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昇降口を出て、自転車を押す愛衣ちゃんにお疲れ様、と手を振った。
昼の12時半を過ぎていた。美術部も昼には終わるのだろう。
「部活来る人増えて良かったね」
「うん、良かった」
「愛衣ちゃんの絵、すごかった」
私も見せてもらったが、もともと美術部希望だっただけにとても綺麗な絵だった。
「中学でも美術部やってたんだって」
「そうなんだ」
「あ、幡中さん」
前を見ると、佐倉くんが向かい側から歩いて来ていた。
「、、なんか、久しぶり?だね」
「確かに、久しぶり」
「、、宇治も部活?」
「うん、佐倉は今から?」
「今から。あっついから二人とも気をつけて帰ってよ」
私と宇治はうん、と軽く頷いた。
「佐倉くんも頑張って」
「うん、ありがとう」
「幡中さん」
歩き出したところで呼び止められた。
「遊びに行かない?二人で」
「…あ、うん」
私は軽く口角を上げた。
「良かった、またあとで連絡するね」
佐倉くんはそう言って学校に入って行った。
「宇治?帰ろ」
佐倉くんの後ろ姿を見て止まっていた宇治に声をかけると、さっとこっちを向いて歩き出した。
「学校なくてもモテるんですね」
「、、いや」
夏の風が、胸をざわつかせた。