テラーノベル
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あれから颯斗は何も無かったかのようにいつも通り俺に接してくれる。他のメンバーも変わらない。
俺はそのことに酷く安堵した。
1つ不安があるとしたら、あの日突然来たヒートのことだ。
普段なら前のヒートから1ヶ月ほどで次が来るのにあの時はあまりにも早すぎた。
それに普段は何日か続くものなのにあれはたった1回だけだった。
気をつけないと。
αがいる前は特に。
今日はグループで雑誌の撮影。
俺はここでまた油断した。
ほかのメンバーのソロカット撮影中、俺は1人で飲み物を買いに行った。
その時、また全身に熱が広がり息が上がっていくのを感じた。
やばい、くすり、隠れないと
そんなことを考えている間に見つかってしまった。
「きみΩ?ダメじゃん、抑制剤も飲まずにこんなとこいたら」
少し息の上がった声が後ろから耳元で囁かれる。
「、、こないで、、」
「辛そうだね、俺が楽にしてあげるよ」
男は俺の手を引いて人気のないところに向かった。
必死に抵抗しても力が入らない俺にはどうすることも出来なかった。
男は俺を壁に押し当てるとすぐに下半身をあらわにし後ろの孔に指をあてがった。
「んっ、、やめっ、」
涙ながらに訴えた。
「そんなこと言ったってこっちはもうびしょびしょだよ?」
死ぬほど嫌なのにどうしても反応してしまう自分が情けなくて嫌になる。
男に触られる度にどんどん思考が止まっていく。
もう何も考えられない。
このまま快楽に溺れたい。
苦しい。
はやく、欲しい。
「なにしてんの」
相手のものが孔に触れた時、聞き馴染みのある声が耳に届いた。
「なおくんから離れろ」
冷たく怒りを含んだ声が響く。
明確な理由はない。
でも何故か嫌な予感がして直弥の後を追った。
するとそこにはふらついた足で知らない男に引かれる直弥の姿があった。
「なおくんから離れろ」
男は驚いた顔でこちらを見た。
まずいと思ったのか男はその場からすぐに去って行った。
俺は急いで直弥の元に駆け寄ると鼻に甘い香りが刺さる。
「くるし、、ね、おねがい、、ほしい、」
火照った頬に涙が伝わる。
助けてって縋る目で見つめられる。
βなのに匂いが強いのか直弥のフェロモンに飲み込まれそうになる。
理性を保つのがやっと。
このままじゃだめだ。
「、、ッッ!!」
手の甲を噛んだ。
強く、強く、皮膚が切れそうなほどに。
痛みで、身体を現実に引き戻すために。
「ごめんなおくん、触るよ」
俺は痛くないように、ゆっくり
でもしっかりと楽になれるようにいい所を探した。
「んぁ、、」
そのまま直弥は俺の腕の中で欲を満たした。
「、、ごめっ、はやと、、ごめん」
まだ朦朧とした意識の中直弥はうわ言のように泣きながらそう繰返した。
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