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「偉そうに言ったってクビはクビ」
「違います。アナタが彼女のクビを語ることはやめてください。私も桑名さんも社会のルールや会社のルールの中で生きている……アナタのように子どもが親のお金、親からの小遣いの範囲で生きているのとは全く違う。会社もルールがあって、解雇を言い渡すだけで、彼女を軽蔑するような社員は誰一人いませんから、そこをお間違えの無いようお願いします」
「田中さん、会社の真奈美さんへの対応は解雇ですか？」
「はい…篤久様……派遣先のお宅での不祥事に当たると言われて……上層部も他も彼女の立場を理解していますが、カメラを使った行為を会社として許すこと見逃すことだけは出来ないというのが結論です……悔しいですけれど……」
「会社として見逃すと、今は応援するという人たちも、今後何かのトラブルがあった時に“あんな会社だからな”って言いますからね。この短時間で判断される上層部は優秀だと思いますよ、ね、社長？」
「その通りだね」
本当にいい会社だと思う……迷惑をかけて申し訳ない……
「真奈美さんは俺が採用します。田中さんもご心配なく」
えっ……？
「ありがとうございます、篤久様!もう、それなら安心して……はぁ、よかった……私、どこか彼女に紹介出来るかなって考え始めていたんですよ。広瀬さんもすごく心配しているので報告してきますね」
お辞儀をするはずの田中さんが、手を叩きながら行ってしまった…
「採用？」
「私が言おうと思っていたのに、篤久が言ってしまったね。しかも篤久が雇用するのか？私のつもりだったが？」
「俺専属でもいいかなと思っていますが、父さんも真奈美さんがいい？」
「そうだね、出来ればこれまでのようにと思うが……私は邪魔かな？」
「あの……私はプライベートスペースを晒してしまったので……」
「真奈美さんは十分な謝罪をしてくれましたから、それはもう完全に終わりました」
「そう、中園の言う通りだね。心からの謝罪というのは相手に伝わるものなんだよ、真奈美さん。言葉と態度は大切です、ってことで時間が……僕は役所に行ってきます。真奈美さん、源田さんたちを訴えるかどうかは来週決めましょう。診断書だけもらっておいてください」
そう言って西郷先生がバッグを持って立ち上がると
「待って、謝るわ」
西郷先生を行かせないように立ちはだかった遥香が
「辛い目に遭わせてごめんなさい」
と首を突き出すようにした。
「「「「……」」」」
しーん……としたリビングにエアコンの音だけがゆるりと空気を揺らす。
「……源田さん……娘さんに謝り方を教えていないのですか？でしょうね……これでは、きっと。話にならない……」
西郷先生が心底呆れた様子で言うと
「謝られた方の気分が悪くなる言動だな」
と、篤久様も言う。
それだ……
「……事件を忘れていたような人に今さら何を言われても……ですね」
「はっ？今さら？アンタね……自分がここで採用だからって偉そうに何言ってんの⁉」
「ほら……真奈美さんに申し訳ない気持ちなど微塵もないんでしょ？」
バッグを反対の手に持ち直した西郷先生が、じゃあ、と出て行くと、すぐに
「引っ越し業者が到着しました。1時間後の出発です」
と運転手さんが来た。
私の採用だとか、いろいろと聞きたいのに慌ただしい……
「私の部屋の物、全て運んで。ママの部屋もよね？」
「ぇええええぇぇ……そうね…」
「では、玄関まで荷物をお運びください。あと行き先も業者に伝えてください」
運転手さんの声を聞きながら、篤久様が残っていたアイスティーを少しずつ、ご主人様と私、それから自分のグラスに入れてくれた。
ありがとうございます……飲んでゆっくりと落ち着いていろいろと考えなきゃ……
「部屋で業者が梱包するんじゃないの？」
「そういうプランではございませんから。玄関の物をトラックへは乗せてくれますよ。ご主人様のご厚意で、行き先住所は離島以外どこでも大丈夫なようにお支払い済みです。積み込むまでに時間があるなら、先に住所をお伝えしてください。住所確認をするでしょうから」
やっぱり運転手さん、スラスラと喋るな……
コメント
6件
誠意の欠片もない謝り方、怒りを通り越して笑えるし〰 どこに引っ越すんでしょうね〰🤣 真奈美ちゃん引っ張りだこ〰🤩 もう安心して人生を楽しもう❤️
行き先って行ける所?受け入れてくれる所あるの？まさか今日から橋の下とかじゃ無いわよね😅😅😅
ちょーとなにその謝り方😆もうここまでくると笑っちゃう😂首を突き出す？お猿さんでさえ頭下げるよ〜。ごめんなさいお猿さん🙏こんなのと比べちゃって🙏 っで、どちらまで行かれるの？源田親子は(≧ω≦。)ﾌﾟﾌﾟﾌﾟ 真奈美ちゃん！よかったね😭 お2人とも初めから採用だったんだね。 篤久様専属＝彼女＝結婚相手かしら💕 篤志様！わかってらっしゃるぅ〜🤭でもお邪魔虫ではございませんよ😉 田中さんも広瀬さんも喜んで安心してるね🥹
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