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若き覇王に、甘くときめく恋を

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若き覇王に、甘くときめく恋を

65 - 第三章 ときめきの甘い恋を、あなたに EP.2「セカンドデートは、公園で」④

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2025年02月03日

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「うん、美味しい」


ピンク色のでんぶを振った手まり寿司とプチトマトのベーコン巻きを食べた彼が、顔をふっとほころばせる。


「これも、どうですか? タコさんウインナーです」


割り箸で摘まみ、ふとした思いつきで「あーん」と、口にすると、「……うん?」と、彼が不思議そうに首を傾げた。


「あっ、口をあーんて開けてみてくださいってことでして。私がその、食べさせてあげますから」


「えっ?」と、彼が箸を止める。


「嫌でしたら、別に……」


その場の思いつきとは言え、なかなか恥ずかしい行為だったかもと、摘まんだ箸を引っ込めようとすると、


「あー……ん」


正面で目が合うおもはゆさに瞼を閉じた彼が、照れくさそうに小さく口を開けて、私も照れながら真っ赤なタコさんウインナーを差し入れた。


「……うまいな。君に食べさせてもらえたから、特別に美味しく感じられる」


そう言って、照れた顔に薄く笑みを浮かべる貴仁さんに、私もウインナーの色みたいにほっぺたが真っ赤になりそうだった。


「ごちそうさま、どれもとても美味しかった。君はまるでシェフのように、料理が上手なんだな」


「シェフのようには、ちょっと大げさに褒めすぎです……」


さすがに謙そんはしつつも、彼に喜んでもらえたことが、手放しに嬉しくてたまらなかった。


「……君の作ってくれたものが、今までで一番うまかった」


首筋がつと片手で抱き寄せられ、耳元に低く囁きかけられて、カーッと全身が火照る。


「あ、あの、ち、近いです……」


「近い?」


問い返されて、耳に吐息がふいと吹きかかる。


「きゃっ……」


「かわいい声だな」


仄かに熱を持った耳を知ってか知らずか、彼のしなやかな指がなぞる。


この密着度は……、あんまり距離感がつかめてないから……?


そんなに恋愛はしたことがなくてとも話していたけれど、そのせいでなのかな? いやそれ以前に、もしかして天性の王子様気質とか……。



どっちにしたって、ドキドキが止まりません……っ!



心音がけたたましく早鐘を打ち鳴らしているところへ、


「他にお礼が思いつかないんだが、よければ……代わりにキスをしても、いいだろうか?」


なんて、思いもよらないことを突然に告げられて、


「あっ、え……は、はい!」


鼓動が急激に早まり、ついどもり気味になる。


「どこが、いい?」


耳元に唇を寄せられたまま囁かれて、それこそ今にも心臓が爆発しそうな程に高ぶるあまり、テンパっておしぼりでぐいぐいと口を拭ってしまった。


そのあげく返事もせずに口を拭ったら、それはさぁ唇にとかしているようなものじゃないと気がついて、いよいよのぼせ上がりそうになった。


「唇に、で……いいんだな」


もはや引っ込みがつかなくなり、こくこくと首を縦に頷く。


顎に彼の長い指先が掛かり、そっとそばへ引き寄せられ、形のいい薄い唇が迫る。


熱に浮かされ目を瞑ることも忘れている私の眼前に、睫毛を伏せた彼の顔が真近くなったかと思うと、唇が柔らかく触れ合った。


触れるだけのキスなのに、こんなにも感じたことなどなかったかもしれない……。


それくらい彼のキスは刺激に満ちて、私に冷めやらない興奮を与えた──。


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