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朝。
今日はロノが起こしてくれた。
「主様!おはようございます!」
結構大きい声量で少しびっくりしてしまったが、声の主がロノと気づいて安心した。
以前もこうして大きい声で起こされていたが、その時はただうるさいとしか感じなかった。
でも、ロノは…何故か安心する。
例えるなら…兄のような存在。そう思えた。
朝食を食べた後、ムーと一緒に初めて屋敷の庭に出た。
『なぁなぁムー!ほら、バラだぞ!オレ本でしか見たことないんだ…へへっ、やっぱ本の通りだ。甘い匂いがする』
ムーにも嗅がせる。
「わぁ!いい匂いです〜」
2人で楽しくバラを見ていると、背後から何かの気配がした。
『誰ですか…』
白と赤の髪をした男性が立っていた。
「ちょ、ちょちょちょ…オレは怪しい人じゃないっすよ。主様と…ムーっすよね?」
…どうやら悪魔執事のようだった。
『まぎらわしいわね!バカ!』
「え!?な、なんか…すみませんっす」
別に怒らせたつもりはないのだが…あ、まさか人格のせいか?
『べ、べつに…おこったわけじゃないわよ…その、ごめんなさい…』
「いや、大丈夫っすよ。オレも前から近づけばよかったっすね」
色々話を聞くと、この執事はアモンと言うらしい。
主に庭の管理を担当してるとか。
「へー!こんな綺麗なバラをたくさん咲かせてるなんてすごいです!」
ムーの言う通り確かにすごい。
花は育てたことないけれど、それでも気合と根性がいることは分かる。
『アモンさんはすごいですね。尊敬致します』
たくさん褒めると、アモンは微笑みながら他の育てている花を見せてくれた。
アモンの耳が少し赤く見えたのは…気のせい、だと思う。
屋敷に入り少し昼寝をしていると、コンコンとノックをする音が聞こえた。
『んぁ…なんだ?』
ドアを開けるとアモン含む4人の執事が立っていた。
「こんにちは主様。もしかして…先程まで寝ていましたか?」
『んん…そうだぞ?それがどうしたんだ?』
そう言うと、青髪の執事が急に謝ってきた。
『何故謝るのですか…!?わたくしただお昼寝していただけですよ?』
「主様のお昼寝を邪魔してしまい申し訳ありません!」
数分後…
青髪の執事を落ち着かせて改めて自己紹介をしてくれた。
「俺はハウレス・クリフォードと言います」
先程の青髪の執事はハウレスという名前らしい。
「俺は、フェネス・オズワルドです」
モノクルをかけている執事はフェネス。
「俺はボスキだ」
仮面をつけた執事はボスキ。
「そしてオレがアモンっすよ」
…アモンは、さっき会った。
『よ、よろしく…』
「お、照れてんのか主様」
『うっさいわね!バカ!』
先程のアモンのように人格が変わっても驚いた反応は見せない。
多分…アモンが教えたのだろう。
「主様…その、本はお好きですか?」
『うん!好き好きだーいすきだ!本があるのか?オレは事件とか感動する小説が特に好きだぞ!』
目の前のフェネスはふふっと安心したように微笑み、手に持っていた3冊くらいの本を出してくれた。
「これ、俺が好きな本です…その、読んで感想聞かせてくださいね」
フェネスがくれた本はこの世に一つしかない特別な宝物に見えた。
『ありがとうございますフェネスさん。その…大切に読ませていただきますね』
フェネスがくれた本は全部知らない本だった。
知らない本はわくわくする。
どんな感情を与えてくれるか…どんな新しい情報をくれるか…考えるだけで心が踊る。
その日の夜は、1冊だけ読めた。
次の日。
執事と一緒に街へ出かけた。
特徴的な耳を隠せるように帽子をかぶっている。
そしてその帽子を作ってくれたのが
「主様、足元気をつけてくださいね」
とてもかわい…とてもかっこいいフルーレという執事だ。
衣装を作れるらしく今日のワンピースもフルーレが作ってくれた。
「今日は主様の好きな物を買おうか 」
そう言ってくれるのはミヤジという執事。
すごく身長が高くて最初会った時はベリアンの後ろに隠れたが優しい性格だと知ると安心して近づけた。
『いや、でも…いいのか?迷惑じゃねぇのか?』
「くふふ、迷惑ではありませんよ。むしろ主様のことを知れるチャンスなのですから」
そう言うのはラトという執事。
この人も最初会った時ちょっと怖くてベリアンの後ろに隠れたけど多分優しいことを知って近づいた。
『みんな…優しいな。ありがとう』
施設にいた頃は好きな物を自由に買ってもらえるなんてことなかったから何だか新鮮に感じる。
色んな店に行って色々な物を買った。
その夜。
今日は三日月だった。
そして今日は…ベリアンと一緒に寝る。
『ベリアンさんの髪はふわふわですね…』
「主様の髪もふわふわですよ」
寝る前に何故か髪を触りっこしていた。
でもベリアンさんに触っていると1人で寝る時より安心する。
『…おやすみ、ベリアン』
「ええ、おやすみなさいませ」
安心して眠れる…はずだった。
いつの間にか施設にいた。
『あれ…ベリアンは?』
周りには子供達がいっぱい。
「何言ってるの?大丈夫?Kちゃん」
隣には友達のI がいた。
『うん、大丈夫だよ』
するとノック音も聞こえずドアがガチャと開いた。
「K.1、早く来い」
…また、これか。
いやだ。やりたくない。
いたいもん。こわい。きらい。
それでも、足は男の方へと歩いていった。
だって、こわいから。
もっといたいことをされるかもしれないから。
『ぐわぁぁぁっ!!!ふーっ…あ”あ”あ”あ”あ”っっっっ!!!!』
「うるさい!黙れ!」
刃物で肌を薄く切られる。
『い”たい!いたいいたい!いや”ぁぁぁぁぁ!!!!!』
強い電気をずーっと流し続けられ、うるさかったら肌を切られる。
刺されることもある。
私は元々1つの人格しかもってなかった。
けれど…精神や積み重なる非人道的な実験や…大切な仲間の死などを経験したからこうなった。
ライオンの人格は…小さかったけど勇敢だったR7…元の名前はリオ。
ヤギの人格は…元々ある国のお嬢様でとても可愛くて美しかったS5…元の名前はシルク。
ヘビの人格は…なかなか心を開いてくれなかったけど本を読んであげたらいつの間にか仲良くなったリリス。
この3人は体の一部剥ぎ取られ、私の体に植え付けた。
あいつらのせいで自分から命を絶った子もいた。
私が守らなかったから…私のせいなんだ…。
私が弱いから…。
気がつくと、朝になっていた。
隣ではベリアンが心配そうな表情で見つめていた。
「大丈夫ですか?主様。昨夜は酷くうなされていましたよ」
何故か安心して、ベリアンの胸に飛びついた。
「あ、主様!?…そんなに、酷い夢だったのですね…」
…うん、ひどかった。気持ち悪いほどひどかったよ。ベリアン。
ベリアンの姿を見た瞬間、安心できた。
私には…ここしか居場所がないみたい。
『だいすき…だいすき…べりあん…』
怖い夢を見た後は、実験される前の人格が現れるみたい。