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調布駅に向かいながらコユキがデスティニーと肩を並べて歩きながら話し掛ける。
「ふぅー清々したわね! 立つ鳥後を濁さずって本当なのね! にしてもアンタ等って神様なのに結構苦労してるっぽいわよねぇ? フェイトさんは内職みたいなのやってたし、フューチャーさんは遭難者からの剥ぎ取りだったし…… そう考えるとデスティニーさんは一番神様っぽいっちゃぁぽいわね、やり方は兎も角、信者獲得を目論んで居たんだもんねぇ」
デスティニーは簡潔に答える。
「あ? ああ、俺は元々ここ日本に居た神だからな、勿論過去には四人揃って世界中の色々な場所に行った事は数知れないが、俺にとっては日本が本拠地だからだね、信仰を集めたくなるんだよ」
コユキは意外そうな顔で聞く。
「へー、皆日本出身かと思ってたけど、言われてみればワールドワイドじゃなきゃ可笑しいもんね、そう言えば南米にも行ってたとか聞いたっけ、ねえ他の皆さんの本拠地はどこなのん?」
「ん? フェイトは北極、フューチャーはアメリカ合衆国、俺は日本、ロットは南極だな、因みにメットカフーはイギリスのグリニッジだな」
「あの標準時の? 天文台だよね?」
「ああ、そうだね」
「ふーん」
「……」
そんな事を言いながら電車に乗って岩本町に到着したコユキ達は秋葉のホビーショップでザンボ〇ト3を探し始めたのだが、思った以上にツイテいた様である。
コユキが満面の笑みを浮かべながら言った。
「なによ、想定を超えた上首尾ねん! 二軒目で見つかっちゃうなんて、しかも状態最高だなんて、こりゃ善悪の喜ぶ顔が目に浮かんじゃうわね!」
「……それで用事は済んだのか? 帰るんだよな、コユキ達の住む家に」
デスティニーの言葉に首を振って答えるコユキ。
「ううん、もうひと手間必要なのよ、ごめんだけどもう少し付き合ってくれない?」
「? 良いけど……」
コユキはスマホで誰かに連絡を取っている様だ。
その場に留まったまま数分すると、電動キックボードに乗った男性が有ろう事か歩道に乗り上げると言う暴挙に出ながら声を掛けて来たでは無いか。
「お待たせしましたコユキさん! 手に入りました? ザ〇ボット3?」
コユキが親し気に返す。
「ばっちりよ、結城(ゆうき)さん! それでそっちの首尾は? 繋がった? クリエーターネットワークは」
呼び出されて徒歩十分ほどのオフィスから駆けつけた結城(ゆうき)昭(あきら)は肩を竦(すく)めて答える。
「いや同じくクリエーターとは言え、あちらは超が七つくらい付く大物ですからね、簡単じゃありませんでしたけど…… ウチの悠亜の師匠筋を頼ってなんとか♪ 今日は草野球のお仲間とチョコスイーツを楽しんでおられるらしくて、ここから近いんで僕がチャチャッと頂いて来ますよ、サイン、善悪様へって書いて貰えればいいんですよね?」
コユキは満面の笑顔である。
「うん、そうなんだけどさ、朝頼んだ通り、藤原じゃなくて当時の名前でサインして欲しいんだけどね」
「ええ、如何にも善悪さんらしい拘(こだわ)りですよね、それ! 頼んでみますよ! ではもう暫(しばら)く待っていて下さいよ、そこらのカフェで何か飲んだりしていて下さい! ではっ!」
シャーッ!
良い感じで蹴り出して行った結城昭の背を見送ったコユキは、周りを見回してからデスティニーに言う。
「んじゃそこらで時間潰すとしようか? そこなんか良いじゃないのよ、動物カフェ・デビルだって! 猫かなウサギとかかな、入ってみましょうよ」
「良いよ」