テラーノベル
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主、後輩、同僚、アモンはお昼ご飯を食べに食堂へ向かって行った。アモンは一緒に食べない予定だったのだが、主たっての希望だったため一緒に食べる事になった。
「ロノ、いつもありがとう。ご馳走さま。」
主はそう言って食堂を出ると、先ほど後輩と一緒に居たフルーレとテディが居たので主は声を掛けた。
「フルーレ、テディ。これからご飯?」
2人は裸で居た主の事を思い出し、顔を赤くしながら挨拶をした。
(さっきの主様…色っぽかったな。四季さんとアモンさんとしてたのかな…なんで抱っこされてるんだろ…?)
(主様の裸見られてラッキーだったな…俺もまた主様としたいな。主様なんで抱っこされてるんだろ…?)
「は、はい。…ではまた会いましょうね。」
主はきょとんとしながら、またねと言って笑顔で返した。後輩は何となく理由は分かっていたが、言えずに居た。
アモンは仕事をしに行くため、此処で別れることにした。主が少し寂しそうにしているとアモンは主の額にキスをし、またすぐに会うことを約束した。
「◯◯、寂しいなら庭に行けばアモンに会えるんじゃねぇの?…行くか?」
「…ううん。お仕事の邪魔しちゃ悪いよ。」
主はそう言って、別邸に遊びに行く事にしたのだが、ユーハンの怒っている声が聞こえてきた。
†††
「ハナマルさん!今日という今日は許せませんよ。」
「ユーハン、待った!これは出来心で…」
主達は何事だと思いつつも、どうせハナマルがユーハンの逆鱗に触れるような事をしたのだろうと思っていた。
「どうかしたの?」
主が尋ねるとユーハンとハナマルは主達の方へ振り向き、挨拶をした。
「あ、こんにちは、主様!…申し訳ございません。聞こえてしまいましたか?」
「おっ!こんにちは、主様。丁度良い時に来てくれた!主様からも言ってやってくれよ。」
主は何があったのかをユーハンから聞いてみると、ユーハンが隠してあったあんまんをハナマルが食べてしまったという事だった。
そのあんまんは、なかなか手に入りにくく美味しいと評判のお店のものらしく、次に手に入れられるのはいつになるか分からないものだった。
主は頭を抱え、ハナマルの肩に手を乗せて話し出した。
「ハナマル…そう言えばユーハンと本気の模擬戦した事ないって聞いたけど、あんまんのお詫びに模擬戦したら?
ユーハンはハナマルとの本気の模擬戦、してみたくはない?」
主の言葉にユーハンは、ハナマルとの本気の模擬戦が出来るまたとないチャンスを逃す訳にはいかないと思い、話にのった。
ハナマルは、気が乗らず気怠そうにしていたが主の頼みではどうしようもなかった。
✢✢✢
主と同僚と後輩は少し離れた所で見学する事になったのだが、普段のユーハンとハナマルからは感じる事が出来ない圧を肌で感じていた。
キーンッ!
激しく剣がぶつかり合う音が響き渡った。
「っハァっハァハァっ」
「ユーハン!まだだぜ。」
主の隣で見て居た同僚は、飲んだくれているかサボっているハナマルしか見た事がなかったため、食い入るように見て居た。
(…すげぇ。これが、ハナマルか!?ユーハンは元軍人って言ってたし強いはずなのに、ハナマルが圧してやがる…)
後輩も同僚と同様にハナマルの圧倒的強さに惹かれるものがあった。
(普段のハナマルさんとはまるで別人だ…ユーハンさんも強いはずなのにハナマルさんの方が強いなんて…)
ユーハンはサルディス家軍隊の元少佐で、知力、武力ともに優れており若くして実力のみで少佐になっただけあって、強い方ではあったもののハナマルの方が実力は圧倒的に上だった。
キーンッキーンッ
キリッ
ハナマルの力加減が絶妙だったのか一瞬、鍔迫り合いの音がした。そして激しく剣のぶつかり合う音や殺気を感じて他の執事達がどんどん集まって来て居た。
「くっ…」
「なぁ…主様から本気でやれって言われたからってそんなに殺気出さなくても良くない?」
(全然、歯が立ちませんね…このままでは)
ユーハンは殺気剥き出しでハナマルに立ち向かって行ったのだが、 ハナマルはユーハンの剣を弾き飛ばし、ユーハンの目の前に剣の切っ先を向けた。
「勝負あったな。これであんまんの件はチャラになったな!」
「ハァっハァ…ハナマルさんは、やはり強いですね。普段から本気でして頂ければ助かるのですが…」
ハナマルはユーハンに手を差し出し、お互い握手をした。
「仕事も訓練も大事なのは分かってるけどさ…もっと楽すればいいのにって思うわけよ。自分のために時間を使わないと、もったいないだろ。」
ハナマルはそう言ってその場から去ろうとしていたが、模擬戦を見ていたハウレス、フェネスを除いたロノ、バスティン、テディ、ラトがハナマルに模擬戦をして欲しいと頼んでいた。
「モテる男は辛いね〜…」
(くそ〜…こんな事になるならやるんじゃなかったな。もしかしてこれも主様の戦略だったりして!?)
その様子を見た主は、同僚に横抱きにしてもらいハナマルの元へやって来た。
「お疲れ様、ハナマル。…頑張ってね♡」
(ちょっとで良いから真面目にやってくれると良いんだけどな…♪)
「…はい。あのさ、ずっと聞きたかったんだけど、なんで隼人が抱っこしてるわけ?」
口が裂けてもアモンと同僚に足腰立たなくされたとは言えず、ちょっと腰が痛いくてと誤魔化しながらその場を去っていった。
†††
主達は3階の団らん室でビリヤードをしていた。主は実家にビリヤード台があった事もありそこそこの実力はあった。
ぷち
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同僚も運動神経抜群なため、卒なくこなしていたようだった。
「凄いですね!…◯◯さんはビリヤードがお上手なんですね!」
声がする方へ視線を向けると、ハウレスとフェネスが居た。
「家にビリヤード台があってたまにやってただけだよ。」
主の言葉に疑問を持ったのは後輩だったが誰も何も言わなかったので、心の内に留めておいた。
(…普通の家には多分、ビリヤード台はないんだよね。院長が多趣味なのは聞いていたけど本当だったのかな?)
「◯◯さんのお父さんって多趣味って聞いたんですけど、どうだったんですか?」
「…そうだね。ゴルフにビリヤード、ギターとかバイオリン…あとピアノとかの楽器も弾けたよ!私もその影響で、一通りは教えてもらってだいたいは出来るようになったよ。
すごく、恵まれた環境だったと思う。今でもたまに、父の事を思い出して泣く事あるの。 でもね、少しずつ前に進めてる気がするの。天国で見てくれてると良いな…」
ハウレスは主のキューを握っていない手を取った。
「…きっと、今頃は妹のトリシアと会ってるんじゃないでしょうか?主様のお父様は名医とお聞きしましたし、天国でも人々のためにお仕事されてそうですね。」
主はハウレスの言葉通りであって欲しいと思い、涙が頬を伝っていった。
「ありがとう、ハウレス。うん!きっとそうだと思う。…私は本当、恵まれてるね。」
主はハウレスを抱き締めて、涙を流した。まだ父親の死を受け入れ切れずに居たのもありハウレスの言葉が身に沁みた。
(主様…俺が側に居ます。俺がこの命に代えてもお守りしますからご安心下さい。)
主と同僚と後輩はハウレスとフェネスとチェスをしたりして、夕ご飯までの時間を過ごしていた。
エスポワールのある店内─
「ありがとうございました。」
「こちらこそっす!」
店員さんがアモンに紙袋を渡し、お辞儀をした。
(やっと買えたっす♪◯◯さん、今頃はお風呂入ってるところっすかね。…早く会いたいっすね。)
†††
主はフェネスが準備してくれたお風呂に入ると湯船には薔薇の花弁が浮かべてあった。とても良い香りがして、アモンの存在を近くに感じていた。
(…アモン、何してるのかな。早くアモンに会いたいな。)
「Everyone’s damaged,a little depressed Every now and then we get that feeling in our chests
Some days I’mloser,brush my teeth in that dark
Head above water in a swimming pool of sharks… 」
主が歌を歌い出すと、外に居たフェネスが主の歌声を聴いていた。
(…主様?何だろ、綺麗な歌声なんだけどこれは普段主様が使っている言葉じゃない。…これは)
フェネスは主の歌声に聞き耳を立て、歌詞をよく聴いていた。
「…When the world is on your shoulders and the weight of your own heart is too much to bear
Well I know that you’re afraid, things will always be this way It’s just a bad day not a bad life…」
(何もかも自分で背負い込んであまりの心の重さに、もう耐えられないと思う時は
こんな苦しみがこれからも、続いていくのかと思ってしまうけど今日が辛い日だっただけで辛い人生じゃない…)
フェネスは主が歌っている歌詞を瞬時に主が普段使っている言葉に変換していった。その後の歌詞も気になり変換していった。
それは主の心からの叫びなのではないかと思ってしまうほどに感情が籠もっていて、儚くてそれでいて芯の強さを感じるものがあったのだった。
主はお風呂から上がり、フェネスに髪を乾かしてもらっていた。
「あ、あの…主様。先程、歌声が聞こえたのですが、」
「あ!ごめんね、うるさかった?」
フェネスはそんな事ないと首を横に振った。
「俺…気になってしまって、主様が普段使っている言葉に変換してしまってたんです。まるで…主様自身の言葉のようで…」
主はそうだね、と言って鏡越しにフェネスを見た。
「ただツイてない日、悪い日だっただけ、人生自体がダメになった、悪い人生なわけじゃないよっていう曲なの。」
†††
主は自室から窓の外を見ていた。同僚と後輩は何かあるのかと思い、一緒に見たが何もない事に疑問を持った。
「◯◯、…どした?」
「何かあるんですか?」
主は我に返り、カーテンを閉めて何もないよと言うと主と同僚と後輩は寝支度をして、そろそろ寝ようかという時にドアをノックする音が響き渡った。
「どうぞ。」
「失礼しますっす、◯◯さん♡…遅くなっちゃいましたね。」
アモンは同僚と後輩にアイコンタクトを取ると、後輩は部屋から出ようとした。
「え…結城君、何処に行くの?」
「ここから先は3人の方が良いですから、俺は失礼します。」
後輩はそう言って、執事達と同じ挨拶をし2階執事室へと向かって行った後、 アモンと同僚はポケットから小さな箱を取り出し、主の前へ差し出した。
「!これって…」
「◯◯さん、俺らからのプレゼントっす。ずっと一緒に居る約束っすよ。」
同僚とアモンは箱から指輪を取り出し、主の手を取った。アモンは主の左手の薬指に同僚は主の右手の薬指に、それぞれ着けた。
「◯◯、愛してる。ずっと、大切にするから俺らの隣に居て欲しい。」
「◯◯さん、愛してるっすよ。これから先何があってもずっと一緒っす。」
「…っ、うん。ずっと、一緒だよっ」
主から止めどなく流れる涙をアモンと同僚は拭いながら、3人は抱き締め合った。
song by
Bad Life/ Sigrid &Bring Me The Horizon
コメント
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うわあ、この35話、いろんな感情が詰まっててじんわりきました…。まずハナマルとユーハンの模擬戦、普段のハナマルからは想像できない圧倒的な強さに驚きましたね。それと同時に、主が父親の話をして涙する場面がすごく胸に響きました。本人は「恵まれてた」って言うけど、ちゃんと悲しみを抱えながらも前に進もうとしてるのが伝わってきて。そして最後の指輪のプレゼント!アモンと隼人から同時に愛の告白、もう胸がいっぱいになりました。ずっと一緒にいる約束、素敵すぎます…。