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あの日のキラフェス以来、『敏感ボーイ・入野自由』の噂は声優界の中で静かに、けれど確実に広がっていった。
「ねぇ自由くん、ホントにちょっと触っただけで声出ちゃうの?」
現場に入るなり、木村良平がニヤついた顔で声をかけてきた。
「や、やめてくださいってば……!」
「そんなに嫌がられると、逆に……試したくなっちゃうじゃん?」
肩に触れられた瞬間、ピクッと身体が反応してしまう。
「っ……ん……っ……」
「うわ、本当なんだ……! やっば……可愛すぎん?」
後ろからは浪川大輔がやってきて、何気なく背中をぽんと叩く。
「自由〜、今日もがんばろうなっ!」
「うあっ……!」
「……ほんとに反応するんだなあ、マモの言ってた通りだ〜」
その「マモ」はというと、遠くのスタジオから「わははっ」と満面の笑みでこっちを見ている。
「ねぇ、自由くんってば」
次に近づいてきたのは岡本信彦。
「俺も試していい?」
と言うなり、ふわりと髪を撫でられた。
「ひ……ん、やだ……」
「え、今の、超やばくない?」
「ねぇ、録っとけばよかった」
良平と岡本が顔を見合わせて笑っている。
「ちょ、まって……マジで、勘弁して……っ」
頬を染めながら、入野はその場に小さくしゃがみ込んでしまった。
——これ、完全に宮野のせいだ。
思わず睨むと、宮野は無邪気な笑顔で手を振っていた。
「自由、人気者だね〜! すごいよ、さすが俺の自由!」
「“俺の”って言うなぁぁぁぁっ!!!」
入野の悲鳴が、またスタジオ中に響くのだった。