コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
泰三の声は、ロビーの空気を一層重くした。
「……だが、君のような青年にそれが出来るのか?」
その言葉は鋭く、律の胸を突き刺した。
「君はまだ若い。学業と仕事を両立してきたことは認めよう。だが、財閥の令嬢を導く責任は……君には荷が重すぎるのではないか?」
律は言葉を失い、拳を握りしめた。
反論したい思いはある。
けれど、相手は華の父であり、このホテルの出資者でもある。
「……」
その沈黙を、華が見逃さなかった。
胸の奥に熱いものが込み上げ、思わず一歩前に出る。