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「今の言葉でもよくわかります。僕のことは、やっぱり弟みたいにしか思ってないんだろうなって。ちゃんとご飯食べたの? って、家族に言う言葉って感じですよね」
「そ、そう……かな?」
「そうですよ。だからやっぱり、僕には男としての魅力がないんだろうなって……」
「そんなことないよ。お客様だって、みんな輝くんのことカッコイイって……」
「お客様じゃないです! 僕が気にしてるのは、穂乃果さんが僕をどう思ってるか……ただそれだけです」
「どうしたの? 輝くん……今日、ちょっと怖いよ」
「僕は、本当に……穂乃果さんをずっと見守りたいし、近くにいられるだけで幸せです。それは、嘘じゃない。でも、でも時々、どうしようもなく不安になったり、悲しくなったりするんです。たまらなく穂乃果さんを愛おしく感じて、苦しくなる時があって……」
輝くんの表情が、だんだん切なさを増していく。
「穂乃果さんがどんなに近くにいても、思いを伝えることも、好きだって伝えることも、あなたに触れることさえできない……」
輝……くん……
「つらいです。あなたの前で強がってみせても、1人になると僕は……。本当にダメなやつです。こんなストーカーみたいなことして最低ですよね。本当に……ごめんなさい」
私は、輝くんのことをずっと弟みたいに思ってた。
きっと、たぶん……これからも同じ。
だけど、こんなにも一生懸命思いを伝えてくれて、胸が熱くなるくらい、すごく嬉しかった。
その思いと同時に、私の口から言葉が飛び出していた。
「輝くん、本当にありがとう。私のこと、そんな風に思ってくれて。すごく嬉しい。私も、本当に輝くんのこと好きだよ。だけど……だけどね。私、輝くんに黙ってたことがあるの」
「黙ってたこと?」
うなづく私。
「私ね、この前は言えなかったんだけど……」
今度は、輝くんがうなづく。
「ごめんね、私には今、とても大切な人がいるの」
「え?」
輝くんの顔に戸惑いの色が見えた。
「ごめん……」
「そうだったんですか……。そうなんですね、穂乃果さんには好きな人がいたんだ……」
「うん……」
「誰か教えてって言っても無理ですよね」
「ごめん……」
「大丈夫です。きっと素敵な人なんでしょうね」
「穂乃果さん、あなたの気持ちはわかりました。好きな人がいるなら、本当に僕にチャンスは無いですよね。でも、僕がずっと穂乃果さんを大切に想ってることは、絶対に忘れないで下さい。近くにいて、時々、あなたを見つめてしまうかも知れませんけど……その時は笑って許して下さいね」