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「まあ、終わってしまったことだわ……ずいぶんと昔に。それよりも私たちが出て行って、真奈美がここにいるっていう未来はおかしくない?」
「それは、おかしいと思います。私はここのカメラも勝手に…」
「失礼しまーす。作業させてもらってありがとうございました!昼もご馳走になって、すみません。完了したので帰ります」
カメラマンの何さん、っていったっけ?
田中さんが言ったよね……あ、木本様だ。
木本様が田中さんに案内されてやって来ると、部屋の入り口で篤久様に向けて挨拶をした。
「付き合わせて申し訳なかった。どこかで埋め合わせする」
「そんなこといいよ。すごい反響だから、それだけで十分です。さっき撮っていたところでいうと、隣が奴隷家政婦の主の真奈美ちゃんだよね?技術、持ってるね~ここのカメラ、配信時間決まっていたんだよね?」
木本様は私に軽くそう聞いてきた。
「はい…出来ていましたか?私、何も確認出来ていなくて……このあとも管理しなくちゃいけないんですけど」
「うん、生配信はちゃんと切れていたよ」
「よかったです……玄関の鍵とか聞いたので、そこが生配信されるのはまずいなと、思っていました」
「大丈夫。世界中から真奈美ちゃんへ応援メッセージが来ているよ」
「え…」
「真奈美ちゃんのアカウントにも、俺のアカウントにも本当にたくさん来ている。同情よりも勇気と行動力への称賛が多い印象だね。あと真奈美ちゃんと家族の、今後の幸せを祈ると…今、きっと世界中で祈ってくれているんだ。生配信では顔が映ったけど、極力真奈美ちゃんは映していないし、アーカイブやショートでは真奈美ちゃんの顔は加工したから、無駄に拡散されない。名前もピー入れたしね。このあとゆっくりと自分の時間を持って、自分のために生きて欲しいと俺も思う……けど、どうやってこの技術を勉強した?」
「独学です……ネットで」
「そうか。それが実践できることは素晴らしいと俺は思うよ。一つ、配信を長くやっている俺からアドバイスするとしたら、このあと奴隷家政婦アカウントでお礼のメッセージを流して、24時間後にアカウント削除を宣言して終わる……それがいいと思う。もう真奈美ちゃんは過去の記録に囚われない生き方をして欲しいからね。まあ、ずっとこの人たちを攻撃することも出来るだろうけどリスクもあるし、生産的な行為と言えないから、よく考えて」
本当にそうだ……このあとの管理って考えていたの。
「アドバイスいただいて、ありがとうございます。削除します」
「うん、それがいいね。じゃあ、お疲れ様でした!」
「また連絡します。お疲れ様でした」
篤久様が軽く手をあげた時には、もう木本様は消えていた。
「すぐに削除しなさいよっ!」
「すぐには無理です。無言で削除するような無責任なことはできません……それよりも私、ここのカメラを勝手に操作したので……大変申し訳ございませんでした。処分も、訴えられることも覚悟しています」
私は立ち上がって、ご主人様に深々と頭を下げた。
「本当にごめんなさい……すみませんでした」
謝っても謝り切れない気持ちが溢れる……勝手にプライベートスペースのカメラを配信に使ったのだから……本当に申し訳ありませんでした……
「真奈美さん、頭を上げて。私の話を聞いてくれるかな?」
「話なんて必要ないでしょ?クビよ、クビっ!出て行きなさいっ!」
「どの口がそんなこと言うんだ?」
「あなたにそんな権限はない」
遥香が唾を飛ばす勢いで叫ぶと、西郷先生の呆れた声と、篤久様の冷めた声がして
「彼女はうちの社員なので、こちらでクビなどと言われることはございません」
え……?田中さん?
驚いてリビングの入り口を見ると
「クビをここで宣言されることはないのよ……でもね、今、会社から連絡があって……事情があってのことだと何度も……何度も説明をしたけれど……私では力になれなくて本当にごめんなさい……」
田中さんが私に頭を下げた。
「いえ……当然です。覚悟していました。田中さんにもご迷惑をお掛けしてすみませんでした」
「ほら、クビよ、クビ」
「あなたに言われるのが違うって言っているんですっ!」
……田中さんが遥香に怒った……
コメント
12件
クビクビ五月蝿いわ😠サッサと出てけー 社会人としてのケジメをつけようとしてる真奈美ちゃんは立派だよ✨ ご主人様、篤久様、西郷先生、どうか真奈美ちゃんを守ってほしいです🙏
別にクビはクビでも会社がクビだから中園家直接雇用にすれば問題無しなのよー,考えが浅いもうすぐ家を出ていく方達😂😂😂
会社雇用じゃなくて篤久様永遠雇用😊✨だとステキ😍