テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
・ご本人に関係ありません。
・Y東MVのエビパン争奪戦の二次創作(?)
です。
設定は使わせてもらいつつ都合のいい捏造設定を入れまくりなので原典に拘らずに読んでいただきたいです。
snjnタグ付けてますが後半に思い出したように出てくる感じなのでラブラブは期待せずにお願いします。
全編jntさん視線です。
────────
校則
一、いかなる能力の私的利用も禁ず
一、常に感情を律し、力を制御せよ
一、その力、社会のために使うべし
◇争奪戦・朝
購買部で新作パンが発売されるという噂は少し前からあった。
エビフライを挟んだ調理パン。
千切りキャベツの上に大きなエビフライが2本、タルタルソースたっぷり。
「うちの学園ぽくていいじゃん」
「美味しそう〜!!」
「絶対食べたい!!」
今朝、登校したら校内中に張り出されたエビフライパン新発売のポスターで学園中が沸いていた。
朝の生徒会室で柔太朗、舜太、太智が剥がしてきたポスターを見ながら盛り上がっている。
生徒会メンバー五人同じ仕様の白いブレザーの制服。
勇斗、俺、太智、柔太朗、舜太は学園なの生徒会のメンバーで、その生徒会はおそらく今一番学園のトップに近い組織である。
「…先着10名って絶対煽ってるよね」
勇斗が会長席にどっかり座って片手に持ったポスターを眺めながら呟いた。
「…1個に付きって事で加点があると思う」
少し離れた副会長席で、俺が予想される展開を述べると全員がこちらを見た。
「やっぱり仁ちゃんもそう思う?」
「ただの新作パンじゃないよね」
「どっちにしろ早いもん勝ちってことやん」
薄々は気づいていたであろう三人が面白そうにテンションを上げる。
「正式な通知があるまでまだ分からないけどな」
一応まだ決定では無いからと三人を落ち着かせる。
「いや、あるだろ。そろそろ」
勇斗がそう言ったその時、全校放送を知らせる独特の音楽が流れた。
いつ聞いてもご機嫌なジングルみたいだなと思ってしまう。
🎶
『──全校の皆さんにお知らせです。
今日のお昼から待望のエビフライパンが購買部にて発売されます!
調理の都合上販売は10個とさせていただきます。
…さて』
キタキター!と太智と舜太はワクワクしている。柔太朗と俺は静かにその先を待ち、勇斗はもうすべて分かってるから早く言えとばかりにスピーカーを睨んでいる。
『エビフライパンは限定10個早い者勝ちです。
生徒の皆様は自身の能力を駆使してエビフライパン、略称エビパンを手に入れて下さい。
…なお、昼休み時間に限りunleashed potential (アンリーシュト ポテンシャル)の開放を許可します』
「…待って、本能力使用可なの?」
「そんなん使わんでも俺たちの圧勝やんか」
柔太朗と舜太が呟く。
『そして、今回に限り購入後の横取りも許可します。
最終的にエビパンを手にしている者にポイントが付与されます』
『ポイントは1個につき10Pです。
4限目終了のチャイムが終わってからが購入スタートになります。
…では皆さん、ケガのないように頑張ってくださいね』
初めと同じ音楽が鳴って放送は終わった。
予想はついてたとは言え正式にイベント開始を宣言されると少し気合いが入る。
…横取り可?
生徒会が有利なのは間違いないけど、正に争奪戦じゃん。無事に終わるかな。
四人は盛り上がっているけど俺だけはどうしても心配性な気質が出てしまう。
黙っている俺に気付いた勇斗がいい事思いついたと面白そうに笑った。
「…よし、じゃあ他の奴らにもチャンスあげよっかな」
勇斗がキャスター付きの椅子に座ったまま滑るように俺の方へやって来て俺の肩にぶつかって止まる。
おい!と苦情を言うとまぁまぁと笑いながら俺が開いているノートPCに手を伸ばして校内グループウェアを立ち上げ全生徒指定で動画配信をスタートした。
『あー、あー、皆さん聞こえますか〜?
聞こえてたら反応くださーい!
…ん〜、接続が過半数超えたからもういいかな?見てない人は後で誰かに聞いてね!
え〜、生徒会長の勇斗でーす。
そーゆーわけでぇ、エビパン争奪戦の準備として4限目は生徒会権限で休講にしてもらう事にしまーす。パチパチパチ〜!!
個人戦みたいですけど、各組織とも各教室や部室で作戦会議などしてエビパンGET頑張ってくださいねぇ!
ま、俺たちが勝つけど』
勇斗による生徒会からのお知らせが終わったとたん、ピコン、と音がして勇斗の配信を見た生徒からの反応が次々と入ってくる。
『ふざけんなよ』
『生徒会長が偉そうなのどうにかして』
『仁人が注意しろや』
『勇斗首洗って待ってろ』
『仁ちゃん先輩俺の分もお願いします』
『4限休講ありがと』
『こんなん生徒会有利イベントだろ』
学園では常に点取り合戦をしているけれど生徒は皆仲がいい。だから生徒会への苦情も遠慮がない。
映り込んでいた俺への言い分もそこそこあったのは納得がいかない。
「勇斗、あんま煽るなよ。みんなちょっとキレてるぞ」
「え〜、せっかく4時限目休講にしてあげたのに〜!
…いやだって生徒会室が購買部から一番遠いのに、ねぇ?」
今、この学園で一番ポイントを貯めているのが勇斗だった。
勇斗はその成績と能力を評価されて生徒会長になった。
時々今回のような特権も使いながら、先輩に揶揄われ後輩に慕われ、ふざけながらも真面目に学園の為に行動している。
どんな行事でも今回のような突発のイベントでも確実に勝利してポイントを手に入れている姿は本当に少年マンガの主人公みたいだった。
勇斗が個人ポイントに拘ってる理由とそれをら貯めて最終的に何をしたいのか、勇斗は笑って『もっかい生徒会長になりたいの!』って言うけど、最近の執着には何かまだ裏があるんじゃないかと思ってる。
「とりあえず俺らは4限になったらここに集合。…エビパン購入後トラブルさえ無ければ各々10ポイントが手に入る」
生徒会有利と言われてるなら抗議上等でそれを遂行しようじゃないか。
俺の指示にメンバーはそれぞれ頷いて、始業の前に各々の教室へ戻った。
◇4限目〜昼休み開始
朝、俺が言った通り太智、柔太朗、舜太は生徒会に集まってくれた。
「…勇斗が来ないな」
声に苛立ちが入ってしまう。
勇斗は基本的にクソ真面目なのに何か思いついた時はアクセルベタ踏みで突き進むから、それを止めるのが俺の役目みたいになってるところがある。
『動』の生徒会長と『静』の副会長、いいコンビだと言われてるのはそのせいだ。
でも始まる前からいない時はどうしようもないじゃないか。
「ま、勇ちゃんなら一人でも負けることはないんやない?」
「個人戦だから?でも何か言ってほしかったよね」
舜太と柔太朗が勇斗の行動に諦めと少しの非難を零した。
太智は少し考えて俺を見た。
「…こっちに迷惑かけんならええんとちゃう?俺らは俺らでちゃんとしよ」
「…ま、そうだな」
太智は、いざとなったら最も正しい事を言ってくれると思う。
勇斗が何かをする時に巻き込まれないようにするのが一番の身の守り方だと知ってる。
勇斗が何かしたら俺は止めるけど、止められなかったら太智がどうにかしてくれるって安心感が心の底にある。
もうすぐ4限目終了のチャイムが鳴る。
そのチャイムが鳴り終わった瞬間がスタートだ。
「じゃ、チャイム終わりで舜太お願いしていい?」
「まっかせてや!もう勝ち確やで!!」
舜太は、
【自分を含め大人数連れての瞬間移動ができる】
『移動(ワープ)』に関わる能力を持つ生徒会の俺たちが今回有利と言われてるのはこれが理由だ。
「パンを購入したら、横取りを避ける為に…屋上にでも行っとこうかな」
「OK!戻るのは屋上やね」
「…昼休み終了まで隠れとくってこと?」
「柔ちゃん意外とトラブルとか好きやもんね、でも今回は大人しくしとこ」
柔太朗が太智に諭されていると言う珍しい光景が見られる。
何しろポイントがかかっているのだ。
他生徒にズルすぎと言われようが安全に行動して安全に終わらせたい。
──キーンコーンカーンコーン
4限終了のチャイムの最後の音が聞こえた時には俺たち四人、購買部のパン販売の窓口前にいた。
舜太に目線で『えらいぞ』と褒めると舜太は得意げにウインクしながら親指を立てた。
遠くで大騒ぎの音や声が聞こえる。
始まった。
全校生徒が皆ここへ目掛けて来ている。
…生徒会が有利なのは確かなので今さら申し訳ないとか思わないです。
でもごめんね。
「すみませーん、エビフライパンください」
窓口に頭を低くしながら声をかける。
「はーい、やっぱり生徒会が早いねぇ。何個いるの…、あら?」
顔なじみのおばちゃんが俺たちを見てパンを渡してくれようとして、動きが止まった。
窓口に並べられたパンは4つ。
1個500円、先着10個なはず。
「…俺たちより先に買った生徒がいましたか?」
「いえいえ!貴方たちが一番なんだけど、おかしいわね…」
戸惑うおばちゃんと4つのパン、その脇に律儀に3千円の紙幣が置かれてるのに気付く。
「勇斗やな」
太智が呟く。
「まぁそうだろうな。…すみません、じゃあ残りの4つを俺たちが買います」
お金を払い1個ずつエビパンをもらう。
もう少しこの状況を確認したいがここに長くいるのは良くないので。
「舜太」
俺が名前を呼ぶと直ぐに瞬間移動で揃って屋上へと移動した。
◇屋上
「良い天気で良かったねぇ」
四人で到着した屋上は、秋晴れのもと吹き抜ける風も気持ちよくてここでお昼食べるとなったら最高のロケーションだね、と思う。
「なぁこれってやっぱ食べたらあかんのかな?」
舜太が手にしたエビパンを眺めながらお腹すきました顔で聞いてきた。
「最終的に手にしている者、だからな。食うなよ?」
「そっかぁ、じゃあ他のご飯も買ってくれば良かったよね」
「ほんまや、腹減ったぁぁぁ」
それぞれエビパンを持ったまま昼食抜きになっている事を嘆く。
階下で爆走の音や激しい衝突音が聞こえる。
購買部までの早い者競走が今現在行われているはず。
「…でもこれから購買部行ってもエビパンはないんだよね」
柔太朗が今後の展開を心配してそう言った。
「そやな、多分皆は俺たち生徒会が一番に行って買うのは予想しとる。それでもあと5個は残っとると思って行動するやろな。
…その5個を取り合いしてくれればこちらへの攻撃は少なくなるはずやってん」
舜太が俺の考えていた予想とほぼ同じ展開を口にした。さすが聡い末っ子で頼もしい。
「うん、だから僕らはエビパン買って昼休み終わりまで隠れとけば逃げ切れるはずやった。他の生徒には悪いけど残り5個で取り合ってや〜って」
うんまぁそういう事。
太智が代わりに言ってくれた。
柔太朗とか舜太とか本当はこのイベントの大騒ぎにわちゃわちゃと参加したかったのかもしれない。
でもそうさせなかった。
俺は安全を選んだはずだった。
「…エビパンがないとなったら、皆はそれを探してそれを確実に持っている生徒会を探す、そして奪いに来る」
こうなってしまったことを不安がるのは無駄だと思う。
「だから、気を抜かずに手に持ってるエビパンを死守すること」
「ラジャ〜!!」
俺がそう言うと、三人が元気に返事してくれた。
まぁ、なんとか頑張ろう。
あんまりこういう青春バトルとか苦手なんだけどな。
てゆっか、こうなったのもそもそも…。
「…勇斗は何がしたいんだろ?」
「せめてこっちに説明してから行動してほしいわ」
「…6個分のポイント総取り?そんなんアリなん?4個残してあったのは俺たちの分ってことやよね?」
「勇ちゃんて校則ギリギリのグレーな事やるよね」
──ガッシャーン!!
四人で緊急生徒会会議@屋上を行っていると遠くから大きくガラスの割れる音が聞こえた。
そこまでの騒動になる?
イベント関係なく生徒会が出て様子を見に行かなければいけない案件ではある。
「仁ちゃん、俺見てこよっか?」
舜太がそう言ってくれたがそれを止める。
様子を見るだけならわざわざ行かなくてもいい。
「…じゃあ僕が行きますわー」
太智が身体を伸ばしてウォーミングアップを始める。
「うん、太智頼む」
「ええよ、僕の写真持ってるよね」
「うん、何かあったら俺んとこ戻ってきて」
「…何かあったら、悪いけど一人で逃げるかも〜」
冗談を言いながら太智が俺を見る。
なんだかんだ信頼はされてると思う。
「あ、そうや。これは持って行けんから」
太智が俺たちをぐるりと見渡してから柔太朗に自分のエビパンを預けた。
「柔ちゃんが一番安定してそうやから頼むわ」
俺が生徒手帳から笑顔の太智の写真を取り出すと、じゃ行ってくるわ、と俺が手にした写真の中に消えていく。
【写真の中を渡り歩く能力】
写真を介して移動もできるし、その中から外を見ることもできる。
現在、生徒会の広報・宣材として学園中に太智の写真付きポスターが貼られている。
それは太智の要望もあって俺と勇斗が許可した。今の生徒会が決起してすぐの時だった。
それ以外にも太智は裏庭や非常階段などひと気のない場所にも自分でプリクラを貼って回っていたがそれは上役として見て見ぬふりをしてた。
学園を監視することが出来る。
それは便利な様でとても危うい。
太智が悪用することはないと分かっているけれど、本人も俺や勇斗の許可がないとその能力を使うことはなかった。
『…仁人、仁人!』
しばらくして、手にした写真の中の太智が俺を呼んだ。
「太智、校内はどんな感じ?」
『なんかヤバい?っちゅーか、エビパンが流出しとる』
「は?」
『なんか…、状況から察するに勇ちゃんが落とした?こぼした?みたいやねん』
「あのバカ!何がしたいんだ?」
『ほんまに。それでそのパンを巡って争奪が起きとる。大怪我って程じゃないけど怪我人もおるし。…一部の生徒は能力開放して変身しとるし』
unleashed potential アンリーシュト ポテンシャルは通常の能力の先にある潜在能力のこと。
モードチェンジ(変身)してそれを解放させればパフォーマンスは凄まじく上がる。
「…仁ちゃん」
柔太朗と舜太が俺の指示を待つ。
生徒会がもうここで隠れてる訳には行かない。
「…太智」
『ん、どこが騒ぎになってるか教えよか?』
手元の写真の中の太智を呼ぶ。
「うん、それもだけど。…勇斗がどこにいるか分かる?」
『ごめん、勇ちゃんはどこにも見当たらんかったわぁ』
「………、分かった、じゃあ多人数で衝突が起こってる場所を教えてくれる?」
『おっけ、んー、大勢おるのは…、体育館と玄関エントランス、あと中庭、やね』
「ありがと、引き続き様子みてて。あと勇斗見つけたら教えてね」
『はいはーい!』
太智からの情報を聞いて、どこまで生徒会として出ていくかを考える。
なんかこのイベントが無事に終わる気がしない。衝突が起こっている時点で校則に違反していると言われればペナルティー間違いなしだし。
…怒られるなら全員で怒られればいいか。
一番痛い目にあって欲しい奴はどっかに姿を隠しているけど。
「…柔太朗」
「なに?仁ちゃん」
何でも言って、と柔太朗が微笑む。
あんまり無理はさせたくないけどここはお前に頼むわ。
「…モードチェンジしてもらっていい?
体育館、エントランス、中庭を繋げてほしい」
「…おっけぇ」
【空間を繋ぐ能力】
複数の場所を繋いで纏める。
それなりに広い場所をそこにいる人も一緒に連れてくるとなると能力解放しないと難しいだろう。
柔太朗が手にしていたエビパンを預かると、軽くモーションを行った後、柔太朗が黒ベースのスタイルに変わる。
「柔ちゃんかっこいいわ〜」
舜太がにこにこしながら柔太朗を褒める。
「…エントランス基点でいい?そのまま俺も行っちゃうけど」
「いいよ、多分大丈夫だろうけど巻き込まれないように気をつけて」
柔太朗にそう指示すると、了解、と柔太朗がピースサインを出す。
「仁ちゃんは俺と行く?」
「いや」
そう言ってくれた舜太を断って、舜太への指示を出す。
「まだ、廊下とか部室棟とかに残ってる生徒がいると思う。舜太はその子たちを柔太朗の作った空間に連れてきてほしい」
「…全員を集めるわけやな?」
「舜太はモードチェンジしなくても大丈夫だろ?」
「うん!通常能力でも朝飯前やで!」
「太智と連絡取りながら頼む、俺は」
連続になるであろう瞬間移動に備えて舜太のエビパンも俺が預かる。
「勇斗を探しながら一人で行く。
…そうだな、五分後にまた会おう」
コメント
1件
わあ、エビパン争奪戦、めちゃくちゃ面白かったです!生徒会メンバーの個性が立ってて、特に仁人の「止めるのが俺の役目」みたいな立ち位置にグッときました。勇斗の行動が読めなさすぎて「またあいつ…!」って思わずツッコみたくなりましたね。能力設定もそれぞれ生きてて、空間繋いだり写真移動したり、ロマンスファンタジーとはまた違うワクワク感がありました。校則で始まる書き出しも好みです。続きが気になる〜!
る ぇ の
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