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「鬼塚教場、手を休めるな!とっとと掃除終わらせて飯にするぞ!!」
「おう!!」
私達は校内の清掃を行なっていた。
「悪い松田…そっちのチリトリ貸してくれ!」
「おうよ!その代わり後でちゃんと…返してく零!」
「つまらん2点!」
「すっかり仲良しになっちゃったなあ。あの2人…」
「陣平ちゃんの親友の俺としてはちと、ジェラっちまうねえ…」
『じゃああんな男やめにして私にしちゃう?』
「えっ!!いいの?!」
「「「駄目に決まってんだろ!」」」
「萩原くーん!次の休みの日、うちらの教場との合コン忘れないでねー」
「ああ、任されてー♪」
遠くから他教場の女子が萩原に声を掛ける。
「イケメンいっぱい揃えてよー♡」
「そこの金髪の外人さんとかー♡」
ああ。ゼロのことか。
「五条さんもきて欲しいな♡」
え、私?
「誰が外人さんだって?」
班長が女子に注意する。
「あ、いえ…」
「す、すみません教官…」
「失礼しましたああ!!」
「教官じゃねえっつーの!」
「それだけ貫禄があるって事じゃね?伊達班長!」
『所で萩原、私行かないからね』
「そんな事いいなさんなって。他教場の子達、セリちゃんに興味津々なんだよね」
『えー…』
「外守クリーニングです!制服受け取りに参りましたー!」
クリーニング屋のおじさんがやって来た。
「ご苦労様です!いつも汗まみれですんません…」
「いえいえ…いずれ我々市民を守って頂くんですから…お安い御用ですよ!」
またみんなでお昼を食べていると、
「やべえ。英語の予習してねえや…英語の教官、俺を目の敵にしてっから…当てられそうで怖えよ…」
後ろの方で話している学生がいる。
「だったら降谷か五条に教えてもらえよ…」
「見た目からして…」
「ペラペラなんだろ?」
「まあ、それなりには…」
『話せるよー』
「流石金髪と白髪のハーフ!」
「教官より英語出来んじゃね?」
いや、私ハーフじゃないし。
「おい!!人を見た目で決めつけてんじゃねえよ!!」
班長が男達に向かって怒鳴る。
「それに…爪楊枝なんか咥えていきがってんじゃねえ!!虫酸が走る…」
「す、すみません!!」
「まあ分かりゃいいんだ…次から気いつけろよ!」
班長が席に戻ってくる。
「なあ班長…あんたもしかして…降谷ちゃんのこと好きなんじゃねーの?掃除の時も妙に庇ってたし…」
萩原が班長に話しかける。ゼロが咳き込み、ヒロが少し赤くなる。ウブかよ。
「はあ?」
「いいんだぜ?隠さなくても…俺、そーいうの気にしねえし…」
「んなわけねえだろ!?俺、彼女居るし!!」
「「「「え?えええええ」」」」
『うるさ』
「だってセリちゃん!班長に彼女だよ?!驚かないの?!!」
『いや、別に…居そうだなとは思ってたし』
「女の勘か」
『そんなんじゃないけど。逆にみんなはいないの?恋人』
「「「「…」」」」
『いないんだ』
「逮捕術とは日本古来の武道をベースに…被疑者及び現行犯を逮捕拘束する為に練り上げられた武術である!!有効打撃は顎、肩、胴、小手!攻撃手段は、突き、蹴り、逆、投げ、締め、固め、警棒、警枝、施錠など、何でもあり!逮捕術の神髄は己は勿論…相手も無傷で制圧する事である!!」
班長が相手を倒す。
「一本!!それまで!!」
「班長、鬼強じゃねーか!!」
「俺なんて面が割れたかと思ったよ…」
「いてて…」
「ただの殴り合いなら負けねえのによお…」
「俺も女と車の扱いなら負けねえぜ…」
「あ、でも班長、彼女居るって…あ、セリ、お疲れ」
『おつー』
「セリちゃんもめっちゃ強かったね!女の子全員吹っ飛ばしてたの見たよ」
『私が一般人に負けるわけないんだよ』
「一般人?」
『いや、なんも。みんなは班長にボロ負けみたいだね』
「そうだよ!クソッ…験直しに週末どっか行かねえか?」
「工具店じゃなくて、カーショップかバイクショップならいいぜ?」
「それなら俺も付き合うよ!セリも来ない?」
『暇だし行こうかな』
「バイクショップっつったら、この前、妙なタトゥー入れた男見かけたなあ」
「タトゥー?」
「ああ…台付きの盃…ゴブレットっつーの?あんな図柄の」
「それ、どんな男だ!?どこに住んでいる!?名前は!?」
「知らねえよ!」
『ヒロ…』
「タトゥーに興味あんならバイクショップに今晩行ってみっか?常連みてーだったから店員に聞けばわかるかも…」
ドシャ
班長が相手を倒す。
「まじか!?伊達班長…」
「10人抜きかよ!?」
「次!降谷!!」
「はい!」
「こいつは見ものだねえ…」
「学科の成績は降谷が上だけど…それはどうなるか…」
「行けえゼロ!リア充野郎に負けんじゃねーぞ!!」
「やっぱそこ?」
「始めい!!」
班長とゼロの戦いが始まる。
「おい萩…どっちが勝つか賭けねえか?俺はゼロの勝ちに売店の焼きそばパン!」
「んじゃ班長にメロンパン!このままの勢いで押し切っちゃうよ!」
「いや…班長は俺との試合で膝を痛めてる…ゼロがそこを見逃すわけがねえ…」
「おま汚…」
『それなら尚更班長だな』
「なんでそう思うんだよ」
『ゼロは躊躇うよ』
ズダンッ
ゼロが班長に負けた。
「おいおいおい…」
「焼きそばパンゲットオ!!」
「ゼロ!?」
『ほらな』
「相手を無傷で制圧する…それは制圧できた時の話だ…ガッカリだよ降谷…なぜ俺の膝を打ち抜かない?どうして躊躇した?これが本物の現場ならお前は大怪我を負い来被疑者は逃走しているぞ!!凶悪犯に情けなんて通用しねえ…こっちが弱さを見せたら最後、とことんそこに付け込まれて…待っているのは親父のような最悪な結末だけ…誰よりも強くなければ…正義は遂行できねえんだよ!!俺は何か…間違った事を言っているか?」
「「「「…」」」」
『強きを挫き、弱きを守る、ね』
もう1人の同期の顔を思い浮かべた。
「五条!伊達とやってみろ」
「えっ、いや、教官!さすがにそれは」
伊達が狼狽えている。
『りょーかいです』
女だからって舐められたもんだ。
「よーい、始めっ!」
「どっちが勝つと思う?」
「「「「流石に班長」」」」
ドンッ
私が班長を倒した。
「「「「え」」」」
「そこまで!」
「『ありがとうございました』」
「すげえなセリ!」
「班長を倒しちゃうなんて」
『私が負けるわけないんだって』
「次は勝つ」
『ふっ、臨むところだ』
私達はバイクショップに来ていた。
「はあ?なんで教えられねえんだよ!?そのゴブレットのタトゥー野郎はこの店の常連なんだろ?」
「だから、なんでその人を捜しているんすか?」
さっきから松田と店員の押し問答だ。
「おい諸伏言ってやれ!その男を捜してるわけってやつを!!」
『…』
「そ…それは…それは」
ヒロは昔を思い出したのだろう。震えている。
『ヒロ』
「セリ…」
『だいじょーぶ。大丈夫だよ』
私はヒロの手を優しく包む。
「諸伏…」
「うちとしてもねえ。理由もなしにお客さんの個人情報を教えるわけには…」
「だーかーら、その訳ってやつを忘れちまったっつってんだよ!!教えねえとパクるぞてめえ!!」
「はあ!?」
『それは草』
「あー!思い出した…」
急に萩原声を出す。
「え?お前が?」
「ほら…道場で班長が言ってただろ?親父がどうのこうのって…俺、子供の頃ら見た事あるなあと思ってたんだよ…班長によく似た眉毛のおっさんがコンビニでヤクザ風の男にボコられてるの…あれ、やっぱ班長の親父さんだったんじゃ…」
「その話…もっと詳しく聞かせろ!!」
「確かに…そんな事があったんなら伊達班長が親父さんのことを腰抜けだと思っちまうのも無理ねえな…」
「ああ…現職の警察官が犯罪者に土下座だからねえ…」
「まあ班長の気持ちも分からなくねえよ…俺も親父が殺人容疑で誤認逮捕された時…人殺しの息子だと言われまくって親父のこと嫌いになりかけてたから…俺の場合はジムの人達に[親父を信じて待て]って言われて…気持ちを折らずにいけたんだがな…」
「へえ…」
『ねえヒロ。あれ』
松田がまだ何か話していたが私は気になる事がありヒロを呼び止めた。
「ああ、あれは…」
『「た…た…す…け…て…」』
「今かよ!?」
『違う違う』
「ほら!」
『奥のコンビニの看板の明かりが、モールス信号みたいに点滅してんの』
「おいおいありゃー…」
「みたいに…じゃねえな…」
私達は一旦寮に戻り準備をする。
『え、私もこれ着んの?』
「あったりまえよー。ちょっとでかいけど我慢してねー」
『はーい』
「てかなんでこんなもん持ってんだよ」
『それな』
チャラチャラしたワイシャツを着る。
「行きますか!」
『「「「チョリース♪」」」』
「おいまじか!?あれってライフルじゃね?」
「チキってんじゃねえよ!!映画とかの撮影用のパチモンだっつーの!!」
「ねえねえなんの映画?俺らも出させてよー!!」
萩原、松田、ヒロが勢いで攻めていく。
「俺、刑事役的なテキーラ!」
『映画なんてかっこいい!!』
私のかっこいいが合図のようで。
「うそーほんとに映画の撮影!?」
「まじテンアゲなんだけどー♪」
萩原の人脈によって呼ばれた警察学校の生徒がどんどん入ってくる。
「おいみんな!エキストラで出させてくれるってよ!!」
どんどん人が入ってくる。
『おまたー』
「待たせたなゼロ!!」
スタッフルームの扉を開ける。
「セリ!ヒロ!」
「な、何で?」
「看板のモールス信号を受けて犯人達を制圧しに来たんだよ!力じゃなくて…数でね」
そこには逮捕術で拘束されている犯人達。
「成程、警察学校の学生に客を装わせてここに集結させたのか…」
「こりゃまた明日鬼塚教官に大目玉だな…」
「まあ、班長の親父さんがやろうとした事をやったまで…そうだよな萩!」
「ああ!」
「い、いたのか?あの現場に!?」
「班長は血まみれの親父さんに気を取られて気づかなかったかもしれねえけど…あの後、男の仲間が数人店内に入ってきて…親父さんは気付いていたんだよ…近くの車にその男の仲間が大勢潜んでいるって…だから、男を捕まえたとしても…仲間に加勢に入られたら勝ち目がないし…店内で乱闘になり、万が一立て籠もられたりしたら…店内に他の客達に危害が及ぶ…あの時、子供の俺や…妊婦さんや老人や…女子学生とかたくさんいたからねえ…警察の到着がかなり早かったから…多分、親父さんが通報し…警察の仲間が駆けつけるまでその男を奥まで入れず店先で足止めしたかったんだよ!だからあの土下座は、命乞いなんかじゃなく…ここだよ班長!」
萩原が班長の胸にグータッチする。
「誰も傷付けてたまるかっていう…警察官のハートが…そうさせたんじゃねーの?」
無事犯人達は警察に連れてかれて行った。
「さて、俺らも帰るか」
「あれ?芹那?」
『あ』
そこにはサングラスをした悟がいた。
「何してんの?警察学校は?てか何その格好」
『色々あったの。そういう悟は?』
「任務帰りにコンビニ寄った」
『そう。さっきまでここ強盗入ってたよ』
「まじ?うけんね」
「セリ、こいつ誰だ?」
松田が悟を睨みつける。
「まさか、彼氏とか?」
ヒロが聞く。
「結構なイケメンだし」
萩原が言う。
『悟が彼氏とか無理。ミジンコと付き合った方がマシ』
「芹那ひどーい」
「で、セリちゃん。この人誰?」
『双子の兄』
「「「「「双子の兄?!」」」」」
「どーもー。芹那がいつも世話になってるね」
「は、初めて見た」
「お前ら幼馴染だろ?」
「そ、そうなんだけど」
「もしかしてこの中に幼馴染君いるの?どれ?」
『教えねーよ。ほら、早く帰れ』
「えー」
『どうせ補助監督待たせてんだろ?』
「伊地知だからいいよ」
『え!伊地知なの?久しぶりに会いたい!』
「伊地知?」
「五条さんまだですか?」
『伊地知!』
「芹那さん?!」
『久しぶり』
「お久しぶりです」
『補助監督頑張ってる?』
「はい」
『また飲み行こうね』
「是非!」
「じゃあね芹那」
『はいよ。伊地知頑張ってね』
「ありがとうございます!」
「あ、そうそう」
『何悟』
「一般人の友達が出来てよかったね」
『…ああ』
「じゃあね」
悟と伊地知は去って行った。
「一般人?」
『気にしなくていいよ』
「あのイケメンが兄なのは分かったけど、伊地知っていう人は?」
『高専の後輩』
「へえ」
「お兄さん、めっちゃイケメンだった」
「流石セリの兄って感じだな。何で今まで会わせてくれなかったんだ?」
『悟、結構なクズなんだよ。だから2人に会わせたくなかったの』
「クズって…」
『さ、帰ろ』
こうして私達は寮に帰った。