「いってきまーす」
杏葉(あずは)は家の中に叫ぶ。
すぐにドアから手を離して、外に飛び出すのだが、今日に限っては 躊躇(ためら)ってしまう。
「杏葉ちゃん」
門戸の外から、優しい声をかけてくれる 弥奈(やな)は、安心させてくれるように 微笑(ほほえ)んでいる。
それに勇気をもらった杏葉は、
「いってきま~す!」
と、もう1度家の中へ叫ぶように口にしてから、手で抑えているドアを離した。
「おはよう、杏葉ちゃん」
「おはよう、弥奈」
弥奈と挨拶をかわし、杏葉は門戸の外に出る。
「今まで、ありがとうございました」
杏葉は過ごしたてきた家を目に焼きつけて、小さくお辞儀をするのだった。
この朝の時間帯。
小学生や中学生はほとんどおらず、サラリーマンや高校生が、あちこちの家から出てきて、それぞれの目的地へと向かっていく。
この空気も、この景色も、 ******
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