※赤組のBlue Moonが好き過ぎるんだ。
※赤桃メイン。匂わせ程度の青桃。
色とりどりのネオンライトが照らすある一角のバー。
愛と欲に飢えた男女がグラスを傾ける。
毎晩行われるこの逢引をパーティなんて揶揄ってみる。
そうやって、好きなように酔い潰れるだけ。
赤色の瞳をした君とは、記憶は曖昧だが前にもあったことがあるでしょ?
ふとした通知音に会話が止まる。
「あーあ、呼ばれちゃった。じゃあまた後でね。」
一言告げて、俺は青い彼に帰っていった。
真っ暗な夜は寂しいだけ。
彼氏だって帰ってこない。
だから、久しぶりにバーに行こうとした。
赤色の彼は今日もいるかな、なんて少し胸を高鳴らせて。
メイクをして、少しだけめかし込んで、気持ちは大きくね。
誰も俺の気持ちは知らない。
そのことに、今は少しだけ優越感を覚えた。
チリン、と鈴がなって扉が開く。
久しぶりの頭が痛くなりそうな光景に、眉を歪ませた。
光量だけでもどうにかなんないかな、なんて思いながらカウンターに座る。
「マスター、Blue Moonひとつ。」
「はいよ。久しぶりだね、お客さん。」
「えっ、あ……、そうですね。お久しぶりです。」
客一人一人の顔を覚えていることに驚きつつ、挨拶を交わした。
ピンク髪だし覚えてだけかな……?
「あっ、マスター!」
「はい?」
グラスに氷を注ぎ込むマスターに話しかける。
「あの、先日の彼_りうらって来てるか分かります?」
客一人一人の顔を覚えているのなら。
いたらいいな、と小さな望みを懸けて。
「あぁ、いますよ。カウンターの端に。」
マスターの言うように、カウンターの端のほうを見れば黄金に煌めくピアスと、赤い髪をした彼がいた。
数秒、見つめていれば向こうもこちらに気づいたようで。
「ないくん、今日来てたんだ!」
なんて言って、カクテルを持ってこちらに向かってきた。
「りうら、ごめんね。最近来れてなくて。」
「ううん、全然。」
愛おしそうに言うりうらの瞳が、どこか優美に映って。
ゾクゾクと、官能を刺激された。
退屈凌ぎには丁度いいかもしれない。
「ねぇ、りうら。俺と遊びたい?」
りうらが目を見開く。
「遊び、って……」
「んー、そーゆーこと。」
悪戯っぽく笑えば、静かに俯くりうら。
その間に俺は、Blue Moonを一口飲んだ。
俺には彼氏がいるからって、ちゃんとボーダーライン引いてたんだけどな。
お酒のせいで緩んじゃった。そう、お酒のせいで。
「……いいよ、遊ぼ、ないくん。」
アルコールが少量回ってきたところで、りうらが口を開いた。
どうやら、君は冷めない夢がお好みみたい。
叶わぬ恋なのに、なんて心の中で嘲笑う。
自分にも、りうらにも。
このまま、溺れてしまえたら。なんて思いながら、スマホの電源を切った。
黒い衣装を纏った君が、淫らに乱れる。
この服も、ないくんの彼氏が選んだやつなのかな、なんて勝手に想像して、勝手に劣情をぶつける。
その度に善がる君に、少しだけ期待してしまう。
ないくんからほんのり香るレモンの匂い。
叶わぬ恋だって、なんだっていいよ。
少しでも溺れさせて、君を惑わせたいんだ。
「ないくん、全部りうらに委ねて。これまでの経験塗り替えて上げる。」
奇跡だって言って乾杯した元カノも、完全に逃げていったセフレも、いつしか冷めてしまった彼氏のことも、全員嘲笑ってあげる。
りうらが、完全な愛をないくんにあげる。
抗って、肖って。
運命ごと飲み干して?
ないくんの中に彼氏がいたっていいよ。
掌の上、転がされてあげる。
一口キスマークを付けて、
「溺れたっていいよ」
なんて言ってみる。
だって、君は___。
ピンクのネオンライトに包みこまれて心地良いかも。
妖艶な瞳で見つめてくる君に、今日も弄ばれる。
そして、黒い衣装とともに淫らに乱れ、善がる。
叶わぬ恋に、
『溺れたいんでしょう?』
コメント
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終始言葉の使い方に圧倒されました。さーもんさんの作品の桃×桃が凄く好きなのですが、それに次ぐ程好きです。