日曜の午前。
ハイネは静かに、自室の窓際で本を読みながら珈琲を楽しんでいた。
ローブも脱ぎ、私服姿。いつもより少し柔らかい雰囲気のハイネ先生。
「──ふぅ。たまにはこうして、静かな時間も……」
ガチャッ!!!!!!!
「センセー!!!遊びに来たよーーーー!!!!」
「おや、リヒト王子」
「先生、きた……」
「師匠、今日は随分とくつろいでいるんですね!!」
「僕は来たくてきた訳じゃないんだからな!!ブルーノ兄様が僕をお誘いしてくれたから…」
「ちょっとまって!そのカップ!俺の好きな柄のやつ!!センセーずるい!!!」
──と、騒がしい王子たちがなだれ込んできて、
ハイネのささやかな休日はもはや風前の灯。
「どうしてここに…」
にやりと笑うリヒトが、ドアの向こうを振り返る。
「おっと失礼。通してくれ」
現れたのは、満面の笑みを浮かべた国王ヴィクトール。
「……まさか、陛下まで」
「“今日は君の予定がない”と聞いたのでね。では、お茶会を始めようじゃないか」
そう言って手にしているのは、王室御用達の菓子と紅茶セット。
「どこからその情報を……」
「もちろん、調べた」
「重い……」
と、全員が一斉にドン引き。
「いや、君もたまには甘いものを楽しんだ方がいいだろう?このマカロンなど、君にぴったりだ」
「師匠に似合う色に合わせて選びました!」とブルーノ。
「先生、マシュマロ…食べる…?」とカイ。
「これあーんしていいやつ?」とリヒト。
「トルテ…!!トルテだ!!!!」とレオンハルト。
「……わたくしの部屋は、遊技場ではないのですが……?」
「じゃあ、ハイネの膝枕で昼寝しようかな」
「ヴィクトール!!!!!」
「父上!!!!!!!!!」
⸻
こんな感じで大騒ぎしながら、
珈琲はすっかり冷めていく──が、
それでもハイネは、少しだけ微笑んでいた。
「……賑やかすぎます、本当に……」
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