テラーノベル
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家に戻ると、キッチンにはさっそく食材が並べられた。
エプロンをつけた咲は、まな板の上に玉ねぎを置いて包丁を握る。
「よし、泣かないように頑張らなきゃ」
小さく呟いた瞬間、背後から声がした。
「大丈夫か? 手、気をつけろよ」
振り返ると、悠真がさりげなく袖をまくって立っていた。
「俺も手伝う。カレーくらいなら作れるから」
「えっ……でも」
「遠慮すんな。亮はどうせ何もしないだろ」
苦笑しながら玉ねぎを受け取り、慣れた手つきで切り始める。
その横顔を見て、咲の胸はじんわり温かくなった。
(……一緒に料理なんて、初めてだ)
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