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『悪魔執事はヴァンパイア』〜私の血は彼らを惑わす sweet BLOOD〜


THIRD BLOOD 我慢できません、主様。


『フィンレイ、様…。』

高いステージの上から見下ろす。

『もう心配要らない。悪魔執事の諸君。もう出てきていい。』

バサバサっ…!

周りにいたみんながフードを外す。


『はい。フィンレイ様。みんな、主様の所へ早く行こう。その為にはここを切り抜けよう!』

『了解しました!ボスキ、行くぞ!』

『あぁ。』

『アモン、行くよ。』

『了解っす!』


『ルカス様かっこいいー!』

『よそ見をするんじゃありません、ラムリ!』


『ラト君。フルーレ君。出口を見張っててくれるかな。』

『はい。誰一人逃がしませんよ。』

『ラト、壊しちゃダメだからね。』


『ユーハン、テディちゃん。俺たちはフィンレイ様の護衛をするぞ。』

『かしこまりました。』

『はい!フィンレイ様、安全な場所へ!』

『あぁ。ありがとう。』


『ベレン、我の足を引っ張るなよ。 』

『ふふ、わかってるよ。』


私はステージの上からみんなを見ることしか出来なかった。


『みんな…。良かった…助けに来てくれて…。』

と、安心した最中…首にチクッと痛みが走る。

『っ……?』

(な、に…?急にねむ、けが…。)

ガクッと力が抜け、私は誰かに運び込まれた。


数時間後――。


『っ、主様がいない!』

『なんだと!?さっきまでステージにいたのに…?』

『…ここの主催者は誰だ?』

ピトッ

俺は縛り上げた貴族の首に剣を添える。

『し、知らない。主催者のことは俺達も知らないんだ!』

『使えねぇな…くそ…っ!』

『貴族は全員捕まえたし…取りこぼしも無いはずだ。他に考えられるのは…。まさか…!』


『う、んん…。』

『ようやく起きました?悪魔執事の主様。』

『あ、貴方は…!私の隣にいた…!』

『はい。そうですわ。SWEET BLOODの持ち主であり…この闇オークションの主催者です。』

『なんで、どうしてこんな…!』

『決まっているでしょう?私以外のSWEET BLOODは必要ないのよ。』

『!』

『だから闇オークションをして売り捌いたの。それなのに貴方はあんな高値で落札されて…。私よりいい値段のSWEET BLOODなんて要らないのよ!!』

『そんな…。』

『?』

『そんな理由で…今まで他の人を…っ。』

『えぇ。そうよ。価値のない人間は死ぬ運命にあるのよ。この世は選ばれたものだけが生き残るのよ。』

『そんなの…許せない。どんな命も平等だ…貴族だからって、身分が高いからって…人を嘲る資格はない!』

『…よく吠えるわね。まぁいいわ。私がこの手で殺してあげるわ。』

ナイフを構えて私にゆっくりと近付く。


『っ、みんな、助けて…っ!!!』

バタンっ!!

『そこまでだ…!マリア・ルージュ公爵令嬢!!』

『フィンレイ・グロバナー!?どうして、貴方がここに…!』

『主様! 』

『悪魔執事まで…っ!』

グイッ

『きゃぁ!』

強引に身体を引かれ、ナイフを当てられる。

『動くんじゃないわよ!大事な大事な主様が傷付くわよ。 』

『てめぇ…っ!』

『…っ。みんな…大丈夫。』

『主様…!?』

『私はこの人を許せない…。この人に殺される位なら…!』

私はごちんっと頭突きをかまして離れる。

『い…っ!このっ!』

シュッ!ビッ…!

『主様っ!!!』

腕から大量の血が滴る。

『離しなさいっ!!私にこんなことしていいと思ってるの!?』

俺たちは主催者を捉え、床に叩きつける。


ドキン、ドキン…。


さっきから心臓が苦しい…。いつから…?

そうだ…みんなが助けに来てくれた時から…心臓は高鳴ってた。私、みんなに――。


『本気で恋をした時…その血は甘くなる――。』


フワ…ッ。


❁⃘*.゚❁⃘*.゚❁⃘*.゚❁⃘*.゚❁⃘*.゚❁⃘*.゚❁⃘*.゚❁⃘*.゚❁⃘*.゚❁⃘*.゚❁⃘*.゚❁⃘*.゚❁⃘*.゚❁⃘*.゚❁⃘*.゚❁⃘*.゚❁⃘*.゚❁⃘*.゚


『っ……!!』


この香り…!主様の血…?

今までより香りが強く…。

ダメだ、クラクラしてきた…っ。


甘い、華のような香り…。

主様から…?

くそ、抗えねぇ…。

本気で恋をしたんすね…俺たちの誰かに。


甘い、甘過ぎる…っ。おかしくなりそうだ。

高揚感が…っ。止められません…。

主様の香り…ダメなのに…。


く…っ。甘くて、濃いこの香り…。

早く吸いたいです…もっと、もっと…。

おかしくなる…香りの重厚が…っ。


前までこんな甘くなかったはずだ…なんでいきなり…?

甘い、甘い、香りが…脳に響いて…!

ダメだ…悪魔の力を解放した後の代償の時みたいに意識が保てない…!


目眩が、する…倒れそう…っ。

この我が…惑わされるとは…。


『みんな…?あ、まさか…!』

(血を流してるから意識がないの…っ?)

ごくっ…。

喉を鳴らす音が響く。


『あ、るじさま…。っ、とにかく、ここから離れましょう。屋敷へ帰りましょう…傷の手当もしないといけません。』

(ベリアン、苦しそう…っ。)

私はクラクラして歩くのもやっとなみんなに着いていく。


こうして、闇オークションは幕を閉じ、

主催者も参加者もグロバナー家の預りとなった。フィンレイ様と別れ、馬車に乗った私達。


『いた…っ。』

『ご安心を…主、様。すぐに手当致します。ですがその前に…。』

ペロッ

『ん…!』

『甘い、どうして急にこんな…っ。』

『ルカス、やだ、みんな見てる、から…っ。』

『俺にも吸わせてくれ…主様。』

ドサッと馬車の椅子に押し倒される。


ルカスとボスキは腕を舐める。


『ん、んんっ。や、だ、2人とも…っ。』

『ペロッ。ダメだ、止まんねぇよ主様…っ。』

グイッ

『ボスキだけ独り占めさせないからな。』

チュッ…。

『は、ハウレス…っ。』

『すみません…我慢できません、主様。』

カプ…ッ。

肩に牙を立てられ、血を吸われる。

『ん、んく、…ぅ。』

(も、う、だめ…。)

私は貧血で気を失う。


『やっぱり間違いない…。主様は恋をしたんだ。本気で私達の中の誰かに…。』

『だから血が甘くなったと…。』

『へぇ…つまり、主様の取り合いってこと?つまりさぁ…あるじ様が選んだ男が…主様の純潔を貰えるってことだよな?』

その言葉を口にした途端みんなの目がギラつく。


簡単には渡さない。主様は\彼奴は――

私の\俺の\僕の/我のものだ――。


次回


FOURTH BLOOD 自覚しましたか?主様。

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