いつのまにか起きてしまっていた。チェシャ猫は、僕のベットとなってくれて、息を立てて寝ている。トイレに行きたい。ふと、思った。しかし、どこでやればいいのか。そんなことでチェシャ猫を起こすのは、申し訳ない。ちょっと、離れたところでしよう…。最悪の考えだが仕方ないだろう。そういって、少し向こうの草むらでする。気分は良くないが。帰ろ、チェシャ猫のところに。
「………」
ない、居ない。どこにも、目立つはずなのに、居ない。見えない。急に不安が押し寄せてくる。どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、後ろから足音がs
「やっと見つけた。ありす」
!?チェシャ猫の声じゃない。誰?なぜ、僕の名前を知っている。!何かを被されたのか、前が見えない。叫ぼうにも恐怖で声が出ない。足がすくんで逃げれない。どうしよ、どうしよ、一瞬視界が明るくなったがまた暗くなる。
「気持ち悪くなる。」
耳元で囁かれる。すると、急に吐き気がして…っ!
「う”…お”え”え”ぇ”…う”あ”っ…お”っ」
気持ち悪い。さっき、良くなったはずなのに、なんでっ
「気持ち良くなる」
また、耳元で囁かれるとともに、腹部に激痛が走った。
「!?う”あ”っ」
痛い。痛みを感じるのに気持ちいと感じてしまう。こんな趣味無かったのに。
なんでっ?そんなふうに考える暇もなく、殴られ、蹴られ、なのに快感を感じてしまう。
「立てなくなる」
また、耳元で囁かれる。立てない、フラフラする。吐き気もする、のに気持ちいっ、違うのに、違うのにそんなこと思ってないはずなのに。なんで。なんで。なんで。
「こんな状態のありすを見たら、チェシャ猫はどう思うかなぁ??嘔吐物まみれで、立てなくてフラフラなのに気持ち良さそうな顔のありすを見てさぁ?どう思う?」
「つ…、ぐあっ…う”え”え”ぇ”っ…っあ♡う”っ、ごほっ、ごほっ…はぁっ」
考えれない。何も考えれない。チェシャ猫っ…助けて…っ…
「失望するんじゃない?チェシャ猫は。君のその顔をみてさぁ?ねぇ!」
「う”ぐっ……っあ”あ”ぁ”っ」
痛い。みぞおちが痛い。失望はするだろうな。こんな僕だもん。「勝手には歩くなよ」チェシャ猫の言葉が蘇る。ごめんなさい。破っちゃいました。……。
「あれぇ?快楽してない?そうだな。殴られ蹴られるのが気持ち良すぎて意識トンじゃう」
「ふぁっ…う”ぐあ”っ…あ”っ♡」
意識朦朧として……
「っ!?」
急に痛みが襲って来て…視界も見えるような…?なにか、揉めてる…?……!あの模様、チェシャ猫っ……
「なぁ?誰が勝手にありすに危害加えていいっつた?聞こえてんの?ねぇ?そっちが先にやったんだよな?こんくらいは、償えるよな??」
視界が真っ赤に染まる。何が起きたかが分からない。けど…
「ありすは、見ちゃダメ」
そういうと、チェシャ猫の怒声と誰かの悲鳴、嗚咽、が聞こえる。しばらく経ち、視界が開放された。
「大丈夫。じゃないか、ごめん」
僕は、全力で首を振る。
「僕が、悪いんだ…勝手に歩いて行ったから。」
「そこまで考えてなかったんだ。俺が起きてればよかった。プライバシー面を考えてなかったんだ。お守りでも持たせておけばよかった。」
こんなに喋るチェシャ猫は、初めて見た。
「行こ」
そう言って、チェシャ猫は、僕の手を取るとお姫様抱っこをして、最初の場所へ戻った。
「お守り、渡しとく」
元の場所に戻るなり、そう言われた。僕は、頷いて受け取る。
「チェシャ猫は、強いの?」
素朴な疑問、お守りでなんとかなるか。と思ったのだ。
「いや、強くはない。でも怒らせると怖いらしいから。俺の気配と影が入ってるから。」
と言われた。かすかにチェシャ猫の香りがするような気もする。
「あ、ありがと」
チェシャ猫とこんなに話したのは、今が初めてかもしれない。そう思った。意外と頼りになる。
「飯、食べよ」
そう言われ、出て来たのは、夕飯時に食べた、というかほぼ食べさせられたあの薄味シチュー。なんてこった。受け取ってしまったではないか。ため息をつく。一口食べる
「……」
マズい、薄味は変わらないし、きのこの舌触りは最悪だし…結局、またチェシャ猫と口づけをした。
「じゃあ、行こ」
そういい、持ち上げられる。なぜ、歩いてはダメなのだろう。と思う。信用はされていない。さっき、あんな目にあったし、好き勝手はさせて貰えないだろう。それにしても、チェシャ猫から懐かしい香りがするんだよな。会ったことは、絶対と言い切れるほど(いや、言い切れないかも)ないはずなのに。?。でも、この世界で一人でも味方がいるならひとまず、安心出来る。
「……zzZ」
「……寝た?」
「……………zZZ」
「おやすみ…」