2025.5.29
緑目線
「な、なにここ……」
「あぁ”ー、ついに当たったか……」
「知っ、てるの?この部屋のこと。」
「……まぁ噂だけな。2人組じゃないと絡んでこない物ノ怪だから俺も初めてだ。」
「そっか…あの…これってそーゆー意味、だよね…///?」
「そのまんまの意味だな…」
『中出ししないと出られない部屋』
2人組だといっても獏みたいに好みがあって、条件が当て嵌った者をこちら側に飛ばす。
……俺のせい、か。
「本当にしないとダメなの…?」
「だな……まぁお前が嫌ならしねぇよ。いつか祓われるだろうし。」
置かれているソファは先程まで座っていたものと同じようだが、棚には卑猥な形の物体や、透明な液体が入った容器。どうやって使うのかわからない拘束具などが整然として並び、誰がみても異質だと分かる部屋に様変わりしていた。
軽く壁をノックするとそこまで分厚いものではないとわかる。しかし、いつも肌身離さず持っている付喪は手元から消え、壁を破壊する手段がなくなっていた。
「時也なら破壊できそうなのにな…」
「……て…よ…」
「あ?なんか言ったか?」
「…してもいい、よ…緑間となら…」
小さいながらも発せられた言葉に目を見開く。どくんと大きく心臓が脈打った。
現世へ戻るために彼は決心してくれたんだ。俺に特別な感情は向けられていない。
……勘違いするな。
「現世に戻っても殴ったりすんなよ。」
「しないよ、そんなこと……」
「……できるだけ痛くないようにする。」
「うん…お願い、します……」
ゆっくりと顔を近づけ、額を合わせる。そうしてしばらく見つめ合っていると時也が徐に目を閉じた。
これはそうゆう合図…だよな?
優しく頬に触れると全身に固くちからが入る。これが少しでもなくなってくれることを願いながら、ただ重ねるだけの幼稚なキスをした。
「真っ赤…したことねぇのかよ。」
「……初めて…」
「ぇっ、?そう、か……ごめんな、初めてが俺で…」
「……ぃや…」
男同士の仕方なんて知らないが、性行為自体の知識は俺のほうがある。時也もそれをわかっていて自然と役割が決まった。
肩を軽く押してソファに寝かせる。
「なるべく早く終わらせるから。」
行為を示唆すると顔が歪んだ。
ごめんな、怖いよな。
こんなこと嫌、だよな……
パッケージに媚薬配合と書かれてあるローションを手に取って手のひらに出す。
正直に言ってこんなものの効果なんて信じていないが、これから時也が感じるであろう気持ち悪さを少しでも軽減させたかった。
性行為の経験なんてないけど、俺まで怖気ついたらさらに不安にさせてしまう。
慣れているように演じるんだ。
もう解さなくていいと言われた後穴に自身をあてがう。こんな条件だからか豊富な道具の中にゴムはなかった。
「ぃ”っ……」
「なぁ、やっぱりもう少しっ、」
「大丈夫っだか、ら…はやく……」
「……ここさえ挿れたら痛くねぇと思うけど…無理すんなよ?」
「…ぅ”んっ…ふ、ぅ”っ…」
裂けてしまわないように様子を見ながら入り込む。時也の固く閉じた目からは次々と涙がこぼれていく。
俺の心の中に嬉しさなんてなく、罪悪感でいっぱいだった。願っていたことだが、初めてがこんなことになるなら出来なくてよかったのに。
「…っ…入っ、た…?」
「うん、全部入った…よく頑張ったな…」
子供をあやすように優しく抱きしめ、頭を撫でる。痛みや気持ち悪さからくる身体の震えが治まるまでしばらくそうしていると、微かに時也の腰が揺れはじめた。
「…動いても大丈夫そうか?」
「だい、じょうぶ…」
「気持ち悪くなったらすぐに言えよ。」
ここまではなんとか来たが、最後に残っている大きな問題がひとつ。
俺は『遅漏』だということ。
行為が長引くほど時也への負担は増えるが、早く出すために速度を上げたらそっちの方がきついはず。大丈夫、このくらい弱い快楽でも時間をかければ出る。
使用したローションの効果が出るのを望みながら、抽挿を繰り返した。
ぬちぬちとした小さな水音といつもより少しだけ荒い2つの呼吸音が重なる。
なるべく浅く、ゆっくり動かせ。時也に負担をかけないようにして俺が出すだけでいいんだ。
「…緑間…」
「気持ち悪くなった?一旦抜くっ、」
「いやっそうじゃなくて……我慢、しないで…」
「な、なにが…」
「緑間になら…何されてもいいから…」
「……はぁあ!?///なにいってっ、」
「俺のこと、気にせず動いて…?///」
両手を広げてこちらに問う。
己の欲のためだけにならないよう、必死になって抑えてるんだからそんな顔をしないでほしい。ふつふつと沸いている加虐心が理性を飲み込んでしまいそうだ。
「本当にごめん…あとで俺のこと殴っていいから…脚、左右に開いて?」
「…、ぅん……//」
恥じらいながらも開いてくれたそこに入り込む。
さっきよりも深く。
「……ちょっと苦しいぞ…」
「はぁ”っ…んぅ”っ……ごぷっ!?」
「っあ!ごめんっ抜く、」
「い”い…気に”し、ないで…いぃ”からっ…」
俺が内臓を圧迫しすぎて吐きかけたというのに、まだそんなことを言ってくれるのか。気にせず動いてしまったら本当に吐いてしまうかも知れないのに。
あぁもうぐちゃぐちゃにしてやりたい……
俺のせいで苦しんでいる彼をみて、そんなことを思ってしまう自分を嫌悪した。
「あ……時也、手。」
「、ぇ”?」
「強く握りすぎ…血ぃ出てる……」
「……?…ぁ、///」
「ごめんな…もう少しだけ我慢してくれ…」
彼の両手を取り指を絡める。
ここだけ切り取れば恋人みたいだ。
彼のことを考えながらも、自身の快楽のために奥を潰すと反射的にナカがきつく締まる。
それがどうしようもないほど気持ちよくて、涙を浮かべながらも耐える表情や、握りしめられる手から伝わる彼の体温に理性が徐々に溶かされる。
「やば、でるっ…//」
「っだめ!!」
「…え、…」
「ナカっ…俺のナカに、だして…///」
「ぇっ…あ、あぁ…そっか……」
俺のモノが抜けないように回された脚。
赤く染まり涙や涎で濡れた顔でそんなことを言うもんだから勘違いしそうになる。都合の良いように捉えてしまう。
ここから出るためなんだ。
彼の意思じゃない。
違う違う、違う……
はやく条件をクリアさせるため、腰の律動を再開した。
だんだんと気持ち悪い感覚が快楽に書き換えられてきたのか、時也から喘ぎ声までとは言わない艶やかな声が漏れる。
「んぁっ//……みどりまっ//」
「気持ちよく、なってきた…?」
「わかんな”ぃ”っ…///」
「感じてんだろ?えっちな声でてる…」
「ぅ”、///……っ”…//…ん”ぐっ…///」
俺に指摘されて声が漏れないよう、必死になって我慢する。どうしてこんなにも劣情を煽るのが上手いのか。
彼の行動全てが理性を喰らう。
互いの手に力がこもる。
「なぁっ、俺のこと…圭って呼んで?」
「…け、い……けい…///」
「ん…ありがと……」
「あ”っ//…ぉくっ…きもちっ///」
「うん、きもちぃね……」
「けいっ//けぃっ…///」
「っん?っはぁ…なにぃ?」
「…すき……好きぃ…///」
ピタリと思考が停止する。
……は??
「…俺も……好き、だ…」
「……ぇ、……もしかして俺言っ!?」
咄嗟に口を覆おうとしたのか両手が動くが、あいにく俺の手で埋まっている。口ごもりながらみるみるうちに赤くなっていく彼がとても愛おしくて、唇を重ねた。
「あ、ぅっ…///」
「ふっw…可愛い……」
「うっさぃ……」
「時也……舌、出して。」
「…ぇ、ぁっ、///…んっ…」
控えめに出される舌。
彼の舌を噛んでしまわないように気をつけながら、大人のキスをする。すぐに離れると切なそうな顔をしていたもんだから、瞼にキスをした。
繋いでいた手を離し、細い腰を掴む。
「動くよ…」
「んぁ”っ!?♡ぁ”う”っ♡♡」
「さっきまでと声違う…感じてる…?」
「ちがぅ”の”♡そこっなんかへん”っ♡」
「めっちゃ締まってるもんな//きもちーね…」
「ッッ!ちがぁ”っ///きもちよく、なぃ”っ♡」
いつもの素直さが失われ、悪態をつく。その僅かな変化だけで互いの心が繋がったと分かる。
「時也…でそうなんだけど…いい?」
「おねがぃっ…だしてっ、ナカにほしい…///」
「はっ…おねだりじょーずじゃんっ!♡」
「あ”っ!?ぉ”っ、!♡だめ”っ…そぇ”っや”ら”ぁあ”っ♡」
どこにも逃がさないように強く抱きしめると、それを返してくれる。ギリギリまで抜いて一気に奥まで挿れれば、まとわりつく粘膜がキツく締まる。
「っ締めすぎ///……でるっ///」
「!?ィッッグッッ〜〜!??♡♡♡」
時也のナカに欲を注ぐと左右に大きく開いた脚をガクガクとさせながら、背中を大きく反らせる。
ナカに馴染ませるようにゆるく動かす感覚でも感じているようで、薄く引き締まったお腹を震わせながら抑えきれていない甘い声を漏らす。
「〜っ///なんで、また…///」
「……わりぃけどもう少し付き合って。」
「まだまって…ってねぇ”!だめっ//動かないでぇっ!♡♡」
「ナカで感じてんだろ…?ぎゅうぅ♡って締め付けてる♡」
「ちがっ!///そんなわけっな”ぃ”い”!?だめっ!そこやらぁ”あ!!とまっでッ…またィグッッ♡♡」
「きもちーの止まんないねぇ?ガックガクじゃんw」
「こわぃ”っ♡!!もぅ”やだ!♡ぬい”てぇ”っ!ぉ”かしくなっちゃ”ッッ〜〜♡♡」
「かわい…大好きだよ、時也…」
欲のままに彼を犯す。
背中に走る痛みなんてどうでもよかった。
言霊界の変な部屋からは解放され、なんの変哲もない白尾にいた。少し前に戻っていることは気づいている。俺も、時也も。
それでも互いを離さなかった。
コメント
4件
はぁ…。なんで絵も上手くて、物語も上手いのかなぁ…。
ああぁぁあ……大好きですぅ……泣