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おお、読んだ読んだ!第十話、めちゃくちゃ熱かったわ…! ランスロットとの対峙、セイバーが「赦したい」って言った時のあの空気、震えたね。愛憎の層ってテーマで、切るんじゃなくてほどくって解決の仕方がめっちゃ良かった。士郎の投影も武器じゃなくて針って発想、ちゃんとセイバーを信じて隣に立つってスタンスが出てて痺れたわ。 イリヤの「じゃあ、よかったね」って一言もじんわり来た。愛神の立ち位置も気になるし、次は創造の層か…。もう続きが待ちきれない!
第十話 湖の騎士、愛憎の刃
夜の衛宮邸は、静かだった。
嵐の前の静けさ、という言葉がある。
だが、その夜の静けさは少し違っていた。
嵐はもう何度も来た。
終末の雨も、神の雷も、裁きの鐘も、すでに冬木の夜を何度も裂いている。
それでもまだ、次が来る。
だからこそ、この静けさは休息ではなく、呼吸だった。
次に剣を抜くための、一瞬の呼吸。
衛宮士郎は、縁側に座って夜空を見上げていた。
黒い神杯は、相変わらず冬木の上空に浮かんでいる。
以前より低く、以前より濃く。
まるで、この街の願いをすべて吸い上げる巨大な傷口のようだった。
背後の部屋では、イリヤが眠っている。
凛とメディアが張った結界の中で、仮初めの霊基を安定させながら。
まだ完全に救えたわけではない。
けれど、彼女は生きたいと言った。
その言葉が、士郎の中で灯火のように残っている。
終わりではなく、生を選んだ少女。
なら自分も、次の夜を越えなければならない。
「シロウ」
声がした。
振り返ると、アルトリアが立っていた。
青い衣。
銀の甲冑。
風に隠された剣。
五年前と変わらない姿。
だが、今夜の彼女の表情は、いつもより静かだった。
「セイバー。眠らなくていいのか」
「サーヴァントですから、休息は最小限で問題ありません」
「そうじゃなくて」
士郎は彼女を見る。
「気持ちの話だ」
アルトリアは、少しだけ目を伏せた。
沈黙が落ちる。
庭の木々が、夜風に揺れている。
やがて、彼女は士郎の隣に腰を下ろした。
「ランスロットの反応が出たのですね」
「ああ」
士郎は小さく頷く。
「凛が解析してる。神杯の次の層は、愛と憎悪に関係してるらしい」
「……そうですか」
アルトリアの声は穏やかだった。
穏やかすぎた。
士郎は、そこに押し込められた痛みを感じた。
ランスロット。
湖の騎士。
円卓最強の騎士の一人。
王を敬愛し、王を裏切り、王国崩壊の一因となった男。
そして何より、アルトリアにとっては、かつて自らの王国で救えなかった臣下だった。
「セイバー」
「はい」
「無理するなよ」
アルトリアは一瞬、目を見開いた。
それから、少しだけ微笑む。
「貴方にそれを言われるとは思いませんでした」
「俺も言いながら変な感じがした」
「ええ。とても」
「そこは否定してくれてもいいだろ」
アルトリアは小さく息を吐くように笑った。
だが、その笑みはすぐに薄れる。
「シロウ。ランスロット卿は、私にとって特別な騎士です」
「分かる」
「彼は強く、誇り高く、優しく、そして苦しんでいました」
アルトリアは夜空を見上げる。
「私は王でした。王として、国のためにあらゆるものを切り捨て、選び、進みました。けれど、私は臣下の心をすべて救えたわけではない。ランスロット卿も、モードレッドも、他の円卓の騎士たちも」
その声は震えていなかった。
だからこそ、重かった。
「私は、彼らの王でした。ですが、彼らの苦しみを本当の意味で見ていたのか。今でも分かりません」
士郎は何も言えなかった。
言葉で慰めるには、その痛みは深すぎる。
王であった少女。
人としての弱さを押し殺し、理想の王であろうとし続けた彼女。
救えなかったのは士郎だけではない。
アルトリアもまた、救えなかった者たちを抱えている。
「今度の神杯は、そこを突いてくる」
士郎が言う。
「たぶん」
「ええ」
アルトリアは頷く。
「愛と憎悪の層。ランスロット卿が召喚された理由が、それならば」
彼女は剣の柄に触れた。
「私は、逃げるわけにはいきません」
◆
遠坂凛の解析は、夜明け前に結果を出した。
衛宮邸の居間には、すでに主要な面々が集まっていた。
士郎。
アルトリア。
凛。
アーチャー。
ジャンヌ。
メディア。
エルキドゥ。
リチャード一世。
ギルガメッシュ。
そして、部屋の奥ではイリヤが布団にくるまりながら、半分眠たそうな目でこちらを見ている。
「イリヤ、寝てろって言っただろ」
「やだ」
即答だった。
「私も聞く。お兄ちゃんたちが何しに行くのか、ちゃんと知りたい」
士郎は少し困った顔をする。
だが、凛が小さく肩をすくめた。
「無理に寝かせても聞き耳立てるだけでしょ。ならここにいた方がまだ安全よ」
「リン、私のこと分かってる」
「分かりたくなかったけどね」
イリヤは少し笑った。
その笑顔が見られるだけで、士郎は救われる気がした。
凛は宝石板を机に置く。
そこには、冬木の西側にある古い洋館が映っていた。
「次の反応はここ。持ち主は表向きには存在しない。魔術協会の記録にもほとんど残ってないけど、アシュボーンという家系の管理地らしいわ」
メディアが画面を覗き込む。
「古い結界ね。西洋魔術の系統だけれど、冬木の霊脈に無理やり接続している。いい趣味ではないわ」
アーチャーが腕を組む。
「敵マスターは?」
「ヴァレリウス・アシュボーン。サーヴァント側マスターの一人。召喚したのはランスロット」
凛は一度、アルトリアを見る。
「ただし、クラスは通常のセイバーでもバーサーカーでもない」
アルトリアの目が細くなる。
凛は続ける。
「アヴェンジャー」
部屋の空気が重くなった。
ジャンヌが静かに息を呑む。
「復讐者の器で、湖の騎士が召喚されている……」
リチャードが珍しく軽口を控えた。
「騎士が復讐者となるか。重いな」
ギルガメッシュは鼻を鳴らす。
「神杯はまた古傷を抉るつもりか」
エルキドゥが静かに言う。
「愛と憎悪の層。ランスロットの王への愛、裏切りへの罪、そして赦されたい願い。その全部が神杯に利用されているんだと思う」
士郎はアルトリアを見る。
彼女は表情を崩していなかった。
けれど、拳がわずかに握られている。
凛が続ける。
「さらに神格反応もある。クラスは愛神。ただし、よくある恋愛の神って意味じゃない。もっと厄介」
「どういうことだ」
士郎が問う。
メディアが答える。
「愛は人を救うけれど、同時に壊す。執着、嫉妬、独占、裏切り、赦し。愛神の神域は、その境界を曖昧にするでしょうね」
イリヤが布団の中で小さく呟く。
「好きなのに苦しいやつ?」
メディアは少しだけ目を細める。
「そう。好きだから苦しい。愛しているから憎い。救われたいから傷つける。そういうものを、神杯は燃料にする」
士郎は奥歯を噛む。
神杯は本当に、どこまでも悪趣味だ。
イリヤの生きたい願いを使い。
終末神を防衛機構に変え。
ジャンヌの祈りを裁きに変えようとし。
今度はアルトリアとランスロットの痛みを、愛憎の層として開こうとしている。
「行く」
アルトリアが言った。
その声は静かだった。
だが、誰にも止められない強さがあった。
「ランスロット卿がそこにいるなら、私が向き合います」
士郎は頷く。
「俺も行く」
アルトリアは彼を見る。
「これは私の過去です」
「分かってる」
「貴方が背負う必要はありません」
「背負うんじゃない」
士郎は言う。
「隣にいる」
アルトリアは言葉を失った。
凛が小さく笑う。
「そういうこと。今回はセイバーの戦い。でも一人で行かせるわけないでしょ」
アーチャーも言う。
「敵が神杯の層に関わるなら、我々全体の問題だ」
ジャンヌが旗を抱く。
「私も参ります。祈りが裁きに変えられることを拒んだように、愛が呪いに変えられることも見過ごせません」
リチャードは剣を掲げる。
「騎士の罪と王の赦し。ならば、獅子心王として見届けよう」
ギルガメッシュは不満げに言う。
「騎士の湿った話など趣味ではないが、神杯の核へ近づくならば行く」
エルキドゥが微笑む。
「ギルは本当に素直じゃないね」
「黙れ」
イリヤは布団の中から士郎を見た。
「お兄ちゃん」
「何だ」
「ちゃんと帰ってきてね」
士郎は笑った。
「ああ。おはようも、おやすみも、まだ言わなきゃいけないからな」
イリヤは少し照れたように布団へ潜った。
「うん」
◆
アシュボーン邸は、冬木の西の外れにあった。
古い洋館。
高い鉄柵。
枯れた薔薇園。
敷地全体を覆う濃い霧。
その霧には、甘い香りが混じっていた。
花の香り。
香水の香り。
血ではない。
けれど、どこか胸をざわつかせる匂い。
愛神の神気。
凛は宝石を握り、周囲を警戒する。
「全員、精神干渉に注意。少しでも感情が増幅されたらすぐ言って」
リチャードが胸を張る。
「私は常に感情豊かだ!」
「そういう人が一番危ないんです!」
ジャンヌが静かに祈りを捧げる。
彼女の旗から淡い光が広がり、霧の香りを少しだけ遠ざけた。
「完全には防げませんが、感情の暴走を抑える加護を張ります」
メディアが霧を指先で掬う。
「愛神の権能は、対象の心にある感情を新しく作るのではなく、元々あるものを肥大化させる。つまり、ないものは増やせないけれど、少しでもある感情は毒になる」
士郎はアルトリアを見る。
彼女の表情は、やはり静かだった。
だが、この霧の中で一番危ういのは彼女だ。
王としての責任。
ランスロットへの信頼。
裏切りへの痛み。
救えなかった後悔。
それらが増幅された時、何が起こるのか。
洋館の門は、開いていた。
誘っている。
士郎たちは慎重に敷地へ入る。
枯れた薔薇が、風もないのに揺れていた。
花びらは黒と赤に染まり、地面へ落ちるたび、小さな声が聞こえる。
愛している。
許してほしい。
憎んでいる。
見捨てないで。
あなたのためだった。
どうして分かってくれない。
凛が顔をしかめる。
「気持ち悪い結界ね……」
アーチャーが言う。
「愛の言葉を呪詛に変えている」
エルキドゥは薔薇を見つめる。
「愛は、本当に扱いが難しいね」
ギルガメッシュが鼻を鳴らす。
「所有と執着を愛と誤認するからこうなる」
リチャードが肩をすくめる。
「王がそれを言うか」
「何か言ったか、獅子心」
「何も?」
セイバーが足を止めた。
洋館の玄関前。
そこに、一人の騎士が立っていた。
黒い鎧。
月光を吸い込むような暗い金属。
兜の隙間から覗く赤い光。
手には黒く歪んだ長剣。
かつての狂化とは違う。
理性はある。
だからこそ、さらに痛ましい。
鎧の周囲には、黒い霧と白い羽根が絡み合っていた。
騎士は、アルトリアを見た。
長い沈黙。
そして、低い声。
「王よ」
アルトリアの瞳が揺れた。
「ランスロット卿」
その名を呼んだ瞬間、洋館の周囲の霧がざわめいた。
愛神の神域が反応している。
黒い騎士――ランスロットは、ゆっくりと剣を構えた。
「お会いしたかった」
その声には、深い敬愛があった。
同時に、底なしの苦痛もあった。
「お会いしたくなかった」
アルトリアは剣の柄を握る。
「ランスロット卿」
「私は、貴方を裏切った」
「……」
「私は、貴方の王国を壊した一因となった」
「それだけではありません」
アルトリアは静かに言った。
「私は、貴方を救えなかった王です」
ランスロットの鎧が軋んだ。
黒い霧が濃くなる。
「そのようなことを、言わないでください」
「事実です」
「違う!」
ランスロットの声が、初めて荒くなった。
霧の中の薔薇が一斉に散る。
「悪いのは私だ! 罪を犯したのは私だ! 王は完全であられた! 清廉で、公正で、誰よりも正しくあられた!」
アルトリアは目を伏せる。
「私は完全ではありませんでした」
「違う!」
ランスロットの剣が震える。
「貴方が完全でなければ、私は何を裏切ったのですか! 私は何に膝をつき、何を敬い、何を愛したのですか!」
その言葉が、霧に吸い込まれる。
愛。
彼は確かに王を愛していた。
臣下として。
騎士として。
理想として。
信仰に近い敬愛として。
だからこそ、裏切りは彼を壊した。
アルトリアは、まっすぐに彼を見る。
「ランスロット卿。私は貴方を裁きに来たのではありません」
「では、赦すためですか」
ランスロットは笑った。
痛々しい笑いだった。
「赦さないでください」
士郎は息を呑む。
ランスロットは剣を構える。
「私を赦さないでください、王よ。赦されれば、私は私の罪をどこに置けばいいのか分からなくなる」
その瞬間、洋館の上空に赤い花弁が舞った。
声がした。
「美しいね」
屋根の上に、愛神が立っていた。
年齢も性別も曖昧な、美しい存在。
金色の髪。
薔薇色の瞳。
白い衣。
背中には翼ではなく、無数の赤い糸が広がっている。
手には、弓。
しかし矢は持っていない。
その代わり、指先には透明な糸が絡んでいる。
愛神は微笑む。
「赦されたい。赦されたくない。愛している。憎んでほしい。見てほしい。忘れてほしい。ああ、人間の愛は本当に美しい。矛盾しているほど甘い」
凛が宝石を構える。
「あなたが愛神?」
「そう呼ばれているね」
愛神は首を傾げる。
「でも、愛は一つじゃない。恋も、親愛も、信仰も、執着も、嫉妬も、自己犠牲も、全部が愛の顔だよ」
メディアが冷たく言う。
「そして、その全部を神杯の燃料にしているわけね」
愛神は笑う。
「僕は燃料にしていない。神杯がしている。僕はただ、見ているだけ」
エルキドゥが静かに言う。
「見ているだけの神は、だいたい厄介だ」
愛神は楽しそうに目を細める。
「君も愛を知っているね。友への愛。王への愛。人への愛。形のない身体に宿った、確かな絆」
ギルガメッシュの背後に黄金の門が開く。
「その口を閉じろ、雑神」
「怒った? いいね。怒りは愛の隣にある」
愛神が指を鳴らした。
瞬間、霧が濃くなる。
薔薇園が消え、世界が変わった。
神域展開。
「愛憎庭園――アモル・ラビュリントス」
洋館の敷地は、巨大な薔薇の迷宮へ変わった。
赤い薔薇。
黒い薔薇。
白い薔薇。
その蔦は壁となり、道となり、棘となり、無数の感情を囁く。
愛している。
許して。
許さないで。
私を見て。
私を忘れて。
あなたのために。
あなたのせいで。
全員の胸に、何かが刺さる。
凛は唇を噛んだ。
「精神干渉、来る……!」
ジャンヌの旗が光を放つ。
「私の近くへ!」
だが、神域は全員を分断した。
薔薇の壁がせり上がり、士郎とアルトリア、ランスロットだけが中央の広場に残される。
他の面々は、それぞれ迷宮の別区画へ飛ばされた。
凛の声が遠くで響く。
「士郎! セイバー!」
士郎は周囲を見る。
広場の中央に、アルトリア。
正面に、ランスロット。
周囲に、赤黒い薔薇。
そして頭上で、愛神が楽しそうに見下ろしている。
「さあ」
愛神は囁く。
「王と騎士。赦しと罪。愛と憎悪。どちらが本当なのか、見せて」
ランスロットが動いた。
速い。
黒い鎧が残像を残し、アルトリアへ迫る。
剣が振るわれる。
重い。
騎士としての技量に、アヴェンジャーの憎悪が乗っている。
アルトリアは不可視の剣で受ける。
衝突。
薔薇の花弁が吹き飛ぶ。
一合目から、空気が裂けた。
「っ……!」
士郎は思わず息を呑む。
ランスロットの剣は美しかった。
乱れているのに、美しい。
怒りに染まっているのに、技術は一切曇っていない。
円卓最強の騎士。
その名に偽りはない。
アルトリアは受け流し、踏み込み、斬り返す。
王の剣はまっすぐだった。
迷いがないわけではない。
迷いを抱えた上で、それでも剣筋は揺れない。
ランスロットの黒剣が連続で襲いかかる。
斬撃。
突き。
返し。
足払い。
剣だけではなく、鎧の肩、肘、膝、すべてを武器として使う。
アルトリアはそれを受ける。
避ける。
弾く。
時に真正面から押し返す。
剣と剣がぶつかるたび、赤い薔薇が白く散り、白い薔薇が黒く染まる。
「王よ!」
ランスロットが叫ぶ。
「なぜ貴方は私を責めない!」
剣が振り下ろされる。
アルトリアは受け止める。
「責めることで、貴方は救われるのですか!」
「救われるはずがない!」
ランスロットはさらに剣を押し込む。
「だから責めてほしいのです! 罪人として斬ってほしい! 裏切り者として否定してほしい! そうすれば、私はようやく私を罰せられる!」
アルトリアの表情が痛みに歪む。
「それは、私の役目ではありません」
「王の役目です!」
「違う!」
アルトリアが魔力を放出する。
青白い光が爆ぜ、ランスロットを押し返した。
「私は王でした! ですが、貴方の罪を貴方の代わりに定義するための器ではありません!」
ランスロットが一瞬、動きを止める。
アルトリアは剣を構える。
「貴方の罪は、貴方のものです。私の赦しも、私のものです。どちらも、神杯が勝手に燃やしていいものではない!」
愛神が目を細める。
「いいね。王も苦しんでいる」
士郎は上空を睨む。
「お前が煽ってるのか」
「煽っているだけさ。ないものは作れない。彼らの中にあるものが咲いているだけだよ」
「それを利用してるんだろ」
「人間はいつもそう言う。愛された時は奇跡と呼び、苦しんだ時は呪いと呼ぶ。同じ花なのに」
士郎は拳を握る。
愛神の言葉は、どこか正しい。
だからこそ、腹が立つ。
愛は救いにもなる。
呪いにもなる。
だが、それを本人たちの意志を無視して暴かせる権利が、神にあるはずがない。
ランスロットが再び斬りかかる。
今度の剣は、さらに重い。
神域が彼の愛憎を増幅している。
「私は、王を愛していた!」
黒剣が薔薇の壁を裂く。
「だからこそ、王を傷つけた己が許せない!」
アルトリアが受ける。
「私は、貴方の忠義を知っています!」
「知っているなら、なぜ!」
ランスロットの剣が、アルトリアの肩を掠める。
鎧に火花が散る。
「なぜ、何も言わなかった!」
その叫びは、騎士のものではなかった。
一人の人間の叫びだった。
「責めてほしかった! 怒ってほしかった! 王に罰せられれば、私は騎士のまま死ねた!」
アルトリアは息を詰める。
その言葉が、彼女の胸を貫いた。
王として、何も言わなかった。
感情を見せず、裁かず、進み続けた。
それが正しいと思っていた。
だが、彼の苦しみにとってはどうだったのか。
「ランスロット卿……」
アルトリアの剣が一瞬鈍る。
その隙を、ランスロットは逃さない。
黒剣が彼女の胴を狙う。
士郎が叫ぶ。
「セイバー!」
彼は投影する。
干将・莫耶を投げる。
二本の剣はランスロットの斬撃へ向かう。
だが、愛神の赤い糸が絡みついた。
双剣が空中で止まる。
「部外者は少し待って」
愛神が微笑む。
「これは王と騎士の愛憎だ」
「勝手に決めるな!」
士郎は次の剣を投影する。
だが、赤い糸が士郎の胸にも絡みついた。
瞬間、彼の心の中に感情が流れ込む。
守りたい。
助けたい。
失いたくない。
イリヤを。
セイバーを。
凛を。
皆を。
その感情が膨れ上がる。
守りたいから、前に出る。
守りたいから、自分を顧みない。
守りたいから、相手の選択すら奪いかける。
「っ……!」
士郎の膝が揺れる。
愛神の声が甘く響く。
「君の救いも愛だね。美しい。けれど危うい。守りたいという愛は、簡単に支配へ変わる」
士郎は歯を食いしばった。
イリヤの言葉が蘇る。
助けるって言葉だけじゃ、もう届かないよ。
そうだ。
守りたいからといって、勝手に決めてはいけない。
士郎は胸の赤い糸を掴む。
指先が焼けるように痛む。
「俺の感情は、俺のものだ……!」
彼は糸を引きちぎろうとする。
切れない。
愛神の糸は、外から絡んでいるのではない。
心の中にある感情へ結びついている。
無理に切れば、自分の感情ごと傷つける。
なら、切るのではない。
認める。
「守りたい」
士郎は呟く。
「失いたくない。怖い。だから前に出たくなる。でも、それで相手の声を聞けなくなったら駄目なんだ」
赤い糸がわずかに緩む。
士郎は顔を上げる。
「セイバーの戦いを、俺が奪うわけにはいかない」
糸がさらに緩む。
士郎は双剣を握り直す。
「でも、隣にいることはできる!」
彼は糸を振り払った。
完全に切れたわけではない。
だが、支配は外れた。
愛神が少し驚いたように目を瞬かせる。
「へえ」
その間に、アルトリアはランスロットの剣を受け止めていた。
間一髪。
黒剣は彼女の鎧に深く食い込む寸前で止まっている。
アルトリアは、ランスロットの目を見ていた。
「ランスロット卿」
「王よ、私を――」
「怒っています」
ランスロットの動きが止まった。
アルトリアの声は震えていた。
だが、はっきりしていた。
「私は怒っています。貴方が自分を罰するために、私の怒りを求めていることに。貴方が自分の罪を終わらせるために、私を処刑人にしようとしていることに」
ランスロットの瞳が揺れる。
「王……」
「私は悲しい。貴方がそれほど苦しんでいたことに、気づけなかった自分が悲しい。私は悔しい。王であることを優先し、貴方の心を見られなかったことが悔しい」
アルトリアの剣に、青い魔力が灯る。
「そして私は、貴方を赦したい」
ランスロットの鎧が軋む。
「やめてください」
「やめません」
「赦さないでください!」
「いいえ」
アルトリアは真正面から言った。
「私は、貴方を赦したいのです」
その言葉は、王の命令ではなかった。
騎士への裁定でもなかった。
一人の少女が、一人の騎士へ向けた言葉だった。
ランスロットが叫ぶ。
「その赦しは、私を壊す!」
「ならば、壊れてください」
アルトリアは踏み込む。
「そして、もう一度立ち上がってください!」
剣がぶつかる。
今度はランスロットが押された。
「罪を抱えたまま、忠義を失ったまま、後悔を抱えたまま、それでも立つのです! 赦しとは、罪が消えることではありません!」
ランスロットの黒剣が震える。
アルトリアの剣が、その震えを受け止める。
「貴方が貴方の罪を忘れないように、私も私の後悔を忘れません。だから、もう私の怒りを貴方の罰に使わないでください!」
ランスロットの動きが止まった。
愛神の神域が大きく揺れる。
薔薇の迷宮に亀裂が入る。
士郎は叫ぶ。
「セイバー!」
アルトリアが頷く。
彼女の剣を覆っていた風が解けていく。
黄金の聖剣が、夜の薔薇園に姿を現した。
だが、彼女は真名を解放しない。
聖剣の光を、破壊のためではなく、照らすために掲げる。
ランスロットはその光を見て、動けなくなった。
「王よ……私は……」
彼の声が崩れる。
「私は、貴方を愛していた。王として。光として。届かぬ理想として」
「知っています」
「そして、その光を裏切った」
「それも知っています」
「ならば、なぜ」
ランスロットの兜の奥で、赤い光が揺れる。
「なぜ、まだ私の名を呼んでくださるのですか」
アルトリアは答えた。
「貴方が、私の騎士だからです」
その瞬間。
ランスロットの黒い鎧に、亀裂が走った。
アヴェンジャーとしての黒い霧が、剥がれ落ちていく。
愛神が目を細める。
「これは……」
愛憎庭園の赤い糸が、ランスロットから離れ始める。
愛と憎悪の境界を神杯が燃料にしようとしていた。
だが、アルトリアはそのどちらかを選ばなかった。
憎まない。
ただ赦すだけでもない。
怒り、悲しみ、後悔し、それでも騎士として名を呼ぶ。
その曖昧で、人間的で、王らしくない答えが、神域を乱した。
士郎は短剣を投影する。
凛の声が遠くから響いた。
「士郎! 愛神の糸の核が見えた! ランスロットとセイバーの間にある赤黒い結び目!」
メディアの声も続く。
「切断では駄目よ! 切れば感情ごと傷つく! ほどきなさい!」
「ほどくってどうやって!」
「考えなさい!」
「無茶言うな!」
だが、士郎には分かった。
切るのではない。
セイバーとランスロットの間にある感情は、断ち切るべきものではない。
それは罪であり、愛であり、後悔であり、忠義であり、王国の痛みだった。
なら、剣で断つのではない。
絡まった糸に、隙間を作る。
「投影、開始」
士郎は剣を作らなかった。
細い針のようなものを作った。
武器ではない。
殺すためでも、斬るためでもない。
絡まった糸をほどくための、ただの道具。
愛神が少し笑う。
「そんなもので神の糸に触れるの?」
「触れるだけだ」
士郎は赤黒い結び目へ針を差し込む。
瞬間、感情が流れ込む。
王への敬愛。
裏切りの苦しみ。
赦されたい願い。
赦されたくない恐怖。
王としての後悔。
騎士を失った痛み。
士郎の心が押し潰されそうになる。
だが、彼は逃げなかった。
「これは、俺のものじゃない」
士郎は呟く。
「俺が勝手に切っていいものじゃない」
彼は針を少しだけ動かす。
結び目に、隙間ができる。
アルトリアがそこへ手を伸ばす。
ランスロットもまた、震えながら手を伸ばした。
二人の手が、結び目の上で重なる。
アルトリアは言う。
「ランスロット卿。私は貴方を赦したい」
ランスロットは震える声で答える。
「私は、赦される資格がありません」
「資格ではありません。これは私の選択です」
「ならば……」
ランスロットの鎧から、黒い霧がさらに剥がれる。
「私は、その赦しを受け取ることを恐れています」
「恐れたままで構いません」
アルトリアは静かに言う。
「恐れたまま、共にこの神杯を止めましょう」
ランスロットの膝が崩れた。
彼は剣を地面に突き、頭を垂れる。
「王よ……」
その声は、泣いているようだった。
「我が罪は消えません」
「ええ」
「我が裏切りも消えません」
「ええ」
「それでも、再び剣を捧げることを、お許しいただけますか」
アルトリアは剣を下ろした。
「許します」
その一言で、愛憎庭園が砕けた。
赤い薔薇が舞う。
黒い薔薇が光へ変わる。
白い薔薇が、夜風の中で静かに開く。
愛神の糸が断ち切られたのではない。
ほどけた。
ランスロットのアヴェンジャー霊基から、黒い復讐の外殻が剥がれていく。
完全に消えたわけではない。
彼の罪は残る。
後悔も残る。
けれど、それはもう神杯の燃料ではなかった。
◆
神域が崩れ、薔薇園は元の枯れた庭へ戻った。
凛たちも分断から解放され、中央広場へ集まってくる。
凛はすぐに宝石板を確認した。
「愛憎の層、開いた……! 神杯核への三つ目の接続路が見える!」
メディアが満足げに言う。
「上出来ね。切るのではなく、ほどく。魔術師としては雑だけれど、結果は悪くないわ」
「褒めてるのか?」
士郎が疲れた声で言う。
「半分くらいは」
「半分か」
愛神は屋根の上からゆっくり降りてきた。
表情は、どこか寂しそうだった。
「残念。もっとぐちゃぐちゃに咲くと思ったのに」
ジャンヌが旗を構える。
「あなたはまだ戦いますか」
愛神は首を振る。
「今日はもういいよ。彼らの愛は、神杯の味じゃなくなった。僕がここにいる理由も薄れた」
ギルガメッシュが冷たく見る。
「逃がすと思うか」
「僕を倒すより、そこの騎士を安定させた方がいい」
愛神はランスロットを指した。
確かに、ランスロットの霊基は揺れていた。
アヴェンジャーとして召喚されながら、その核となる復讐と愛憎がほどかれたのだ。
このままでは霊基が崩れる危険がある。
メディアが舌打ちする。
「また面倒な安定化処置ね」
凛が疲れた顔で言う。
「うち、病院じゃないんだけど」
「衛宮邸はもう半分そうなってるわよ」
「本当に嫌な事実!」
アルトリアはランスロットの前に膝をついた。
「ランスロット卿。立てますか」
彼は兜を外した。
そこにあったのは、疲れ切った騎士の顔だった。
美しく、誇り高く、そして深い後悔を刻んだ顔。
「王よ。私は……」
「今は休みなさい」
アルトリアは静かに言う。
「命令です」
ランスロットは目を伏せた。
そして、ほんのわずかに微笑んだ。
「御意」
その言葉は、神杯による強制でも、愛憎の糸でもない。
騎士が自分の意志で、王へ返した言葉だった。
◆
だが、物語はそこで終わらない。
屋敷の奥から、拍手の音が聞こえた。
乾いた拍手。
ヴァレリウス・アシュボーンが、洋館の玄関から姿を現した。
細身の男。
青白い肌。
貴族めいた礼装。
その目には、興味深い実験結果を見た学者のような光があった。
「素晴らしい。実に素晴らしい展開だった」
凛が宝石を構える。
「あなたがランスロットのマスターね」
「いかにも」
ヴァレリウスは優雅に一礼する。
「ヴァレリウス・アシュボーン。神杯戦争における一参加者。そして、神杯の観測者の一人だ」
アーチャーが目を細める。
「観測者?」
「神杯を壊す者、神杯に願う者、神杯に利用される者。君たちはそのすべてを兼ねている。実に興味深い」
士郎は一歩前へ出る。
「ランスロットを利用したのか」
「利用?」
ヴァレリウスは笑う。
「失礼な。私は彼の願いに器を与えただけだ。赦されたい。赦されたくない。王に会いたい。王に会いたくない。その矛盾こそ、アヴェンジャーとしての召喚に相応しかった」
アルトリアの瞳が鋭くなる。
「それを利用と言うのです」
「そうかもしれない」
ヴァレリウスはあっさり認めた。
「だが、神杯戦争とはそういうものだ。願いを持つ者は利用される。願いを持たぬ者は盤上に上がれない」
ギルガメッシュが王の財宝を開く。
「不愉快な男だ。消えろ」
ヴァレリウスは手を上げた。
「おっと、今ここで私を殺せば困るのは君たちだ」
「何?」
凛が警戒する。
ヴァレリウスは微笑む。
「愛憎の層は開いた。だが完全ではない。最後の鍵は私が持っている」
彼の右手に、赤黒い小さな結晶が浮かんだ。
愛神の糸の残滓。
ランスロットの霊基から剥がれ落ちた、愛憎の核。
「これがなければ、神杯核へ至る道は不安定なままだ」
メディアが低く言う。
「人質のつもり?」
「取引と言ってほしい」
ヴァレリウスは士郎を見る。
「衛宮士郎。次の層を開け。そうすれば、この結晶を渡そう」
「次の層?」
「創造の層だ」
その言葉に、メディアの表情が変わった。
凛も眉をひそめる。
「創造……鍛冶神か」
ヴァレリウスは頷く。
「そう。神格側クラス、鍛冶神。そしてそこには、サーヴァント側のキャスターだけではなく、もう一騎が絡んでいる」
「誰だ」
士郎が問う。
ヴァレリウスは笑った。
「メディアではない。別の魔術師。神を造ろうとしている者だ」
メディアが冷たく睨む。
「神を造る? 馬鹿げているわ」
「馬鹿げているからこそ、神杯はそれを好む」
ヴァレリウスは赤黒い結晶をしまう。
「次の夜、鍛冶場で会おう。そこで君たちは知ることになる。神を呼ぶことと、神を作ることの違いを」
ギルガメッシュの宝具が放たれる。
だが、ヴァレリウスの身体は薔薇の花弁となって散った。
転移術式。
メディアが舌打ちする。
「逃げ足だけは一流ね」
凛が宝石板を睨む。
「追跡は……駄目。愛神の霧で痕跡を誤魔化されてる」
愛神もまた、薄く笑って消えようとしていた。
士郎が叫ぶ。
「待て!」
愛神は振り返る。
「何?」
「お前は、神杯の味方なのか」
愛神は少し考える。
「愛は誰の味方でもないよ」
「答えになってない」
「そうだね」
愛神は微笑む。
「でも、今日は一つだけ言ってあげる。神杯は愛を理解していない。ただ分解して、燃やして、結果を求めるだけ」
「なら、止めるのを手伝え」
「気が向いたらね」
愛神は薔薇の香りを残して消えた。
士郎は拳を握る。
また神が一柱、完全な敵でも味方でもないまま盤面を離れた。
神杯戦争は、単純な殺し合いではなくなっている。
神々もまた、神杯に呼ばれ、使われ、迷っている。
◆
衛宮邸へ戻ったのは、夜明け前だった。
凛とメディアはすぐにランスロットの霊基安定化に取りかかった。
イリヤの時ほどではないが、アヴェンジャー霊基の変質は危険だった。
ランスロットは畳の上に座り、静かに目を閉じている。
アルトリアはその傍らにいた。
士郎は少し離れた場所から、それを見ていた。
「セイバー」
アルトリアは振り返る。
「はい」
「大丈夫か」
彼女は少し考えた。
そして、正直に答える。
「分かりません」
士郎は黙って頷く。
「ですが」
アルトリアはランスロットを見る。
「逃げなかったことは、良かったと思います」
「ああ」
「赦しは、簡単ではありません。彼の罪も、私の後悔も消えない。けれど、それでももう一度言葉を交わせるなら」
彼女は小さく息を吐く。
「それは、きっと神杯の燃料ではなく、私たち自身のものです」
士郎は微笑んだ。
「そうだな」
その時、イリヤが廊下から顔を出した。
「お兄ちゃん、セイバー」
「イリヤ、起きてたのか」
「なんか、また人が増えてる気がしたから」
凛が奥から叫ぶ。
「増えたわよ! もう本当に家じゃなくて臨時本部よ!」
イリヤはくすっと笑い、ランスロットを見た。
「この人も、助けたの?」
士郎は少し考える。
「助けた、っていうより」
アルトリアが答える。
「向き合いました」
イリヤは頷く。
「そっか」
彼女は小さく笑った。
「じゃあ、よかったね」
その言葉は単純だった。
けれど、アルトリアは目を細める。
「はい」
◆
朝日が昇る頃、凛の宝石板に新たな反応が浮かんだ。
冬木市の地下工業区画。
かつて使われなくなった古い魔術炉跡。
そこに、巨大な神格反応があった。
鍛冶神。
そして、その周囲には無数の武器反応。
宝具ではない。
神器でもない。
それらは、作られかけの神具だった。
メディアが画面を見て、表情を険しくする。
「本当に、神を造ろうとしているのね」
凛が低く言う。
「鍛冶神の権能を利用して、神杯のための新しい器を作ってる可能性がある」
アーチャーが問う。
「誰が」
凛は宝石板に表示された名前を見る。
そこには、サーヴァント側マスターの一人の名が浮かんでいた。
クロード・ヴェルナー。
魔術礼装技師。
魔術協会から危険思想により追放された男。
召喚サーヴァント反応、キャスターではない。
クラス、アルターエゴ。
真名、不明。
士郎は眉をひそめる。
「アルターエゴ?」
メディアが静かに言う。
「分霊、複合、切り出された側面。神杯戦争でそんな器まで使っているのなら、次はかなり危険よ」
ギルガメッシュが不快そうに笑う。
「神を造るだと? 雑種の傲慢もここまで来れば見物だな」
エルキドゥは静かに目を伏せた。
「僕は、神に造られた。でも、人が神を造ろうとするなら、それは別の痛みを生むかもしれない」
ランスロットが目を開けた。
霊基はまだ不安定だが、声は落ち着いていた。
「王よ」
アルトリアが彼を見る。
「私も、参ります」
「休むべきです」
「いいえ」
ランスロットは静かに言う。
「再び剣を捧げると申し上げました。ならば、ここからは罪を罰にするのではなく、力に変えます」
アルトリアは少しだけ沈黙した。
そして頷く。
「分かりました。共に行きましょう、ランスロット卿」
ランスロットは深く頭を下げた。
士郎はその光景を見ていた。
愛憎の層は開いた。
王と騎士は、完全ではないまま再び並ぶことを選んだ。
次は創造の層。
神を造ろうとする者。
鍛冶神の炉。
そしてアルターエゴの正体。
黒い神杯は、まだ上空にある。
だが、士郎たちは確かにその核へ近づいていた。
終末。
祝祭。
裁き。
愛憎。
四つの層を越え、次に待つのは創造。
神杯戦争、第十夜。
騎士王は湖の騎士を赦し、湖の騎士は罪を抱えたまま再び剣を取った。
そして冬木の地下で、神を鍛える炉が火を噴く。
第十一話へ続く。