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『これから君たちを審査するから!!まっててね!!!』
そう言われ、シエルの敷地内に足を踏み入れた。
「うわ…ひっっっっろ…まじかよ…こんな広いとか聞いてねぇ…」
そやがポツリとそんなことをいった。
まぁそうだろう。僕もこんな広い庭を見たことがない。
隅々まで手入れが行き届いている。
広大な芝生、手入れされた花壇、それにあれは…噴水か…
とてもきれいな庭だ。
それよりも…
「ねぇ、それよりもさあ〜さっきのあの男、ナルキだっけ??どっか言っちゃったよ〜?」
僕が考えていたことをそのまんま言ってくれたのは僕の兄のいつりだった。
「そうですね、気配が綺麗サッパリなくなってますし…」
そう言いながらさっきナルキがいた場所に行ってみたら微かな光の粒子を見た。
どーにもなんかの異能を使ってたみたいだ。
「りれんでも気配わかんないの〜?」
「はい…でも。多分あの建物の中にでもいると思うんですけど…」
「う〜ん…いるかなぁ〜?」
「あ、あれ有名な彫刻家が作ったものだよ!!!すごい…こんなのがここにあるなんて…」
れい兄がはしゃいだような声を出して目をキラキラさせながらその彫刻の周りをじっくり見ていた。
「れい兄は好きですよね、こういうの」
「うん!僕の異能ってコピーでしょ?その時に細部まで細かく知っていなくちゃできないんだ!」
あまり笑わない僕の兄が優しく微笑みながらその彫刻に触っていた。
「なぁ〜そろそろあの建物入ろーぜ…」
そろそろ飽きてきたのか、そやがそんな事を言いながら僕の服の裾を握ってきてた。
「んなこと言わないでください…まだそのナルキって人が信頼できるかわかんないんですから…」
「ナルキって人は別に大丈夫だよ〜ちょっとだけ怖いけど、別に悪い人ってわけじゃないし…」
「…まぁいつり兄が言うなら別に大丈夫なんでしょうけど……」
「ほら、れいも行くぞー俺は疲れた。早く涼みたい。」
そういいれいの腕を引っ張った。
「あっ、まってよ。そやくん。まだ見きれてなっ」
目の前で自分の兄が知り合いに掴まれて連れてかれている。
………なんなんだこの光景は…
「はぁ…まぁいいです。入るならとっとと入りましょうか。」
「じゃあ俺が開けるね〜!いっくよ〜!!たのも〜!!!!!」
ドアが開き、向こうにはさっき会った見覚えのある人だった。
「はい、皆さっきぶり〜!まぁあれ幻影だったんだけど〜あ、君たち見破れた?」
ニコニコ笑いながらこっちに手をふるこの男はどうやら幻影使いらしい。
「え〜!?あれ幻影だったんですか!?」
いつりが驚いたように言っていた。
「ん〜皆見破れてなかったかぁ〜まぁでも1人だけ除いて…だけどね〜」
そう言いながらいつりのほうを見ていた。
「まぁいいや…これからさっき言ってた審査を始めます!!その審査、まぁ試験??の試験官の緑川ナルキで〜す。どーぞよろしくね?」
その言葉は、優しげな響きとは裏腹に、鋭い刃のような緊張感を秘めていた。
これにて第1話終了です。
読んでくださりありがとうございました。
次の話もきっと描きます。