テラーノベル
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みことがすちを抱えたまま戻ると、 そこにはひまなつとこさめも待っていた。
心配そうにみことの姿を見ていたが、 みことが元気そうに微笑むのを見て、安心したように息をつく。
だが――
すちはみことの胸元にしがみついたまま、 誰が来ても絶対に離れようとしなかった。
「すちくん、もう大丈夫だよ~? みことくん元気だし!」
こさめが近寄り明るく声をかけても、 すちはこさめに視線すら向けず、 みことのシャツをぎゅっとつかんでさらに埋まり込む。
「……むり。みこちゃ、はなれない」
みことは思わず困ったように笑い、 こさめはキュンとしたように頬を押さえた。
ひまなつも隣から覗き込む。
「うわ、すち……完全に“みことセンサーモード”じゃん…… 離れた瞬間また泣く感じ?」
「う、うん……」
みことが苦笑まじりに頷くと、
「だよねぇ……」
とひまなつは納得するように肩をすくめた。
らんが用意してくれた温かいスープとおかずがテーブルに並ぶ。
「だっこ……」
みことはすちを椅子に座らせようとするが、 ぎゅむっと腕にしがみつくので、 結局、みことはすちを膝に乗せて食べることに。
みことがスプーンを持つと、 すちはみことの胸に顔を預け、みことの手元をじっと見つめる。
「あっ、すちくんもスープ飲む~?」
こさめがカップを近づける。
すちはみことのシャツをつかんだまま、 小さくぶるぶると首を振った。
「……みこちゃが、くれる」
「わ、わかった! うん!!」
こさめはなぜか嬉しそうに飛び跳ね、 いるまは「甘えすぎだろ……」とため息をつく。
みことが優しくスプーンをすちの口へ持っていき、 すちは「ん……」と小さな声で一口食べる。
その様子があまりに可愛く、 ひまなつはテーブルに突っ伏して悶えていた。
食後、みことが席を立とうとすると、 当然のようにすちもぎゅっと抱きつく。
「すち……トイレやから、ちょっと――」
「やだ。いっしょ」
「いや……えっと……」
困っていると、ひまなつがにやりと笑う。
「みこと、観念しな。 この状態のすち、離れたら泣くよ?」
「わかってるけど……トイレなんやけど……」
結局、ひまなつとこさめが「外で見守ってるから!」と言って みことはすちを抱えたままトイレへ。
すちはみことの胸に顔を埋めたまま、
一秒たりとも離れない。
「すち、ちょっとだけ……待っててくれへん?」
「みこちゃ、いる……ここ……」
すちはぎゅっとしがみつき、離れようとしない。
外で聞いていたこさめは悶えながら床を転がっていた。
午後になり、全員がリビングでくつろいでいると、 すちはみことの胸の中でまどろみ始める。
みことはソファに座り、すちを抱きながら静かに撫で続ける。
「……ほんとに、ずっと離れないね」
ひまなつが笑いながら言うと、
「……離れたらまた泣くから」
みことは少し照れたように返した。
いるまが腕を組んでうなずく。
「まぁ、みことが倒れてからずっと泣いてたしな。 無理もねぇよ。心底怖かったんだろ」
らんもコーヒーを飲みながら苦笑する。
「お前らはお互い依存度高いんだからさ。 まぁ……今は甘やかしとけよ」
みことはそっとすちの額に触れ、 安心したように息をついた。
そして腕の中のすちが、 寝言のように小さな声で囁く。
「……みこちゃ……ずっと……いっしょ……」
みことは胸がきゅっとなり、 優しく抱きしめ返した。
「いるよ。ずっと一緒にいるからね」
その言葉に、 眠ったまますちはみことの服をぎゅっ……と握った。
コメント
2件
可愛いすぎやん(/ω\)何まじで主さん神すぎん?最高なんですが(❁´ω`❁)