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「購買、今日チョコパンあった?」教室に入るなり、えとさんが目を輝かせて聞いた。
「えとさん、またそれ?」
うりが笑いながら言う。
「チョコパン無いと1日頑張れないよ!」
えとさんは明るくてちょっとサバサバしてるけど、どこか抜けてて可愛らしい。みんな自然と彼女のまわりに集まってくる。
「……えとさん。今日は風つよいし、花粉やばくない?窓開けちゃだめだよ!」
ゆあんくんが急に真剣な顔になった。
「花粉なんてへっちゃら!だいじょぶ」
「また変なこと言って…くしゃみ止まらなくなりますよ?」
のあさんがあきれた顔をしながらも、えとさんの髪をそっと直す。
「いや、のあさん、それ去年の話でしょ…」
のあはえとの親友で、みんなのお母さんポジション。優しくて心配性で、何かと周りを見てる。
そんな騒がしい朝の空気に、ガラガラっと教室のドアが開いた。
「はいはーい!じゃぱぱ登場!!」
「声でっけー、」
「自分の声調節できないタイプか」
うりとゆあんくんが突っ込む
「朝から元気な証拠だろー」
教室はまだ始業前のざわざわした空気。
けど、このメンバーが集まると自然と賑やかになる。
そんな中、じゃぱぱが机の上にペンをトントン鳴らしながら、ふと思い出したように言った。
「てかさ、今週の金曜、学校終わったらみんなでどっか行かない?」
「お、いいね」うりが即ノッてきた。
「でもどこ行く?春って微妙じゃない?暑くも寒くもなくて、ただの花粉」
「遊園地とか?」と、のあさん。
「混んでそう〜」と、ゆあんくん。
「じゃあ……放課後の屋上でチョコパーティーとかは?」
えとさんがニッと笑って言った。
「またちょこ!!」
みんなの声が重なる。
「いいじゃん、放課後に屋上。春風感じて、チョコ食べて、青春って感じ」
うりがちょっと茶化しながら、えとさんの肩をぽんと軽く叩いた。
「やば、青春って言った。うりが青春とか言うと軽く聞こえる」
じゃぱぱが笑いながら言うと、うりが「失礼だなー」とか言いつつも、笑っている。
そんなふうにわいわいしてる時間が好き
あったかくて、にぎやかで、だけどなんか心が落ち着く感じ。
えとがそう思って窓の外を見たとき、校庭の向こうから見慣れない背の高い男子がこっちに向かって歩いてくるのが見えた。
春風にシャツの裾をふわっと揺らされながら。
「……あれ、転校生?」
誰かのぽつりとした声に、みんなの視線が外へ向く。
ほんの少しだけ、空気が変わった気がした。