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??「僕はね……蘭丸。よろしく、晴明くん」
晴明『……蘭丸、さん……?』
名を告げるその声は、不思議なくらい柔らかくて、
部屋の冷えた空気の中でも、春みたいな温度を持っていた。
蘭丸「うん。あっちゃんから君のことはちょっと聞いてたんだ。
面倒くさくて、泣き虫で、でも優しい“恋人さん”だって」
晴明『……あは、そうなんですね……面倒くさいって、ちゃんと伝わってるんだ』
自嘲気味に笑いながら、袖で濡れた頬を拭う。
けれど蘭丸はその仕草を見て、ふと膝を折った。
そして、晴明の目線まで顔を下げる。
蘭丸「泣いてる子の顔ってさ、見てるとどうしても手を伸ばしたくなるんだよね」
そう言って、彼はそっと晴明の頬を指先で拭った。
その手の温かさに、晴明はびくりと肩を震わせる。
晴明『……どうして、そんなこと……』
蘭丸「泣くの、下手そうだったから」
晴明『下手……?』
蘭丸「無理して止めようとするでしょ。
そういう涙って、止めようとすると逆に溢れるんだよ」
彼の言葉は、まるで晴明の胸の奥を見透かすようだった。
晴明は何も言えず、ただ唇を噛む。
蘭丸は続けた。
蘭丸「君さ、誰かのために泣いてるんでしょ?」
晴明『……どうして、そう思うんですか』
蘭丸「そういう涙は、自分を責める時の匂いがする」
その言葉に、晴明の視界が一瞬揺れた。
心の奥にしまっていた「理由」が、蘭丸の声で呼び覚まされる。
晴明『僕……っ、誰にも言ってないのに……』
蘭丸「言葉にしなくても、分かるもん。
君、優しいんだ。誰かを幸せにしようとして、自分の心を切ってる」
彼の声は穏やかで、どこまでも透き通っている。
その穏やかさに、晴明の張りつめていた感情が、ゆっくりと緩んでいった。
晴明『……でも、それで良いんです。僕が我慢すれば、皆が……』
蘭丸「“皆が幸せ”って、便利な言葉だよね」
晴明『……え?』
蘭丸「それを信じてる時、人は自分の痛みに気づかないようにしてる。
でもね、君が泣いてる限り、誰かもきっと泣いてるよ」
晴明『……そんなこと、ないです』
蘭丸「あるよ」
蘭丸の言葉は静かに落ちる。
その静けさが、まるで雨上がりのように心に沁みていく。
蘭丸「泣いていいよ、晴明くん。止めなくていい」
その一言で、また涙が零れた。
でも今度は、悲しい涙じゃなかった。
少し温かくて、少し軽い。
晴明『……蘭丸さん……』
蘭丸「うん?」
晴明『……ありがと、ございます……』
蘭丸はにこりと笑って、
濡れた髪をやさしく撫でた。
蘭丸「ほら、少しは楽になった顔してる」
晴明『……本当ですか……?』
蘭丸「うん。大丈夫、君のこと、見てる人はちゃんといる」
晴明の頬を拭って、彼はそっと窓の方を見やる。
外では夜が深まっていて、星がぽつりと瞬いていた。
蘭丸「さ、もう少し泣いてから寝な。
明日は今日より、きっと少しマシな朝になる」
晴明『……はい……』
――その夜、晴明はひとりじゃなかった。
蘭丸の声が、ずっと心の奥で響いていた。
「泣いていい」――その優しい呪文が、
ようやく彼の世界を、ほんの少しだけ明るくしていた。
違和感しかない、、難しい、、
どうしよう、一応学晴のはずなのに、隊晴になっているような……
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やばいナキソウニナッチャイマシタ…🥲
ぐへへへ
へへへ