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#エルフ
桜井正宗@オートスキル1巻発売
6,950
上野文
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あのち
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「ロルフ、こんなに頑張ってたんだね…」 一人で森に向かうところ、剣が溶けて無力になるところ、すごく胸が締め付けられたよ。 最後にアニカが見つけてくれてほっとした。風邪で良かったけど、無理しすぎないでほしいな。 重い雰囲気の中にも優しさが詰まってて、読んでよかったです🌙🤍
第17話
次の日は視察の予定が入っていた。近くの小さな集落だ。あの時の被害が大きかったけど、復興が進んできたからという事だ。
「ロルフ。やっぱり顔色が良くないよ」
そう言われるけど、確かに体調万全とは言い難い。
でも、ここでくたばっていられないので僕は「大丈夫」と言って馬に跨った。
数刻後。馬に乗って二人で歩いていると小さな集落が見えた。今日は聖騎士の護衛はいない。
僕たちは降りて里長等の人たちに挨拶まわりをした。
お昼頃、里長と食事をする事になっていたアニカは残って僕は少し見る事にした。ここではそんなに僕は目立たなかった。
服とか、ご飯も美味しそう……あそこの雑貨屋も……
僕は背伸びしながら、人混みから頭を出していた。とっても楽しかった。
「きゃぁー! 大きな魔物よ!」
そういう声が人混みの中から聞こえて辺りは騒然とした。
僕は剣一本で来てしまったので対抗できるか不安だったけど、声の聞こえた方へ向かった。
「騎士さんですか……? あちらの方に大きな魔物が……」
そう言って四つん這いになって肩で息をしている女の人が森に向かって指指している。
僕は剣を構えて森へ入った。
僕は、こんな事をするために来たのか?
そう頭を過ったけど、ここまできて後戻りはできないと考えて集中して探した。魔力があれば、直ぐに分かるんだろうけど、僕にはそんな魔力は無い。
聖騎士がいる時はいつも楽なのに……
そう考えていると、前から何かの鳴き声が聞こえた。
僕はその方へ慎重に進んだ。
すると、大きなゴブリンがいた。灼熱する熱さでこの距離でも溶けそうだ。
「グウォォ!!!」
大きな声をあげたゴブリンは僕に向かって丸太を振り落とした。
丸太というより、木を引っこ抜いて投げてきたと言った方が正しいかも。
あんなに熱いのに、魔法使わないのかい!
僕は心の中でツッコミながらあいつの手首を切り落とした。
切り落とせたけど、剣も溶けて無くなった。
嘘っ……剣が無いと何も出来ないのに……
素手でやったら、もし、次にまたあんな事があっても何も出来なくなってしまう。護れなくても、少しだけは力になりたい。
僕は人里にいく事も出来ないので、木の枝でどうにかしようとした。全然、折れたり燃えたりとんでもないけど……
途中に誰かが落としたであろう大剣が落ちていた。両手でギリギリ持ち上げられるくらいの大きさだ。
僕はそれを掴んで首を切り落とした。もちろん切れたけど、この大剣は溶ける事は無かった。
切り落としたと同時に重力が強くなったように体か鉛のように重くなった。どこも痛く無いけど、体が怠い。
気が抜けてなったのは分かったけど、方向も分からなくなった。
僕は近くにあった木に寄りかかったけど、歩けそうに無い。
ここで飢え死ぬの……?
ぼんやりとしながらしゃがみ込んだ。
✡
何だか嫌な予感が過った。
「アニカ姫。何か?」
「いえ、何か嫌な予感が過ったので……」
私はそう言って食べる手をまた動かした。
それから食べ終わってから外へ出ると大騒ぎだった。
「男の子が森の中に……」「帰ってこないぞ」「騎士みたいな服装だったが……」「小さな子供に見えたけど一体いくつなのかしら……」
そんな声が飛び交っている。
「もしかしたらロルフ……ちょっと様子を見てきます」
「大丈夫なのか?」
「護身術はロルフから教わっていますから。少し様子を見に行くだけです」
私はそう言って森の中へ向かった。
森は薄暗くて魔物の気配も殆どしなかった。でも、何か人影が見えた気がした。
「……ロルフ!」
私は木々の間からあの金髪が見えた瞬間、名前を呼んだ。
私は駆け出した。でも、見えた姿はぐったりとしていていつものロルフではなかった。
「ロルフ、何があったの? 大丈夫?」
そう言って私が寄ると彼は目を開けた。呼吸は浅くて目も辛そうだ。
「大丈夫……少し、体が重くなってきただけだから……」
ロルフは立ち上がったけど、力がうまく入らないのかふらついて木にしがみついている。
「怪我は? 無いの?」
力無く頷いた。
じゃあ何?
私が体を支えようとして手をとったらとても熱かった。
「疲れたんじゃない? とりあえず、医者の所まで行かないと……」
私たちは町へ降りた。何とか騒ぎは収縮していて里長にお礼を言わないとな……
それから医者に診てもらったけど、ただの風邪だったそうだ。
ロルフ本人は大丈夫と言っているけどそれを聞くとどうなるか分からないので何日か休ませる事にした。