TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

いや~、裸足って実に気持ちいい!


最近では裸足で過ごすこともなくなったからなぁ。


この海の家というのもすごくいい。たまの息抜きには持ってこいだな。


うぅ――――ん! 伸びをしたあとサラに問いかけた。


(サラ、植物から油を抽出することってできるか?)


[はい、可能です。どのような植物でしょうか?]


(まず、人体に無毒で香りもあまり強くないものだな。粘度においても違うものを揃えてほしい)


(それじゃあ今からイメージを送るから、このイメージに近い植物をダンジョン内やダンジョン周辺から探してみてくれ)


(木の実で色はグリーン、鈴なりに実をつけ葉っぱはシュッとしてるオリーブの実。 次は草花で川の近くの土手などに生えており色は黄色・高さ1m~1.5mぐらい、この植物 (菜の花) の種から取れる油。次は ひまわりの種・トウモロコシ・大豆・ピーナッツ。だいたいこんな感じだが似たような植物はあったか? その中から5種ほど油のサンプルを作ってくれ。量はこのゴブレットぐらいあればいい。どうだ?)


[はい、植物さえ選定できれば抽出にはさほど時間はかかりません。少々お待ちください]


………………


[無毒でイメージに近い植物を順に5種類選定しました。抽出した油はゴブレットに1杯ずつお出しいたします。参考に使用した植物片も一緒にお出ししています]


(それと、もうぅ一つ作ってもらいたい物がある。イメージとしては弾力のある針金をいくえも………………卵とか小麦粉とかを空気を入れながら混ぜる器具。泡立て器というものだ。できるか?)


[はい、お任せください。………………これでいかがでしょうか?]


おうおう、さっそく試作してくれたのか。秒で!


(う~ん、針金の金属にはもう少し弾力をもたせてくれ。そして持ち手はこんな感じでたのむ)


[はい。ではコレなんていかがでしょう?]


(ほうほう、うん上出来だ。これを3本作ってくれるか)






ここは海の家にある調理場。(ダンジョンリビングです)


テーブルの上には3本の泡立て器とゴブレットに入った5種類の油が並んでいる。


その横にはサンプルとして使用した植物片が置かれていた。


さっそく油の色・香り・味・粘度などを一つひとつ吟味していく。


う~ん、なかなかどうして。どれもそれなりに良い油だと思うけど。


最終的にはその中から3種を選び、それぞれ10リッターの樽に詰めてもらった。


「…………!」


――そうだ!


これを低階層でドロップさせて迷宮産として流通させてもいいかもしれない。


入れる容器さえ考えれば十分に喜ばれるのではないだろうか。


それにあわせて、揚げ物なんかを一般に広めてもいいしな。


「!!!」


おっといかんいかん。本題を忘れそうになっていた。


まずは小麦粉だよな。


あまり色が良くないんだよなぁ。ふるいにかけたけど、肌理 (キメ) のほうもこの程度か……。


うぅ~ん、


(サラ、お願いがある。この小麦粉の再製粉とキメを細かく均一にしてくれないか?)


[はいマスター。………………できました]


って早! ホントに秒だよ。


おおっすごい。手で握るとキュッキュと音がするし色も真っ白だ。


やはり小麦粉はこうでなくっちゃ。






さ~て、クレープの生地作りだな。


小麦粉1ジョッキ・砂糖1/10ジョッキ・塩少々をボールに入れて混ぜる。


別のボールに卵5・溶かしバター・ミルクを1ジョッキ入れ混ぜる。


これにさっき混ぜた粉を入れて泡立て器でダマがなくなるまで混ぜる。


さらにミルクを1ジョッキ分を数回に分けて入れながら生地をかき混ぜていき、最後に香り付けとしてメイプルシロップをスプーン2杯加える。


こんな感じで、混ぜて、混ぜて、混ぜて、ひたすら混ぜ合わせて。


クレープ生地の完成で――す!


って疲れたな。(お付き合い頂いた皆さん、どうもありがとう!)


これでクレープ生地が出来たわけだが、最低でも1刻 (2時間) 程は生地を寝かせたいところだな。


(サラ、この木のボール入っているクレープの生地だが、時間を進めたりとかはできるか?)


[はいマスター。その大きさでしたら可能です。どのくらい進めますか?]


そっかぁ、出来るのね。


まぁ、この場所自体が亜空間みたいなものだからな。


それでは乾燥しないように蓋をして。


(外気を5度下げた所にこの状態で置いて1刻 (2時間) 進めてくれ)


そう伝えてテーブルに木のボールを置いた。


すると、パッ! と一瞬だが木のボールが消えたように見えた。


[マスター、処理が終わっております]


「…………」


あぁ、ハハハハハッ! 終わったのね。


――良かった。うん良かった。






俺は気を取りなおし、フライパンをコンロで熱していく。


コンロのガスをどうしてるのかは知らない。


水道も蛇口をまわせば水が出るし電気も普通に点いている。


まぁダンジョンの中だし、使えればいいのだし、問題ないない。


――考えるな、 感じろ!


それで熱したフライパンにさっき抽出したキャノーラ油 (菜種油) を薄くひき生地を広げる。


生地が薄いので火が通るのもあっという間だ。


フライパンを作業台の濡れふきんの上に置く。


あとはアツアツ言いながらヘラと手でクレープをはがしていく。


フライパンの中でササッと折りたたみパクッと食べてみた。


おお~、なかなか上手くできたじゃん。


――ヨッシャ!


ついガッツポーズをとってしまった。


このまま食べても旨いのだが。さて、どうするか?


う~ん、生クリームは無いしなぁ。


果物はリンガにバネネあとキウイのようなものがインベントリーに入ってたよな。


それじゃあ、クレープシュゼット風にしてみようか。


果実ソースで煮込むような感じだったよな。


キウイ2個すり潰して砂糖を入れて煮立たせ、そこにクレープをそっと入れ馴染ませる。


仕上げにリキュールを注いでフランベ!


これでアルコールも飛ぶから子供でも大丈夫だな。


よし、できたぞ!






それから、しばし奮闘してクレープとアイスティーを人数分完成させた。


外で遊んでいたシロとメアリーに声をかけ海の家に呼ぶ。


みんなでちゃぶ台をかこんで、上にクレープを4皿、アイスティーを3つ準備する。


メアリーのは砂糖ミルク入りのアイスミルクティーになっている。シロはお水だな。


しかしメアリーは誰も居ないところに置かれた皿が気になるのか、不思議そうに見ている。


そうか、まだ言ってなかったよな。


「メアリー、これはサラの分だ。この家もそこにある海もぜーんぶサラが作ってくれたんだぞ」


そう説明するとメアリーは、


「じゃあ、サラも家族なんだね!」


と凄いことを言ってきた。


いや、まあ、そうなる……のか?


「そうだな、サラも俺たちの家族だな」


俺はそう宣言した。


すると、どこからともなく一匹の黒猫が姿をあらわし、スタッとちゃぶ台の上に乗ってきた。


[みなさま、わたしがサラです。今はベヒモスの幼体の姿を模しております。これからもよろしくお願いします]


「それじゃぁみんなで食べようか。おいしいぞ~!」


(サラも遠慮せずに食べてくれ。家族なんだからな)






するとどうした事か、いきなりガタガタと家が揺れはじめたのだ。


おおおおっ、なんだ地震か?


ダンジョン内でも地震が起きるのか?


突然の地震に戸惑っていると、


[こっ、これは、ななななんですか――――――っ!? こんな美味しいもの食べたことありません。凄い、凄いです。さすがマスターです。一生ついていきます。捧げます]


おいおい、ただのクレープだろう。オーバーだっつーの。


捧げるって何をだよ? 逆にこえーよ。


(そうか、口にあったようで嬉しいよ)


メアリーも目を輝かせてフォークを持つ手が止まることはなかった。


こらこら、お皿をぺろぺろするのはお止めなさい。レディーなんだから。


まあ、作るのは大変だったがみんなが喜んでくれて本当に良かった。


また何か作ってあげよう。


それにサラに頼めば、いろんな食材を調達したり調合なんかも出来るということだ。


ここは料理やスイーツづくりには良い環境だよな。


おやつを食べ終わると、シロとメアリーはまた砂浜へ駆けていった。


この解放感がたまらないのだろう。


ここはダンジョンリビング。魔獣やモンスターの警戒も不要だからな。


俺も今日はのんびりと、海でも眺めて過ごすとしますかねぇ。

この作品はいかがでしたか?

5

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚