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「ね、ちょっとオレたちと遊ぼうよ。」


そう言って指を絡めてくる男の吐く息が自身の鼻先に触れた瞬間、全身から嫌悪感がだらだらと沸き上がってきて、今にも胃から何かが込み上げてきそうになる。


『やめ…、誰か!』


男に捕まれた手を振り回し、路地裏から顔を出してそう叫ぶが真夜中ということでコンビニ近辺に居る人は片手の指で数え切れるほどの人数しか居らず、居たとしても気まずそうに視線を逸らしてそそくさと傍を離れていく人ばかりで誰も手を差し伸べてくれない。

そんな現実の冷たさに目の中に絶望の色が宿り、抵抗する力すらも奪われていく。


「そんな暴れなくても大丈夫だって、痛ェコトはなんもしないから。」



喋るな、触るな、目を合わせてくるな。


気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。


心の中でそう嵐のような罵倒を零し続け、涙が出そうになる目にグッと力を込めて睨みつける。だがそんな抵抗、男たちにとっては痛くもかゆくもないらしく、相変わらずの侮辱を含んだ耳障りな笑い声が針のように私の体を刺してくる。

イザナを苦しめた罰なのかもしれない。と考えると、絶望と恐怖が胸の内で疼いた。


ごめんなさい、お願い。

もうわがまま言わないから。




たすけて。





「じゃ、最初オレからな。」


そんな意地悪い口調で吐き捨てられた言葉とともに顔を無理やり上げられ、石を投げつけてやりたいほどの目障りな顔が私の唇へと近づいてきたその瞬間、何をされるか理解した。

─…いやだ。“それ”はイザナとしかしたくない。



『やめて!』


自分でも驚くほど刺々しい声が口から飛び出た。

気付いたら掴まれていない方の腕を大きく振りかぶって男の頬に自身の爪を食い込ます。そのまま横一直線に引っ掻くと、私の指に動きに合わせて赤い血の滲む線状の傷が男の頬に浮かび上がった。男の顔が痛みに歪む。


「っ…ってぇなクソ女が!」


先ほどの甘く取り繕われた声とは違う激しい怒りの籠った大声に、不安という感覚が呼び起こされ、肩がびくりと大きく跳ねた。

その瞬間、私の手首をつかんでいた男の力が一瞬だけ緩んだ隙を見逃さず、頬を抑え唸る男を置いて逃げ出そうとしたその瞬間。


「逃がすかよ!」


今度は髪をグイッと引っ張られ、根本が軋むように痛む。ブチブチと自身の髪が頭皮から引き離される感覚の気色悪さと引っ張られる痛みに、つい堪えていた涙が目から零れ落ちた。不安と恐怖が絶頂を通り越し、逃げようという意識が煙のように消えていく。


「お嬢さんよォ…この傷どうしてくれんの」

自身の頬に刻まれた傷を指差して口の端に意地の悪い笑みを彫り付け、そう殺意の帯びた声で吐き捨てる男の姿に、背筋に氷を当てられたような悪寒が走る。


『…はな、して』


やっとの思いで紡いだ言葉は、言葉と言うには小さく、ほとんど吐息と変わりなかった。

逃げ出したいほどの恐怖を体いっぱいに受け止めているというのに。こんなところ今すぐにでも逃げ出したいのに。こんな男と一秒たりとも一緒に居たくないのに。足や腕は思い通りに動いてくれず、小刻みに震えるだけになってしまう。


「離して?離す訳ねぇじゃん。」


「ほら、お兄さんたちのアジト行こっか。そこでいっぱいオハナシしような?」


キュっと体を固くする私の腕を引き、私は男とともに路地裏から引きずり出された。

ここで隙をついて逃げ出せるかもしれないとも思ったが、腕を引く男以外の人達が自身の両端を固めてくるせいで逃げられない。


『いや、だ!やだ、やだやだ!』



誰か助けて。離して。


イザナ。


















連れてこられた場所はどこかの倉庫だった。

車を入れるガレージのようの広さで、埃っぽい臭いが嗅覚を擽った。

だがそんな臭いに反応する間もなくわたしは男たちに押し倒され、硬く冷たいアスファルトの感触が背に伝わる。両手首を頭の上で固定され、服のボタンを外された。


「あんま暴れんなよ、脱がせにくくなる。」


そう言いながらもニヤニヤと笑って私のボタンを外す手を止めない男の姿に気持ち悪さで心が煮えくり返りそうになる。


『…や、だ。やだ!』


最後の抵抗ばかりに唯一なんの固定もされていない自身の足をジタバタと力いっぱい暴れさせ、これからされる行為のことを頭から切り離そうとする。

イザナと以外とだなんて考えるだけで吐き出しそうになるくらいいやだ。


「だから暴れんなって言ってんだろうが!」


語気を荒げた鋭い声にドンっと 頬を殴られ、口の中に血の味が広がる。目の端でチカチカと白い火花が散って、殴られた頬が焼けるように痛んだ。

もうだめだ。そんな絶望感に涙がツー…と流れ、息すらもまともに出来なくなったその瞬間、入り口辺りで何かが壊れるような鋭い衝撃音が鳴り響いた。

その場に居た全員の動きがピタリと止まり、全員の視線が一転に集まる。








「…テメェら、誰の女に手ェ出してんだ?」







聞き馴染みのあるカランというピアスの音ともに、そんな大好きな声が耳を貫けた。




続きます→♡1000

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