テラーノベル
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📱
「さっきの続き、いつする?」
画面に表示された文字を見て少しだけ目を細める。
(早いな)
あんな顔してたくせに
——「もう待てない?」
送る
間髪入れずに既読がつく
間を置かずに返ってくる
——「無理」
思わず笑みがこぼれた。
(……完成だ)
ポケットにスマホをしまう
夜の空気が少しだけ冷たい。
でも、気分は悪くない
むしろ
(最高)
ゆっくり歩きながらさっきのやり取りを思い返す
舜太の顔
戸惑って
でも、ちゃんと最後は欲しがってた
(ちゃんと選ばせた)
無理やりじゃない
押し付けてもない
全部、舜太が自分で選んだ
——そう思える形にした
(それが一番離れない)
「……」
少しだけ空を見上げるて 昔のことを思い出す
あの頃から何年経つだろう。
ずっと隣にいた
兄弟みたいに扱われて
近いのに、遠くて
手を伸ばしても
「じゅうやし」で終わる距離
(長かったな)
でも
それも今日で終わり。
📱
またスマホが震える
今度は——仁人
画面を見る
着信
少しだけ考えて
そのまま切る
(今じゃない)
メッセージが入る。
——「舜太と話した」
(遅いよ)
返信はしない
そのまま通知を閉じる
(もうあいつに関係ない)
視線を前に戻す
(あとは——)
📱
新しい通知
舜太から。
——「今から来て」
(ほんと分かりやすい)
——「いいよ」
——「待ってる」
既読がつく
それだけで満足する
(ちゃんと待てるようになった)
前は違った
高校に入学してから約2年舜太はいつも、先輩の仁人の方を見てた。
俺はその隣で
ただ話を聞くだけ
目線の先に嫉妬するだけ
(でも今は違う)
足取りが少しだけ軽くなる
インターホンを押すとすぐに ドアが開けられた
「……じゅうたろ、」
舜太が立ってる
さっきよりも分かりやすい顔。
「来た」
軽く笑う
「そんな急かす?」
「……別に」
顔は逸らされたが
その首筋は赤く火照っていた
「入っていい?」
「……うん」
中に入る
ドアが閉まる
さっきと同じ部屋
舜太をソファに腰掛けさせる
空気が違う
「……」
少しだけ距離を詰める。
舜太は逃げない
「考えた? 何がしたいのか」
「……」
少しだけ黙る。
でも、今回は逃げない。
「……さっきの」
小さく言う。
「続き」
(ほら)
「ちゃんと分かってる?」
「……わからん」
正直なまま。
「でも」
顔を上げる
「したい」
まっすぐこっちを見つめる
「そっか」
手を伸ばす
今度は止めない
頬に触れる
びくっとするけど
逃げない。
「……じゅう」
名前を呼ばれる。
その声に
迷いはない。
(もう大丈夫)
ゆっくり距離を詰める
今度こそ——
触れる
短くて
でも、はっきりしたキス。
離れると、
舜太が少しだけ息を乱してる。
「……っ」
「どう?」
聞く。
「……わからんけど気持ちいい」
少し笑う。
「嫌じゃない」
「うん」
「むしろ」
少しだけ間があく
「……もっと」
ねだるような声
「いいよ」
絶対に逃がさない
もう止める理由もない
だって
(完成してるから)
腕を引いて
自分の方に寄せる
抵抗はない
完全に委ねてる。
「……柔太朗」
「なに」
「ちゃんと、いてな」
その言葉に
少しだけ目を細める
「いるよ」
優しく返す
嘘じゃない
「どこにも行かない」
それも、本当
だって
(離す気ないし)
もう一度唇を重ねる
さっきよりも深く
確かめるみたいに
奪うみたいに
(これでいい)
(これがいい)
ゆっくり離れて
額を軽く合わせる
「……なあ、舜太」
「なに」
少しだけ囁く
「俺さ」
間を置く
「ずっと考えてた」
「……なにを」
口元が自然と緩む。
「舜太の幸せの作り方」
その言葉に、
舜太は上目遣いで目を瞬かせる。
「……なにそれ」
「さあ」
軽く笑う。
「でも」
もう一度頬に触れる。
「ちゃんとできてるでしょ」
舜太が小さく頷く。
「……うん」
その一言で、十分だった
満たされるとはこういうこと。
(ああ)
(間違ってなかった)
抱き寄せる
もう、離さない
「これからも」
小さく呟く
「任せてよ」
返事はない
でも、
腕の中でしっかりと掴まれる
(ほら)
(大丈夫)
(ちゃんと幸せにしてる)
たとえそれが
歪んでても
依存でも。
選ばせた結果なら、
それはきっと——
「正解」だ。
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