テラーノベル
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#独占欲
#ワンナイトラブ
#溺愛
受付で手続きを済ませ
産婦人科病棟の長椅子に腰を下ろし
その時を待つ
時計の秒針が奏でる音が
否応なく緊張を煽る
その時が
刻一刻と迫り来る
「水川さん、水川瑠奈さん!」
脈略も無く
突如訪れたその時に
驚き体が跳ねる
「は、はい!」
「お待たせしました、こちらへどうぞ」
急いで立ち上がり
先を歩く看護婦さんを追う
廊下に鳴り響く
廊下を歩く靴の打音
その足取りが
スローモーションに感じる
まるで
廊下を歩く靴の打音が
刻一刻と迫り来る
運命の
カウントダウンの様に
否応なく緊張感を高める
長い廊下の中腹で立ち止まる看護婦さん
右手の扉をノックをして
その扉を開ける
そして
中で待つ医師の先生と対面する
先生の対面に置かれた
病院特有の丸椅子に座り
先生と相対する
「こんにちは!体調はいかがですか?」
先生は
他人事のようにあっけらかんとしていた
一方で私は緊張でガチガチ
軽い世間話を挟み
私の体調を尋ねた後
机の上の書類を手に取り
その書類に目を通す
先生の
一挙手一投足が
まるでスローモーションに感じる
時間の感覚が曖昧で
否応なく高まる緊張で
今にも心臓が飛び出しそうだった
「——で、DNA鑑定検査の結果ですね……お待たせしてすみませんでした」
そう言って
手に取った書類を凝視する先生
先生の目が
書類に向かって左右に動く
「……」
「検査の結果は——」
「——」
ガタンッ!
その瞬間
私は酷い眩暈を熾し
椅子から崩れ落ちてしまった
「大丈夫ですか?!」
「水川さん!水川さん!——」
***
ぼんやりと意識が戻って来る
薄っすらと視界が開けて来る
目を開けると
目線の先には天井
傍らには点滴が見える
室内にいた看護婦さんと先生で
私をベットへ運んでくれたのだろうか
目を覚ますと
私は診察室のベットの上で寝ていた
極度の緊張状態と
妊娠から来る体調不良で
どうやら倒れてしまったようだ
その時の記憶はないが
その直前までの記憶はある
DNA検査の鑑定結果は
——ネガティブだった
お腹の子の遺伝子と
リュカの遺伝情報は
一致しなかった
確率は99%以上
つまり
お腹の子は
純也との子——
「あ、目覚まされましたか!」
「先生、水川さん起きられました!」
「おお~良かった、大丈夫ですか?」
「恐らく妊娠の初期症状による立ち眩みでしょう」
「他にどこか不快な所あったら遠慮なく言ってください」
「無理しなくていいので点滴終わるまで楽にしていて下さいね」
私が
大事に至らなかった事に安堵する先生たち
私は
言葉が出なかった
すみませんも
ありがとうも
一言も発せず
ただ真っ白な天井を眺めていた
先生たちの声は聞こえるが
耳に入って来ない
音もない
色もない
色彩無きモノトーンの世界
絶望しかなかった
楽観的だったわけじゃない
でも
リュカとの未来しか考えていなかった
リュカとの未来しか考えられなかった
あまりにも残酷な結果
あまりにも残酷な現実
言葉にならない
もしも運命があるのなら
これが私の運命なのだろうか
***
診察室を占拠してしまい
病院には迷惑を掛けてしまった
点滴を終え
多少冷静さの戻った私は
丁重にお詫びをして
診察室を後にした
無理をしなくて大丈夫ですよと
優しく声を掛けてくれた看護婦さんにも
丁重にお詫びをした
体調が戻って尚
頭が回らない
考えたくない事を
考えようとする脳を
頭が拒否する
それでも
世界は残酷で
時計の針は否応なく進む
私だけを残して
私もこの世界で生きる住人
時間に順応しなければならない
賽は投げられてしまった
現実を直視し
結果を受け入れ
判断をしなければならない
もう
時間の猶予はない
決断をしなければならない
この先の未来を
私自身で
私の運命を
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