テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
❄️
❄️
200
『醤油ひとつ買うだけなのに』
🦈「……あ」
夕方。
キッチンで料理をしていたこさめの動きが止まった。
🍵「どうしたの?」
ソファでスマホを見ていたすちが顔を上げる。
🦈「醤油ない」
🍵「なくなった?」
🦈「一滴もない」
こさめは逆さにしてみせる。
本当に出ない。
🍵「なるほど」
🦈「なるほどじゃないよ」
🍵「‥このダークマーターに醤油足しても変わらない気が‥」
🦈「なにか言った?」
🍵「いえ何も」
醤油がないとかなり困る。
困るんだよ。
🦈「買ってくる」
こさめは財布を掴む。
たかが醤油だ。
スーパーまで五分もかからない。
🍵「じゃあ俺も行く」
🦈「え?」
すちは当然みたいに立ち上がった。
🦈「なんで?」
🍵「一緒に行こうかなって」
🦈「醤油だよ?」
🍵「うん」
🦈「醤油買うだけだよ?」
🍵「知ってる」
🦈「近所だよ?」
🍵「うん」
🦈「……」
こさめはじっと見つめる。
すちはにこにこしている。
🦈「暇なの?」
🍵「こさめちゃんと出かけたい」
醤油「醤油だよ?」
🍵「醤油だね」
会話にならなかった。
結局。
二人で向かう。
🦈「ねぇ」
🍵「なに?」
🦈「ほんとについてくる必要あった?」
🍵「あるよ」
🦈「どこに」
🍵「俺の心に」
🦈「帰る?」
🍵「ごめん」
即謝罪だった
歩いていると、
こさめがふと立ち止まる。
🍵「ん?」
🦈「猫」
塀の上に猫がいた。
🍵「ほんとだ」
🦈「かわいい」
🍵「かわいいね」
二人で眺める。
猫は迷惑そうな顔をしていた。
🍵「……」
🦈「……」
🍵「行こうか」
🦈「うん」
醤油を買いに出たはずなのに、
猫鑑賞タイムが発生していた。
到着。
こさめは真っ直ぐ調味料コーナーへ向かう。
醤油を手に取る。
ミッション完了。
のはずだった。
🍵「こさめちゃん」
🦈「なに」
🍵「これ美味しそう」
すちはお菓子を持っていた。
🦈「買えば」
🍵「半分こする?」
🦈「する」
即答だった。
そして会計。
醤油一本。
お菓子二袋。
アイス二個。
ジュース二本。
🍵「……」
🦈「……」
🍵「増えたね」
🦈「増えたね」
醤油だけの予定だった。
帰り道。
🦈「すち」
🍵「なに?」
🦈「醤油買いに来ただけだったよね」
🍵「そうだね」
🦈「なんでアイス食べてるの」
🍵「美味しいから」
🦈「そうだけど」
🍵「こさめちゃんも食べてる」
🦈「……」
反論できなかった。
家に着く。
🦈「ただいまー」
🍵「ただいま」
こさめはキッチンへ向かう。
そして。
冷蔵庫を開ける。
🦈「あ」
🍵「どうしたの?」
🦈「醤油ある」
🍵「え?」
🦈「開封済みのやつあった」
沈黙。
🍵「……」
🦈「……」
🍵「買わなくてよかった?」
🦈「買わなくてよかったね」
🍵「……」
数秒後。
こさめが頭を抱えた。
🦈「何しに行ったのこさめたち」
🍵「醤油」
🦈「違うみたいだね」
結局その日。
新しい醤油はストックになり、
二人は買ってきたお菓子を食べながら笑った。
醤油を買いに行っただけなのに、
なぜかすごく楽しい寄り道だった。
リクエストください!まじで
コメント
1件
読み終わりました〜!第21話、めちゃくちゃ可愛かったです…!「醤油買うだけ」のはずが、いつの間にかお菓子やアイスを買ってて、最後には家に醤油があったっていうオチ、あるあるすぎて笑いました(笑)。でも、そういう無駄な寄り道が一緒にできるのって、すごく幸せなことだなあって思います。すちくんの「こさめちゃんと出かけたい」ってストレートに言っちゃう感じ、好きです。何気ない日常に愛情が詰まった、ほっこりするお話でした!🌷