テラーノベル
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#挿絵
KEY-STU
26,528
733
#切ない恋
きなこもち
200
にぎゃあっにっにぃ…ぎゅぃ……
謎の声に目が覚めた。腕の下で、何かが動いている気がする。
猫……?
掴み上げ、寝ぼけた目を凝らすと、リノアルがいた。
「ぎっ!にあっ!」
リノアルはぬいぐるみ。つまり、動いて鳴くわけないから夢なんだ。
「お…お話…しに来たの…!だかりゃ…ギュッて…手ぇ止めて…!」
「ぎにぃ……」
手の力を抜くと、リノアルはへたり込んだ。
もしかして生きている感じなのか?でも、破れた部分からは綿が見える、一体なんなんだ。
「手…退けてほしい…ぎにっ…!?」
「…喋れるんだね、話聞いてから止めるよ。
あと、話はなるべく手短にね」
「にぁぁ…?……そのね、大変なことになるからね、明日ね!」
「明日、なにが起きる?」
「にぃ……古代…?とにかくくるよ…明日」
「古代って?」
「……かいぶつ…ばけもの?
とにかく来るよ!だから、強くないと…手ぇ、出して…これ…」
リノアルが耳をはためかせると、破れかけていた部分から、2センチほどの小瓶が出てきた。
夢だからなんでもありか…。
中には赤い液体が入っていた。
「これは?」
「…これ、ぼくのち。強いから、これ君の中入れて…。そうすればきっと勝てる…にぃ。」
なんだかとても重要な気がする。
入れてということは、注射みたいな感じでやればいいのだろうか?
リノアルを放し、瓶の蓋を開けハサミを握る。
…これが夢なら…何でもできる。
「っ!あああぁぁ!!」
「にぁ!?な、何やって!?目に!何やってぇ!?」
滴る血の中。痛みに耐え、瓶の中身を一気に流し込んだ……。
目覚めると、何事も無かったかのように朝は来ていた。
周りには血が乾いた跡と、あの時使ったハサミが落ちていた。
だが、目に痛みや見えないといった症状は無かった。
隣にはリノアルがいたが、動く気配はない。
まだ夢なのだろうか、と思いつつ応急処置をする。
ここには鏡が無いため傷跡は見れない。
何故鏡がないのかは、自分でもよくわかっていない。
多分自分を見ることが怖いんだろう。
左目を慎重に洗って拭き包帯を巻いた。
そうだエドの所へ行こう、あいつらならきっと何とかしてくれる。
鞄に携帯と財布、何となくリノアルを詰めた。
もし死んで幻覚見てるのならだるい話だ。
いや、生きているのだとしても面倒な話だな。
ドアを開けると夕暮れだった。
エドに連絡した方がいいだろうか?
いや、遊びに行くわけじゃないんだしいっか。
鍵を閉め、階段を降りる。
外に出ると、少し冷たい風が吹いていた。
道には学生達がちらほらいた。
しばらく歩き、やがて橋を渡った。
川のせせらぎが心地いい。
…まだ、夢なのだろうか。
エドの家に着きチャイムを鳴らすと、ドタバタと足音が近づき、バタッと扉が開いた。
「やぁ…」
「え!…璃時(りと)?まぁ、上がってよ…」
家に上がると、知らない人がいた。エドの友達だろうか?
「何があったかは知らないけど、…血で髪染めたって言うんじゃないだろうね?」
「なんの事?それより目を見てほしいんだ」
「わかった。道具持ってくるから…、適当に座っといて」
椅子に座り、エドについて少し振り返る…。
エドはあだ名で、名前は江戸塚(えどずか)…だったかな。医者をやってて…あれ、やってたっけ?
あ、とうもろこし好きだったっけ。
エドの友達?はチラチラこちらを見てくる、挨拶ぐらいした方がいいだろうか。
話そうとした時、エドが戻ってきた。
「璃時、目見せて」
包帯を外すと自然に目が開いてしまった。
視界はぼやけ、ピントが合っていない。
それなのに、世界がとても輝いて見えた。
「ぇあ…!…ちゃんと…みえてる…の?」
エドが慌てて聞いてきた。
確かに目を怪我したのに、見えるっていうのは変な話だ。
「何故か、凄くいい感じ。ぼやけてるはずなのに、視界が澄んでる」
「…じゃあ右は?」
「いつもどうり」
「ちょっと見て…」
鏡を渡され見てみると、左目が横に別れていた。
髪も少し赤みがかっている。
「…えぇ?なんだよこれ…?」
「こっちが聞きたいよ!
まあ、とにかく、見えるならいいんじゃないかな…。」
鏡越しにこちらを見ていたエドの友達?は驚いている様子もなかった。
「…エド、あの人は誰なんだ?」
「あー…その…」
エドが答えづらそうにしていると、そいつは口を開いた。
「テト」
「まあ、未来人みたいなもんなんだってさ…」
「未来人?証拠は?」
「信じても、信じなくてもいい、それだけだ」
「…とにかくそういうこと、らしいからさ…!」
「エド、そんなに慌ててどうした。悪い話でも聞かされたのか?」
「まぁ…。」
「重要な事だ…、君にも言っておこう。
古代の覇者が蘇った。」
コメント
1件
読み終わったよ!いきなりぬいぐるみが喋って血をくれるとか、導入から既にヤバくて最高だわ🔥 主人公が迷わず自分の目にハサミ突き刺してその血を流し込むの、マジで度胸ありすぎでしょ…痛みの描写がリアルでゾッとした。目が縦に割れて髪が赤くなるビジュアル変換、めっちゃ好み。最後の「古代の覇者が蘇った」で続きが気になりすぎる!世界観の不思議な感じと、主人公の落ち着いたキャラが合ってて、もっと読みたいって思った。散歩さんの世界、もっと見せてくれ〜!