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第四章「生死」

9月4日

烏間県立病院 治療室にて

両角は点滴を打たれポタポタと流れ込んでくる所をボケっと見ていた。

(俺の存在って一体なんなんだろ。俺の存在意義って、、、)

彼の心はとても揺らいでいた。普通に生きることを望んでいる人間か、人を毎日のように殺しまわる殺人鬼か。

毎日続くような悪夢に両角の目元にあるクマは酷くなって言ってる気がする。はたから見た姿はまるでミイラのようだった。

コンコン、

「はい。」

前ぐれもないドアのノック音に両角はよそよそしい声で返事をする。八ツ橋先生がドアを開けて中へ入ってきた。きっと先生は体調を見に来たのだろう。

「体調は大丈夫かい?感情は落ち着いたみたいだね。」

「はい。」

両角は『はい』か『いいえ』しか言葉を発することしか出来ないみたいだ。まるで人形のようだ。生きているという雰囲気が伝わってこなかったのだ。

「私たち医者は何もできることもやれることも無い。だけれどもアドバイスはできる。明日の真夜中、あの時、あの場所で話してみればいいさ。何か変わるかもしれない。」

両角は返事を返さなかった。

同日15時

犯人の特定へと赴く武に悠哉は声をかける。

「よう、武。何かあったか?犯人候補とかは?」

「1人だけ。」

「へぇ?いたのか?」

「確定では無いけどな。烏間町に住んでいる両角 生喜子(もろずみ いきこ)18歳、男性。」

「でもなんでこいつなんだ?髪なんか白くないじゃないか?」

「あぁ、でもな。両角 生喜子は解離性同一性障害って言うやつを患ってるっぽいんだよ。」

「なんだよ解離性同一性障害って。」

「俺も今調べ中なんだよ。」

「なんだよ。俺も一緒に調べっからさ頑張ろうぜ。」

「応!!」

2人のたどり着くべきゴールもまた見えてきた。両角への道、いや全ての終わりの到達地点はあと少しだ。

同日21時

帰ってきてテーブルの席に着いた両角はアイツのことしか頭には無い。アイツというのは当然、試験人Δのことである。試験人Δは何のために殺人をしているのかなぜずっと隠れているのか。謎が出てきても解決出来ることはない。

両角の疲労は限界を超え眠気を誘っていた。眠らないように頑張って意識を保っていたがため息をつこうとした瞬間、そのまま机に俯いた状態で眠りについてしまった。

深夜1時

両角は今日もまた人を殺す夢を見ていた。

(今日もまた?)

今回は周りが薄暗くひとつのスポットライトを浴び女性を殺している夢を見ていた。

『お前がまた死を呼ぶぞ。ふっふっふっふっ。』

(嫌だ。嫌だ。)夢の中だけれども心拍音が聞こえる。それは段々と激しくなり限界を超える。

(嫌だ!!)

両角は夢から覚め、現実へと戻る。

『ちっ、またか。でもこれで終わりだ。トレード。』

「は?」

『お前は俺の視点でも見てろ。』

両角は試験人Δと精神を交換し両角を意識内へと戻した。

『さぁ、儀式を始めよう。灯りはもう灯している。あとは呪文か。』

試験人Δの足元には魔法陣らしき文字と見知らぬ男が目隠しとタオルを口に詰められていた。

『魂を司る神よ。私の魂をこの男に宿させ私を救たまえ。』

「は?」

雷が突然、鳴り響き試験人Δは意識を失い倒れ込みたったの一瞬だけ暗闇と静寂に包まれる。両角が一番最初に目を覚ましたかと思えたその時。

『お前が一番最初だと思ったのか?ふっふっふっ笑わせてくれるよ。弟よ。』

試験人Δが一番最初に目を覚まし目の前に立っていた。

『明日までの猶予をやる。明日を楽しめよ。』

両角はある言葉を思い出した。

(明日の真夜中、あの時、あの場所で話してみればいいさ。何か変わるかもしれない。)

八ツ橋先生の言葉が脳裏を横切り試してみることにした。

「なんで俺を殺そうとするんだ。」

『それは明日のお楽しみだ。孤独で哀れな人間。最後の一時の前にお前に教えといてやろう。俺の名前を。』

『俺はお前の兄、両角 死無子(もろずみ しぬこ)だ。』


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