「ついた。」
「ん……」
いつの間にか、寝てしまっていたようだ。辺りを見渡してみる。さっきいたところよりも、色素がだいぶあると思う。でも、警備が厳重そうに見える、気のせいではないと思う。映画に出てくるような、セキュリティがたくさん……。
「さっきのは、”ハートの女王”のせいだと思った。」
「は、ハートの女王…?」
誰だろう。さっぱり、分からないや。でも……このセキュリティって突破できるのかな、、。と思っていた途端。
「跳ぶ。圧力注意」
「ふぇ?」
チェシャ猫にボソッと何かを言われた瞬間、急に圧力を感じる。床に押し付けられてるような…?目を開ける。!!ものすごい勢いでチェシャ猫が飛んでいる。もう、地面が見えない。てか、この城高すぎないか…??
「ひっ、地面を見てしまった。怖い。怖い。ひあっ」
窓から、弓矢が飛んでくる。これ、大丈夫なの!??チェシャ猫!なんか、言ってよ。言葉が足りなすぎるよ!!そう思っても、高いのが怖いのが僕の手は、震えていて、言葉を発することなんか出来ない。……早くついて。終わってよ…!
「ついた」
いつの間にか目を閉じていたようで、目を開けると華やかな、内装がされている部屋だった。
「あ……」
よほど怖かったのか、足がまだすくんでおり、立てない。情けないな。僕は。と思い、チェシャ猫をみる。!?腹のところらへんに弓矢が刺さっている。なんなら、出血もしている。
「ち、チェシャ猫っ……」
大丈夫なのか。全然痛そうに見えないが。血は、ドクドクと流れていくため、心配より、倒れないかと不安がつどる。
「ん」
たった一音。でも、大丈夫かというように、僕の手を握った。すかさず、僕もチェシャ猫の、多分手だろうな、と思う部分を握り返す。扉を開けなきゃいけないのか。嫌な予感がする。
「ありすが開けたほうがいいかも」
なんてことを言うから、僕はドアノブに力を入れ、横に捻った。
何が起きたか分からなかった。ドアノブを開けた途端、鋭い刃物が飛んできて、と思ったら、目の前にチェシャ猫が立った。それだけ。なはずなのに。目を開ける。未だ、弓矢は降り続いていて、チェシャ猫の体に容赦なく刺さっている、僕の立っているところにもチェシャ猫の血液が流れている。何が起きているのかが分からない。分からない。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」
僕は、叫んでいた。さっきまで握っていた、チェシャ猫の温もりが手に残っていると言うのに、今チェシャ猫は、僕を守るために盾となっている。しかし、僕が行動を起こさないから。僕のせいなんだ。こうなってるのは。僕のせい。僕が悪い。
『こんな、攻撃にも避けられないとは、見損なったぞ。チェシャ猫』
誰かが話しかけている。チェシャ猫が盾になっているのは、僕のせいなのに。僕が悪いのに。
「ははっ。俺が盾にならなかったら、ありすが死ぬところだったでしょう?お分かりでない?」
!チェシャ猫が話せているのがビックリする。あんなに出血していたのに。
「ち、チェシャ、猫…、だ、だ、大丈」
僕が言葉を言う前に、チェシャ猫が言う。
「ほらほら、弓矢を撃ち続けたせいで、あなたたちが求めていた。ありすが怖がってるじゃないですか?これは、これは。みっともないですね」
煽るような話し方をするチェシャ猫に馬鹿にされた女王が、怒声をあげた。
『はぁ!?なんですって?ありすが私たちのことを怖がっているって?』
「そりゃそうでしょ?あなたの駒である、マッドハットがありすのことを虐めていましたからねぇ?ね?マッドハット。」
急に話を振られたのが分かり青ざめている、あいつか。僕を散々痛ぶったのは。
『ひっ、そ、そんなことをするはずないでしょう????ね?ね?』
『まぁいい。ありすこっちに来ないか。』
僕の話題が出る。え?僕?
『あの猫が導いてくれた。分かってると思うが、この世界は、現実ではない。仮想空間なのだ。ありす。君には、現実を見せ』
「嫌だ」
勝手に口走る。ハッと思い。口を押さえるが、なぜそんなことを言ってしまったのかも分からない。
「う”っ」
チェシャ猫から、そんな声が聞こえた。……。チェシャ猫が倒れた。チェシャ猫が…。あのチェシャ猫が。……?。
「ち、チェシャ猫っ!」
急いで駆け寄る、やっぱり痛かったんだ。でも、でも。どうしよう。嫌だ。チェシャ猫が死んじゃうなんて。
「逃げろ」
そんなことを言ってくる。
「嫌だよ。なんで、チェシャ猫っ」
絶対に嫌だ。チェシャ猫が死んじゃうなんて、絶対に、絶対に。
「俺っ、は、死んでもいいけど、、ありす、お前は、いな…」
チェシャ猫が目を見開いたと同時に首に強い衝撃が走った。
「ありす!」
チェシャ猫が必死に僕の名前を呼ぶ、意識朦朧とする。だんだん視界が暗くなって………?………。
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