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砂原 紗藍
#再会
「あんたも苦労するねえ。今時、親が決めた相手、ねえ」
「でも華怜ぐらい奥手なら、親がお見合い相手探して来なきゃ結婚なんてできないでしょ。それより、あんな格好いい結婚相手、ずるすぎ」
「美香ちゃんも可愛いんだから、男、男、男ってがつがつしてなきゃ、寄ってくるよ」
「はあ!? 白鳥さん、私もうすぐ30よ? 30歳が可愛いって思える男は、激減するんだからね」
美香さんが真っ赤な顔で言うと、唾を飛ばさないでよ、とクールに白鳥さんがかわした。
白鳥さんはお子さんもいないし、結婚もそんなに早くなかったと言っていたから、30歳でも全然遅くないと思っているようで美香さんとの価値観が違う。
「でも、どうしても嫌になったら私に言いな。そのお見合い、ぶっ潰してやるから」
「……白鳥さんは本当にしそうだから、ちょっと」
あんなに嫌だったはずの彼が可哀そうに思えてしまう。
彼が迎えに来てくれた夜から、私たちには和やかな時間が流れ出した。
過去のことを責めるわけもなく、何も知らない今の彼のことを少しだけ興味を持って観察してしまう。
「ぷっ」
ぷ?
洗濯物をたたんでお風呂場のクローゼットに片づけていたら、リビングから笑い声が聞えてきた。
リビングを覗くと、ソファに寝そべってテレビを見ている彼が見えた。
「ぷぷ」
また笑ってる。
足音を消して近づいてみてみると、お笑い番組のショートコントを見ていた。
「意外。お笑いが好きなの?」
「うわ、びっくりした」
飛び上がって起きると座り直し、バツが割りそうにテレビを消そうとした。
「見てていいよ。なんかクラシック聴きながら洋書読んでそうなイメージだったから」
「なにそれ。どんなイメージだよ」
そして、自分の隣をポンポン叩いた。
「お互いの好きなものを知るのは良いことだよ。華怜さんは何が好き?」
「えー……テレビなら警察24時とか好き」
「ぷぷ。恋愛ドラマじゃないの」
「それこそ、勝手なイメージじゃない。テレビ越しなら男の人を見れるなあって思って、悪い人がいる場所を勉強してるの」
隣に座ってほしいオーラを避け、ダイニングテーブルの方に座る。
流石に隣に座るような大冒険はまだできない。
「じゃあ今度一緒に警察の見ようよ」
「仕事、忙しくないの?」
素直に頷けずにいると、彼は苦笑する。
「華怜さんとの時間をもぎ取り溜めに、ここのとこ残業頑張ってたんだよ。ほめていいよ」
「ほめないけど」
「だからもう少し、家でゆっくりできるかな」
「他人が家に居てゆっくりなんてできないし」
「他人じゃないでしょ」
この人、すぐ悲しいだの傷つくだの言うくせに、ぐいぐい来すぎだと思う。
傷つきやすい人は、私みたいに逃げればいいのに。簡単なのに。
「あー、俺の好きなコンビのショートが始まる。俺、この二人が好きなんだよね」
「ふうん」
「すれ違ってるのに、そのすれ違いが妙に合ってて余計に拗れる感じ」
やばっとクッションを引き寄せ、お腹で抱きしめながら倒れ込むように笑い出した。
おいおい、いつものクールな君はどこに行ったんだ。