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「大丈夫ですか?」
私はウィリアムの顔を覗き込んだ。
彼と一緒にソファーで寝てしまい、起きたら彼の顔が間近にありドキッとしたが彼は気にした様子もなく、いつも通りに見えた。
まぁユウリがいるということはお互い結婚した時にやる事はやっているのだろう。
その時の記憶が無いのでプルメリアにとってはあまりいい思い出ではないのかもしれない。
ユウリの為に夫婦仲良くしているが、話の中では夫婦仲が改善する事は無かったようなので彼も私にはなんの感情もないのだろう。
気にするのはやめてユウリが起きた事もあり、世話を焼いているとウィリアムが何か呟いた。
よく聞こえなかったので聞き返すが彼はなんでもないと首を振っている。
私は気にしないで、ユウリに集中した。
「おかーさま、なんでいっしょにねてなかったの?」
ユウリはぷっくらとした頬を少し膨らませて不機嫌そうな顔をした。
そして自分が言ったことにハッとして顔を青ざめる。
「ご、ごめんなさい。もうわがままいいません」
思わず出てしまった本音に不安を露にした。
「ユウリごめんなさい! お母さんがいけないのお父様がソファーで寝てしまってお世話してたの、でもこれからはお父様を叩き起こしてもユウリと寝るわ! だからわがままだなんて謝らないで、もっと本音を言っていいのよ」
ユウリをギュッと抱きしめるとユウリも涙ぐみながら抱きかえしてくれた。
「じゃあきょうはいっしょにごはんたべてねてください」
チラッと上目遣いにお願いされて私はうんうんと何度もうなずいてしまった。
「それにお父様も混ぜてくれないか?」
すっかり存在を忘れていたウィリアムが抱き合う私たちを見て真剣な表情を向ける。
「おとーさまも?」
ユウリが恐る恐るウィリアムに確かめる。
私はウィリアムを見つめてにっこりと笑いかけた。
ウィリアムは私の笑顔に釣られるように笑みを浮かべた。
「ユウリ、今朝はお母様を借りてすまなかった。だからこれからはお母様と一緒に寝られるように私も混ぜてくれ」
ユウリはジッとウィリアムを見つめている。
ウィリアムはユウリから視線を逸らさずに返事を待った。
するとユウリは少し恥ずかしそうにしながらコクリとうなずいた。
ユウリの反応に私とウィリアムは同時にホッと肩の力が抜けた。
その日からユウリとウィリアムの関係も少しずつ良くなっていったようだ。
家族3人で料理を食べているとウィリアムがナイフとフォークを置いて話しかけてきた。
「その、二人に相談なんだが今度領地の別宅に一緒に行かないか?」
「別宅?」
私はプルメリアの記憶をたどって見た。確かに領地内にいくつか別宅を持っているようだがどこに行くのだろう。
「海岸沿いにある町の視察に行く予定で、少し時間も取れそうだから町を案内してもいい」
いつもの無表情のウィリアムが淡々と説明する。
最近少しわかってきたがウィリアムは緊張したり表情が出やすくなると無表情になるようだ。
「素敵、海岸沿いってことは海が見えるのかしら?」
「ああ、別宅からみえるよ」
私が笑顔で反応すると少しホッとしたようで顔が緩んだ。
「ユウリ、海だって」
黙るユウリに話をふると目を輝かせながら頬を紅潮させていた。
「ユウリ、どうだ?」
ウィリアムからもう一度聞いてみた。
「い、行きたい。行きたいです!」
いつもより少し大きな声で答えてしまいあっと口を抑える。
「そうか、では用意もあるから3日後に出発しよう」
ウィリアムの提案にユウリはソワソワと落ち着かない様子だった。
食事を終えてユウリと二人部屋に戻ると先程の話を聞いてみた。
「ユウリは海が好きなの?」
あんなに、喜んでくれたのはいい意味で予想外だった。
ユウリは私にちょっと待ってと席をたつと本を持ってきた。
それは私がよく読み聞かせてあげていた本だ。
「こ、これにうみのはなしがでてきてどんなとこかきになってたの」
目をキラキラさせながら教えてくれる。
「ユウリは海がはじめてなのね」
そう言うと「うん!」と笑顔で答える。
きっとユウリは今までこの屋敷からでたこともなかったのかもしれない。
「これからは私達と色んなところに一緒に行きましょうね」
ユウリの笑顔に今までの事を思い出し申し訳なくなると同時にここからたくさんの経験をさせてあげると誓った。