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シャワーを終え、バスローブ姿になった佐伯は、げっそりした様子でベットに腰かけた。
説明を見ながら行った初めての浣腸は思っていたより体力を使った。
疲れていられない。彼がシャワー室から出たら多分、もう……。
かぁっと顔が熱くなる。そして自分が腰かけているのがおそらくその場になるベットだということに気がついて飛び上がる。
無理、無理。恥ずかしくて死んじまう。
イスに座ったり、部屋中歩き回ったり、今更窓はないかと探してみたり、落ち着きなく歩いていると
「あがったよ」
「ひっ」
短く悲鳴をあげてシャワー室のドアの方を見るとバスローブ姿の彼が出てきた。
「おいでよ」
ベットに腰掛けトントン、と隣を叩く。目線を外しながら隣に座る。
「ちょっと相談したいことがあってさ」
「なに……?」
言いながら差出してきたのは媚薬と書かれた小瓶。最初、部屋で目が覚めた時にテーブルの上にあったものだ。
「これ、テツ飲まない?」
「え?!」
想像していなかった提案に大声を上げて固まると彼は補足し始める。
「プリントの説明書あったじゃん。あれにさ、初めての人は慣れるまで時間かかるって書いてたでしょ?」
「うん」
「……あの、テツに痛い思いさせたくなくてさ。その……俺も痛くしないように頑張るけど……そんなに上手じゃないと思うから、できれば飲んで欲しい」
珍しく目を泳がせながら彼は説明する。見れば頬が赤い。
照れる姿は付き合ってから何度か見たことがあったけれども、こうやって至近距離で見るのは久々な気がした。
「……うん。分かった」
俺も釣られて赤くなりながら頷く。未知の薬に口をつける怖さはあるが、気を遣ってくれた上での提案なら悪い気はしなかった。
恐る恐る薬を飲み込んだ。どのくらいで効き目が出るのか、どんな効果があるのかは明記されていなかった。
中身はほんのり甘い香りがして味はよく分からなかった。
媚薬の知識は同人誌とかでしか得たことのない俺はちょっと拍子抜けしていた。
「こういうのって急激に効果でるもんじゃないんだ」
「体に変化なし?」
「特には?」
「へぇー」
宇佐美もそこら辺はあまりよく知らないらしい。思いの外、佐伯の媚薬レビューに興味津々だった。
ちょっと緩くなっていつも通りに近い空気感に少し緊張がほぐれた。
頬に手が添えられて、彼の方を見た。
「そろそろさ、いい?」
ぶわっと体温が上がった。少しだけ間をおいて頷いた。