鳴った、凶暴な目つきでセドリックはジャスティンの方を向いた、どこか正気を失っているようで、思わず竜馬はゾっとした
―どうしよう!ジャステインがやられたら・・・そうなったら助けなきゃ!―
どうしてジャスティンはこんなヤツを放っておかないのだろう、日本にいた頃は竜馬は喧嘩なんて無縁の世界で生きて来たし、人を殴ったことなんてなかった、でも、そんな事を言ってはいられない、ジャスティンがやるならば自分もそれに加勢しないと
グルルル・・・「ジャスティ~~~ン!!」
ふぅふぅ興奮しているセドリックが、ドシンッドシンッとジャスティンの目の前にやって来た、途端に竜馬は恐怖で背筋が凍り付いた
顔は真っ赤で、その牛のような顔は、怒りに憤慨している、大きな顔なのに、パーツはこじんまりして中央に集まっている
「どうしてこんな事をするんだっっ!文句があるなら俺が相手になってやるっっ!!」
ジャスティンはその場にいた、群衆の視線を一身に集めていた、周りでは小さなうめき声や叫び声が聞こえる
グルルルルッ「ジャスティ~~~~ン」
巨漢の大男のTシャツの裾からは、木の幹ほどの太さの腕が突き出ている、あれに殴られればいくらジャスティンでも吹っ飛ぶだろう
「こっちへ来い!カタを付けてやる!」
ジャスティンが道路を抜けた空地へズンズン歩いて行く、その後ろを怒りに燃えたセドリックが、ドシンッドシンとついて行った
もしジャスティンに何かあったらと、竜馬も慌ててついて行く、後ろを振り返ると見物人は引き始めていた、セドリックは大きな顔の額に血管を浮かせ、骨ばった眉下の落ちくぼんだ小さなグリーンの目を見ていると、不安な気持ちにさせられる
「どうしてこんなことをするんだっっ!何があった?」
ジャスティンがセドリックに一喝した、すると驚いたことにセドリックはドスンッと赤ん坊のように足を投げ出して座り込み、手をグーにして、目元に持って行き、グスグス泣き出した
グスッえぐっえぐっ「あいづら、おでをバカにした」
竜馬は今見ているものが信じられずに目をまん丸くした・・・さっきまで車を怒りに任せてボコボコにしていた大男が、ジャスティンを目の前にして、赤ん坊のように泣きだしたのだ
「お前はバカなのか?っっ」
ジャスティンが怒鳴った
グスッヒック・・・「バカじゃない・・・」
今やセドリックは、えぐえぐ叱られた子供のようにシュンとして、ジャスティンに返事をする
「そうだ!お前はバカじゃない!人をバカにする奴がバカなんだっ!!」
ジャスティンの声はよく響いた、おそらくセドリックの心にも人に脅威を与えるほどの巨漢のセドリックが、ジャスティンの前だと赤ん坊のようにグスグス泣いている
「おでをバカにするやつがバカ・・・」
「そうだ!言いたいヤツには言わせればいいんだ!俺はお前がバカじゃないのを知っている!たしかにお前は飲み込みが悪いかもしれないが、一度考えても分からなければ、二度三度考えればいいんだ!お前はバカじゃない!」
グスン・・・「ジャスティン・・・」
「俺が知っているだけじゃダメか?セドリック!」
座り込んで泣いているセドリックを目を合わすために、ジャスティンは彼の目の前にしゃがみこんだ、緊張で手をずっとぐーにしていた竜馬も、なんとかことは収まりそうだと手の力を抜いた、セドリックは街の不良に自分を馬鹿にされて、あんなに怒ってたのか・・・それにしてもジャスティンの一言でこんなに大人しくなるのもすごいな・・・
「アイスクリーム食うか?サーティーワンで新しいチョコミントの種類が増えてたぞ」
グスンッと鼻をならしてセドリックが言った
グス・・・「食う」
「じゃ行こうぜ!!ああ!!それと、コイツは竜馬!」
突然ジャスティンが竜馬に話題をふったものだから、セドリックの小さなグリーンの目が竜馬を見据えた、思わずビクンッと竜馬の体に緊張が走った、竜馬はセドリックとしばらく見つめ合った
「えと・・・その・・・大丈夫?」
本当ならセドリックが破壊した車の持ち主に言う言葉なのだろうが、なんだかこの愚直な男が可哀そうになった、竜馬は尻のポケットから、ティッシュを取り出して、セドリックに渡した
グス・・・「おまえ・・・やさしい」
セドリックが竜馬のティツシュを受け取って、豚が絞め殺されたような音を立てて鼻をかんだ、竜馬は肩をすくめて言った
「ねぇ・・・セドリック、いくら怒ったからといって、あんなことしちゃいけないんだよ?」
コクンッ「んだ」
竜馬にもわかった、彼の小さなグリーンの目に一瞬よぎったのは怒りではなく悲しみだった、あんな風に怒ると一瞬で車を破壊してしまうセドリックの凶暴さは、街の不良仲間から恐れられ、また彼のジャスティンに対する忠誠ぶりは、あまねく知れ渡っていた
後からジャステインに聞いたのだが、まだジャスティンがセドリックとそんなに親しくない頃、乱暴者で街の嫌われ者のセドリックが、偶然、川で泣いている所をジャスティンが見かけて彼を慰めたらしく、そこから懐かれたそうだ
そしてセドリックは、竜馬と同じ年だということにも驚いた、彼は高校に行っておらず、普段は家に引きこもりがちなんだが時々こうして街に出て来るらしい
時として感情にコントロールが効かなくなる自然災害のようなセドリックのことを
「人にバカにされることに敏感なんだ、でもいいヤツだよ」
ジャスティンはそう言った、あのセドリックをいいヤツだなんて言うジャスティンこそが、いいヤツだと竜馬は思った
シャスティンはセドリックのことをこうも言った
「ダイナマイトと一緒さ、たとえダイナマイトでも、使い道さえ誤らなければ害はない」
その後三人でアイスクリームを食べたが、先ほどと打って変わって、大人しく竜馬の隣でミントチョコを食べるセドリックの隣にいるのは・・・竜馬はなんとなく落ち着かなかった
コメント
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わあ、今回のエピソード、すごく印象的でした!最初は車を破壊する狂暴なセドリックに圧倒されたけど、ジャスティンの前で赤ちゃんみたいに泣き出すギャップにびっくり。でも「人にバカにされた」って理由を聞いて、彼の孤独や悲しみが伝わってきて切なくなった。竜馬がティッシュを差し出すシーンが優しくて、3人でアイスを食べるラストもほっこり。セドリックの過去が気になるし、これからどういう関係になっていくのか楽しみです!