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iris 桃水 様
誤字脱字注意
日本語おかしい
ほとけは、本当に無防備だ。
同じグループで何年も一緒に活動してきた。
ステージでは誰よりも場を回して、客席を笑わせて、空気を掴む天才。
なのに楽屋に戻ると、すぐ俺の隣に寄ってきて、距離感が近すぎる。
「ねぇないちゃん、今日のハモりさ〜」
楽しそうに話す声。
その“ないちゃん”って呼び方だけで、胸の奥が静かに疼くことを、ほとけは知らない。
「……喉、少し掠れてるぞ」
「え、ほんと?でも楽しかったからセーフ!」
笑うくせに、目の奥に疲れが滲んでる。
俺はドアを閉め、そっと鍵をかけた。
「ないちゃん?」
不安そうに名前を呼ばれる。
だから、できるだけ優しく微笑んだ。
「大丈夫。何もしないなら、止める」
そう言ってから、ゆっくり近づく。
ほとけの頬に触れると、びくっと小さく肩が揺れた。
「……触られるの、慣れてないよな」
「……うん」
素直に頷くところが可愛い。
指で髪を撫で、額に、こめかみに、軽く口づける。
「ほとけ、ちゃんと見て。俺は今、すごく大事にしてる」
唇に触れる前、必ず一拍置く。
逃げ場を残す。
それでもほとけは、俺の服をぎゅっと掴んだ。
「……ないちゃん、行かないで」
その一言で、理性が少し揺らぐ。
でも、急がない。
キスは深く、ゆっくり。
舌が触れるたび、ほとけの呼吸が乱れて、身体が熱を帯びていくのが分かる。
「ん……」
小さな声。
耳元で囁く。
「可愛い声、出してる」
「や、言わないで……」
前戯は時間をかけた。
触れるたび、「ここは?」と確認して、
嫌じゃないと分かるまで、何度もキスで繋ぐ。
ほとけは次第に、俺の名前を何度も呼ぶようになった。
「ないちゃん……ないちゃん……」
初心で、照れ屋で、でも必死に縋ってくる。
その全部を受け止めたくて、抱きしめる腕に力が入る。
「大丈夫。ちゃんと、気持ちよくなるまで一緒にいる」
行為のあと、ほとけは俺の胸に顔を埋めて、静かに泣いた。
痛かったわけじゃない。
緊張が解けた、安心の涙。
「……ごめん」
「謝らなくていい」
背中を撫で、髪に口づける。
「初めて、俺にくれてありがとう」
タオルで身体を拭いて、水を飲ませて、
また腕の中に戻す。
「……ないちゃん」
「ん?」
「僕さ……メンバーとしても、歌い手としても……それ以上でも……ないちゃんが好き」
照れながら、でも真っ直ぐな声。
胸が締めつけられる。
「俺もだよ、ほとけ」
額を合わせて、ゆっくり笑う。
「ステージでも、ここでも。全部、俺の隣にいろ」
ほとけは安心したように、くすっと笑って目を閉じた。
名前を呼び合える距離で、眠りに落ちていく。
——同じグループのメンバーで、
同じ歌を歌って、
夜は、こうして触れ合う。
それでいい。
いや、それがいい。
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