風が吹き荒れる
柊「…思い出すなぁ。」
昔、住んでいた家の部屋の隅でそう呟いた。
荒れ果てた惨状は、既に把握済みだった
柊「……これ、アイツの…」
タバコの残骸を見つける。僕の腕に、タバコの後始末として押し付ける。
根性焼きというやつだったのだろうか。泣こうとしても、泣けない。
部屋は異臭に塗れていた
ここで疑問に思うだろう。何故ここに再び来たのか?それは、仕事の依頼だったこの事件を調べてほしいとのこと。当事者にそんなこと言っちゃっていいのかと思ったが、相手は知らなかったのだろう。柊「…僕が1番知ってるのに。」
被害者…そして加害者。
僕の調べによると、加害者がそのような事をする子では無かった様。二重人格にでもなったのかと疑うほどだ
柊「なんでわざわざ、調べてるんだろ、僕。」
きっと、三人称視点からこの事件を見たかったのだ
かなり情報を入手したと思う。一旦現場から離れ、帰宅した。
柊「ただいま〜」
クロ「あ、おかえり。柏木は出かけたぞ。輝樹は…」
柊「大丈夫、聞いてるよ。集まりでしょ?」
クロ「あぁ。とりあえず、仕事についてなんだが…メンタル的に大丈夫か?なんなら、俺が調査しても良いんだが…」
柊「もぉー、そんなに心配しないでよ。大丈夫だよ」
クロの方も仕事が山積みになっていた。
だから、気遣って仕事を増やさないようにさせた
クロ「…晩御飯、どうするか」
柊「あー…僕、お腹すいてないからさ、クロは適当に冷蔵庫にあるやつ食べなよ!何か作って欲しいなら作るよ?」
クロ「わかった、ありがとう。俺1人でパスタ作る」
柊「お!やる気だね〜」
僕の兄、クロは責任感があり、”あの事件”で僕を助けてくれた張本人。
クロは相当気にしているらしい。
柊「それじゃ…僕資料まとめてくるね!」
クロ「わかった、俺は少し仕事場に取りに行く物があるから出かけるぞ。留守番よろしく。」
そう言って家から出て行った。
柊「……さーてと、僕、早めに資料完成させなきゃ」
ガチャ。
ドアを開け、部屋に入る。
机に向かって椅子に座る。
資料をみつめていると、いつの間にか涙が頬を伝っていた。泣いていたようだ。
柊「…ごめんなさい…」
どうして僕にお父さんやお母さんがいないんだろう。
どうして僕はこんなに痣だらけなんだろう。
なんで僕がこんな目に遭わなきゃならないの?
なんで僕は泣いているの?
わからない。
わからないんだ。