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本当は怒りたいところだけど、二日酔いで元気がなくて俺はただ目をそらす。
「まぁ、昨日はもっと可愛い顔で見てくれたからいいですけど」
「昨日の俺は…酔ってただけだから忘れて」
「無理ですね。あんな可愛い瞬さん忘れたくても忘れられませんから」
そう言って諒真は昨日の俺を思い出したのか、ふふっと笑う。
そんな諒真を横目に、俺は服を着て横になる。
「もういい。俺寝る」
「それがいいですね。早く寝てください。俺がちゃんと瞬さんの寝顔見ててあげますから」
そう言われて俺は諒真の方に背を向けた。
「あー、ちょっと。こっち向いて寝てくださいよ。寝顔見れないじゃないですか」
「いいよ見なくて」
「ダメですよ。俺が看病するっていったでしょ?」
「看病はありがたいけど…寝顔は見なくていい」
「分かりました。まぁ、とりあえず寝てください」
「ん、おやすみ」
「おやすみなさい」
俺は目を瞑り、そのまま眠りについた。しばらく寝ていると、お昼頃、喉の乾きで目が覚める。すると、目の前で俺をじっと見つめる諒真と目が合う。
「どうしました?」
「喉乾いちゃって」
「あぁ、お水飲みます?」
そう言って諒真は俺にコップの入った水を差し出す。
「ありがとう」
そう言って受け取ろうとすると、諒真はスっとコップを持った手を引っ込める。
「寝てると飲みにくいですよね。俺が口移しで…」
そこで俺は慌てて起き上がり、コップをスっと取る。
「自分で飲めるから」
「そうですか」
諒真は少し残念そうな顔でそう言った。
俺が水を飲んで諒真にコップを渡すと、諒真はコップをベットのそばの机に置き、俺を見つめる。
「どうしたの?そんなに俺の事見て」
「別に。ただ見てるだけですよ?」
「やめてよ。なんか恥ずかしいじゃん」
「なら尚更見ますね。瞬さんの顔が赤くなるくらい」
そう言って諒真は俺に顔を近づける。
「はい、俺もう一回寝るので下がってくださ〜い」
俺がそう言って寝転ぶと、諒真は上半身をベッドの端に預けて俺を見つめる。
「瞬さん、血は飲まなくて大丈夫ですか?」
「夜で大丈夫だよ。ありがとう」
「いえ。その前に飲みたくなったらすぐ言ってくださいね」
「ありがとう」
「頭まだ痛いですか?」
「うん、朝よりマシになってきたけど、まだ痛いかな」
「じゃあ寝るのが1番ですね。俺がここで見てますから安心して寝てくださいね」
そう言って諒真はニコッと笑う。そんな諒真を見て俺はつい目を逸らす。
「安心して寝れねぇよ。お前が見てたら」
「え?なんでですか?」
「いや、なんでって…なんか恥ずかしいじゃん」
「なるほど。俺に見られてると恥ずかしいんですね」
「うん。まぁ、そうだよ」
俺がそう言うと、諒真は何故か嬉しそうに笑う。
「俺の事好きだからですね」
「違っ…わないけど…」
「けど?」
「けど…好きじゃない」
俺がそう言うと、諒真はクスッと笑う。
「何笑ってんの」
「いや、さっきも同じようなくだりしてたんで。なんか可愛いなって」
「…寝る。おやすみ」
俺はそう言って不貞腐れたように諒真に背を向けて目をつぶった。
すると、後ろから再びクスッと笑い声が聞こえた後、諒真の手が俺の頭に触れる。
「おやすみなさい」
そう言って諒真は俺の頭をそっと撫でた。そんな諒真に俺は密かに微笑みながらも、再び眠りについた。
しばらく寝て、夕方頃、目が覚めた。
諒真はベッドの端に上半身を預けたまま寝息を立てて眠っていた。
(ずっと見ててくれたんだ)
俺は諒真の頭をそっと撫でた。少しゴソッと動いた後、諒真は再び寝息を立てる。
(ちゃんとご飯食べたのかな…)
もう頭も痛くないし、何か作っておいてあげようと起き上がると、背中から眠そうな声で諒真が言う。
「瞬さん、どうしました?」
「あ、いや。諒真になんか作ろうかなって」
「俺のことはいいですから。瞬さんは休んでてください」
「もうだいぶ良くなったから大丈夫だよ」
「ダメです。ほら、寝てください」
そう言って諒真は立ち上がって俺を寝かせようとしてくる。
「ちょっ、諒真。もう大丈夫だって」
「大丈夫じゃないです」
「諒真〜、どうせなんも食べてないんだろ?」
その言葉で諒真はピタッと止まる。
「うん…まぁ…」
「ほら。俺が今すぐ作るから」
「いやいいですよ。カップラーメン食べるんで」
「へぇ〜、俺の料理よりカップラーメン選ぶんだ?」
「え、なんですかそれ。カップラーメンに嫉妬ですか?」
諒真にそう言われて、俺の体は熱くなる。
(やばい…変なこと言った…)
「…なんでもない」
「俺はもちろん瞬さんの料理を選びますよ?」
「…あっそ。だったら食べてよ」
「分かりました。じゃあ、楽しみにしてます」
諒真はそう言ってニコッと笑った。俺は恥ずかしくなりながらも、部屋を出てキッチンに向かった。
冷蔵庫にあったものでササッと料理を作り、食卓に置く。諒真を呼ぶと、嬉しそうに駆け寄ってくる。
「今日も美味しそうです。いや、美味しいです」
「まだ食べてないでしょ」
「瞬さんの料理は100%美味いです」
「そう?」
「はい、100%です」
「ありがとう」
そういった後、俺は思わず笑みがこぼれる。料理を褒められると、素直に嬉しくなる。
そんな俺を見て、諒真もニコニコしていた。
「料理の事だと素直に認めるんですね。俺が好きっていうのも認めてくれません?」
「それは…無理」
「その回答の仕方で俺のこと好きっていうのは十分伝わるんでいいですけどね」
「…うるさい。冷めないうちに早く食べて」
「はーい」
そう言って諒真はいつものように「美味い美味い」と言いながら嬉しそうに食べている。
そんな諒真を見て、なんだか俺もお腹がすいてきた。
諒真に貰おうと思ったが、今日はまともに食べてないみたいだし、なんだか申し訳ない。
(久しぶりにヴィオレ行くか…)
俺が支度を始めると、諒真が不思議そうに聞く。
「どっか行くんですか?」
「うん、ちょっと血、貰ってくる」
「貰ってくるって、誰に?」
「そういうお店があるから、そこに」
「俺がいるじゃないですか」
諒真は不機嫌そうにそう言う。
「そうだけど…今日はちゃんと栄養取ってないでしょ?」
「栄養取ってないと美味しくないですか?」
「そうじゃなくて、諒真が心配だから」
俺がそう言うと、諒真は一瞬驚いた表情を見せた後、立ち上がって俺に近づく。
「な、なに」
そう聞く俺を無視して諒真は俺をそっと抱きしめた。