「っていうのが俺の人生。黒鬼院様と会ってからは李仁と琉生にも会って新しい生活を送っているわけ。正直、まだ俺は罪を償えきれていない。人なんて信じないし、信じたいとも思わない。」
「それでも……私のことは信じてくれたんですか……?」
「は!?自惚れないでよね。人生の話をしただけで仲良くなれたとか馬鹿じゃないの?そもそもあんたが聞いてきたから答えただけだし。」
「でも…今の白銀さんは、少し寂しさが減った気がします。不安が消えたように見えます。話してくれてありがとう。」
「ほんっと、馬鹿。俺の話なんか聞いて何になるわけ?でもまあ、同情して可哀そうって言われるよりは、あんたみたいに泣かれる方がマシだけどね。あと、俺のこと……輝石でいい。」
「私は…知らなかったことを知って、抑えきれない悲しみを受けて泣いてはしまうけれど、無暗に可哀そうって言葉…使いたくないから。だって、可哀そうって言葉はその人のことを自分よりも下に見ているから使える言葉であって、平等な立場じゃない。平等な立場になれてもいないのに…なろうともしていないのに相手を理解することなんて絶対にできないから。」
「……変わってるよ、ほんと。自分の話なんてあんましたことなかったけど、あんたの反応が一番マシだった。それだけは褒めてやるよ。」
「あー!輝石くんがいる。」
「お前は朝からテンション高いんだよ。」
「琉生くん、おはよう。」
「うん、花月ちゃん、おはよう。よく眠れた?」
「んー…まあまあかな。」
「背中の傷…大丈夫…?薬、持ってきたんだけど……。」
「昨日よりは痛くないかな。後で、塗るね、ありがとう。」
「僕が塗ってあげるー!服脱いで。」
「あ、おい……。」
「ありがとう……。でも、琉生くんも輝石くんもここにいて平気……?」
「なにが~?」
「橙さん…寂しくないかな…?」
「ぎゃはははっは!あいつはそういうの気にしないから大丈夫だよ。むしろ1人になれて喜んでるだろ。」
「そう…なのかな…?」
「今ね、李仁くん、お仕置中なの。黒鬼院様に無言で花月ちゃんに鞭打ちしちゃったから。」
「お仕置きって、大丈夫なの!?」
「へーきへーき。まあ、ちょっとしんどいけど。」
それって大丈夫じゃないタイプだと思うんだけど……。
「僕たちって下層吸血鬼だから、基本的に血液不足で飢えと闘ってるの。その飢えを強制的に起こさせるんだよね。それで1日部屋に閉じ込めるの!ほんのーに訴えると、躾になるって言ってた!」
すごく無邪気に言ってるけど、やっぱり大丈夫じゃないと思う。吸血鬼だってことは、輝石くんも琉生くんも橙さんも血が必要だってことだよね……?
「そんな顔しなくても襲わねえって。お前の血吸ったら俺らも怒られる。」
「そうそう!僕的には花月ちゃんの血、飲んでみたいけどお仕置きは嫌なんだよね!まあ、大丈夫だとは思うんだけど、もし李仁くんがここに来る…なんてことがあったら思いっきり叫んでね。僕すぐ助けに来るから。」
「一応言っておくと、俺は魅了の能力、李仁は時空間を操る能力、琉生は五感を操る能力持ち。下層吸血鬼だからそんなに優れたものじゃねえけど。」
「でも僕、花月ちゃんの血の匂いはすぐわかったよ。すごーく甘くていい匂いなの。」
「へ、へえ…そうなんだ。」
「まあ、どうしても飲んでほしいっていうなら考えてやってもいいけど。」
「そうそう!怪我したらすぐ教えてね。」
怪我を期待されるなんてこと、初めてだよ……。
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