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【勇人視点】
「みんなおはよぉ」
「瞬太顔濡れてる…また勇ちゃんに水かけられたの?w」
「お前もう高校2年になんねんから、ええ加減1人で起きや」
「う〜〜ん」
これは我が家で毎朝行われている光景。今日もいつもと同じ日常が流れていくのだと、そう思っていた。
「え…親父が……」
兄弟の中で最年長で大学3年の俺勇人、俺の2つ年下の大智、そこから順に柔太郎、瞬太と1学年ずつ下がっていく。俺たち4人兄弟の母親はすでに他界しており、父親は仕事の都合で海外に暮らしていた。
実質小さい頃から俺たち4人で暮らしてきたようなものである。
その俺たちの父親が、死んだ。らしい。
といっても、父は自由と1人をこよなく愛してたため、そう悲しいということもない。それは他3名も同様であった。
でも肉親がいなくなってしまったことに何も感じないということもなかった。なんとなくは寂しかった。
しかし、父の死よりも遥かに俺たちに衝撃を与えた出来事が起きたのだ。
「「「「「俺たち以外に兄弟がい(お)るぅう!!!?」」」」」
父の弟…父が社長を務めていた会社の副社長である叔父がやってきて(現在は社長に就任している)、俺たち4人が集められ、改めて父の死を告げられた。その時に相続の話が出て、俺たちが遺産を相続するのに父が出した条件を読み上げてくれたのだ。
遺産を受け取る条件、それはーー
『兄弟5人で仲良く一緒に暮らすこと』
であった。
この文面に俺たちが首を傾げていると、叔父ー克仁が、父には実はもう1人子供がいるという衝撃の事実を教えてくれたのだ。俺たちとの母親とは違う、所謂愛人の子供、というやつだ。
そしてそのもう1人の兄弟が、今日、この家に来る。
「なぁ、今日来るもう1人の兄弟って、本物なんかな」
みんなでドキドキしながら待っている中、大智がぽつりと呟いた。
「さぁな。でも、親父の遺書にそう書かれてたんなら、本物じゃね」
俺はというと…若干不機嫌。今までその子のことを俺たちに黙っていた父に対しても、父が死んでから俺たちに会いに来るその子にも、怒りを抱いていた。
遺産目当てなんじゃないのか、とか、思ってはいけないことばかり考えてしまう。
瞬太だけ、部活の用事でどうしても抜けられないらしく、今この場にいない。
しばらくすると玄関のチャイムが鳴った。
「お、来たで」
「叔父さん、こんにちは」
叔父に挨拶をし、下げた頭を戻した時に叔父の後ろにいた彼と目が合うが、サッと逸らされた。その反応にムッとする。
「…仁人です。よろしくお願いします」
そうぶっきらぼうにお辞儀をする彼は、なんというか…すごく近寄りがたい奴だった。
最初から敵意全開で接するのも大人気ない。そう思い、俺は繕った笑顔を浮かべて彼に手を差し伸べたのだが…
「長男の勇人。よろしくなーー
「よろしく」
仁人はその手を握り返すこともせず、さらにこちらをチラッと見ただけでぼそりと返したのだった。
何だよこいつ!?と俺も思わず表情に出してしまう。
俺以外の2人…大智も柔太郎もおずおずと挨拶をするも、反応は同じ。
するとその時ー
「ただいまぁ」
緊迫した雰囲気をぶち壊すような間延びした声が響いた。瞬太が帰ってきたのだ。
「あ、もう来てるん?って、わっ!めちゃかわえーやん!俺瞬太、名前何て言うん?」
まるで大型犬のように仁人に駆け寄ると両手であいつの手を握った。次の瞬間…
バシッ
「離せっ!」
「えっ…」
仁人は思い切り瞬太の手を振り払ったのだ。驚いたのち悲しそうな顔をする瞬太。その光景に明らかに大智も柔太郎も怒っていた。無論、俺も怒りを覚える。
はぁーー、
思わず漏れてしまう怒気を含ませた溜め息。
「叔父さん、悪ぃけど俺たちこいつと仲良くするのなんか無理だわ」
「何を言ってるんだ、君たちは兄弟なんだぞ」
「俺たちの誰も、こいつを兄弟だと認めていない。長男として言うけど、弟を悲しませる奴なんか、絶対に兄弟とは認めないから」
一度本音が出たら、止まらない。
「大体、何で今更この家に来るんだよ。どうせ遺産目当てなんだろ?」
「勇人くんっ」
「俺だって!」
叔父の静止の言葉を遮って仁人が口を開いた。
「俺だって、こんな所来たくなかった!!」
普段大きな声を出し慣れていないのだろう。仁人は肩で息をしながら、キッと俺を睨んでいる。
「ま、まぁまぁ2人とも、落ち着いて。これから3ヶ月間一緒に暮らすわけだし。仲良くしようじゃないか、ね?」
宥めるように俺と仁人の間に入る叔父だが、俺はそれよりも気になることがあった。
「3ヶ月間?」
「そうそう。あれ、言ってなかったっけ。皆が一緒に暮らす期限は3ヶ月だよ。それ以降は、一緒に暮らすかどうかは君たちが決めればいい」
「「一緒に暮らすわけないだろっ!!」」
俺と仁人が同時に叫ぶ。
それに大智がプッと吹き出した。柔太郎も、顔を俯かせているが肩が震えている。
仁人は相変わらず俺を睨んでくるし…
年齢的に俺の弟らしいけど…ぜんっぜんかわいくねぇし!!
こんな奴、ぜってぇすぐに追い出してやる!
俺は心の中でそう強く誓ったのであった。
コメント
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おお、第2話も熱かったわ…!勇人の兄貴としての責任感と仁人への複雑な感情がめちゃくちゃ伝わってきた。特に「弟を悲しませる奴は認めない」ってセリフ、カッコよすぎて痺れたわ。仁人の「来たくなかった」って叫びも本音っぽくて、どっちにも感情移入しそうになったわ。この3ヶ月でどう変わっていくのか、続きが気になって仕方ない🔥