テラーノベル
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2、キズナ
「おまえ、なにしてんだ?」
聞いたことがないほどの低音に肩がびくりと震えた。
ショウくんはひかるんの腕をギュっと掴んだまま離さない。
(な、なにこの地獄絵図…)
どうにもできなくておろおろしていると、救世主が現れた。
「コホンっっ!!!」
明らかにわざとらしい咳を先生がした。
普段はうるさい、と思ってしまっても今だけは希望の光だった。
(先生にこんだけ感謝したの生まれて初めてかもしれない…っ)
助かった、と思ったのも束の間。
なんと、ひかるんがショウくんを背負い投げしたのだ。
「え?えぇぇぇぇっ!!?」
さすがにドン引きを超えて駆け寄った。
「だ、大丈夫!?」
あわててショウくんを抱き起すと、わたしの視界に入ったひかるんが苦しそうに顔を歪めた。
「なんでだよ、、、おまえは…」
ひかるんは言いかけて、止めた。
木材の床に水滴が落ちる。雨漏れはしていないし、なんなら雨も降ってはいない。だからこれは―
「ひか、るん…?」
いつもみたいに頭を撫でようとした。いつもはこれでひかるんを落ち着かせている。なのに…
「…っさわんな」
「…えっ?」
ひかるんがわたしの手を力強く弾いた。ひかるんの爪がかすり、血がにじむ。
(ひかるん…?本当にどうしちゃったの…?)
こんなひかるんは見たことがなかった。
なんともいえない表情でわたしを見て、ショウくんをにらむ。
そして、次の瞬間、ひかるんはかばんを持って教室から全力疾走で逃げて行った。
「ひかるんっ!!」
反射的に体が動いた。
だが、だれかに制服を引っ張られた。
「今はそっとしとこ。ね?」
はるちーだった。
「で、でもっ!」
反論しようとすると、はるちーはわたしを抱きしめてくれた。
「おまじない」
はるちーの言葉が脳内でリピートした。
おまじない。
幼いころに、わたしとはるちーとひかるんで考えたおまじない。
(見つめ合いは大切な人にだけ送るテレパシーってはるちーが言ってそれから、ひかるんが送ってくるようになったんだっけ?)
自分の考えにはっとした。
(ショウくんを見たとき、たしか、わたしとショウくんは見つめ合ってた…それをひかるんが勘違いしてわたしの好きな人はショウくんだと思ったんだっ!)
顔面蒼白になる。
小さいころの思い出だったし、あんまり深く考えていなかったから、ひかるんが向けていたわたしへの気持ちに気づかなかった。
でも、それで許されることじゃない。ひかるんだって相当、傷ついたはず。なのに、わたしは――最低だ。幼馴染としても、人間としても。ずっと大切にしてきたキズナを自分から壊すなんて…。
罪悪感が一気に押し寄せてきて涙が溢れた。
(泣いてはダメ…泣きたいのはひかるんのほうなんだから…)
「はるちー、ありがとう。わたし、もう一度、ひかるんと向き合ってくる」
わたしが決心をしたように言うと、今度ははるちーは止めなかった。でも、応援してる、とでも言うように笑ってくれた。
大切なキズナを取り戻すためにわたしは一歩一歩、戦場に向かって歩み始めた。
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学校を抜けると、走った。
目的地は一つだけ。あの丘だ。
幼い頃、花が大好きなはるちーに連れられ、たくさんの花が咲く丘にやってきていた。
(あのあともひかるんはつらいとき、かなしいとき、ここに来ていた)
当たっていることを信じて、丘を見渡した。
すると、風に揺れている黒髪を見つけた。
「ひかるん…」
思わず声を上げるとひかるんは驚きを隠せずに目を見開いた。
「なん、で…」
その声色からさっきまで泣いてたんだってわかる。罪悪感がまたこみ上げてくるが、ここで逃げるほうがよっぽど罪悪感がすごい。震える足に力を入れてひかるんのもとへと歩み寄った。
「っ…来るなよ、」
声が震えていた。
「おまえはあいつが好きなんだろ!!?だったら、あいつのもとに行けばいいじゃんっ!!!どうせおれは、ポッと出のモブで、あって―っ!」
言葉をさえぎるようなタイミングで優しく、強く、ひかるんを抱きしめた。
ひかるんの言葉が途切れ、いつしか泣き声に変わっていた。
「振るなら振れよぉ!そうすれば…おまえもおれみたいなやつに好かれなくて済むんだぞ…っ」
「いやだよ」
きっぱりと言うとひかるんの瞳が再び見開かれた。構わず続ける。
「幼い頃に三人でおまじないをつくったでしょう?わたしね、昔の記憶をすぐには思い出せないの。だけど、覚えていたひかるんが「見つめ合いはテレパシー」っていうのを思い出して勘違いしちゃったんだと思う」
「…は?」
ひかるんの瞳が涙ではなく、驚きと恥ずかしさで染まった。
「え、待って。じゃあ、早とちりだったっていうこと?」
「そういうこと」
事実を教えるとひかるんは頭を抱えて座り込んだ。
「マジか…。…でもさ、みお」
「うん?どうし―」
振り返ると、すぐそばにひかるんの顔があった。
「ショウを否定したっていうことだから、まだお前の隣のチケットは空いてるんだろ?人生という金で買ってやるよ」
「は…?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー続くーーーーーー
あとがき
わーわ!黒歴史を書いてしまった!マズイ、!リア友から守らねばっ!
さてさて、話を戻して、、、本性を見せ始めたひかるん、これからの澪緒との関係は、!?そして次回、ついに新ライバルが現る!?
〜次回〜
3、〜ひかるに届け!澪緒の気持ち〜
コメント欄でキャライメージを書いてくださると、うれしいです!(新キャラの参考にします!)
例)ワイルド×甘党 てきな!
コメント
3件
第2話、読みました……! ひかるんの背負い投げからの逃亡シーン、一瞬で空気が変わってゾクッとしたよ。みおちゃんが「おまじない」を思い出してひかるんの勘違いに気づく流れ、切なくてじんわりきた( ; ; ) 最後の「人生で買ってやるよ」も、普段のひかるんからは想像できない言葉でグッときた…! 2人のキズナ、ちゃんと戻りますようにって祈るような気持ちで続きを待ってます🤍🥀